『これは私のための本です』,「善き人のためのソナタ」(2006年,ドイツ) | Nighthawks

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本や映画の感想を書く。忘れてしまうから。

2007年アカデミー賞外国語映画賞を受賞した本作。
感動作というよりは,切ない作品だ。

東ドイツ国家保安局のエージェントが,作家の自宅を盗聴する。その暮らしぶりを盗み聞く一方で,大臣や保安局の実態を目の当たりにし,次第に・・・。

原題は,「他人の生活」だったらしい。邦題は,作品中で作家が弾く,ベートーベンの曲のタイトル。
それまでに迷いが生じていたエージェントは,この曲を聴いたことが決め手となって,心が揺れる。

「この曲を本気で聴いた者は,悪人になれない」(スターリン)

危ない橋を渡り始めたエージェントにハラハラする。主演のおじさん,ウルリッヒ・ミューエは,表情だけで魅せる,とても良い演技。
女優役のマルティナ・ゲデックも,すこし退廃的な感じがいい。ただ,なぜ恋人の作家を国家保安局に売ってしまうのかが,伝わらなかった。麻薬がほしいから?

クスリと笑わせるところもあるなど,とても完成度が高い。
ラストも秀逸。最後のセリフもイカしてる。

号泣するような映画ではないけれど,心に染みる作品。
今の日本映画に欠けているものが,ここにはある。

アルバトロス
善き人のためのソナタ スタンダード・エディション