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今回は、TVシリーズ152話の中から、勝手に選んだ

ベスト10

 

TVは必ずしも原作に忠実ではない。むしろ原作よりも面白くしているのが多い。

どれも素晴らしいので、選ぶのは大変だった。

 

 

第10位

第6シリーズ 6話「はさみ撃ち」

中村嘉葎雄演じる、大盗賊、猿皮の小兵衛。隠居した彼の家に押し入ろうとする、若い盗賊を手玉に取る。人を食った演技に注目。

平蔵「貫禄の違いよ。あの面を見よ、子供にかえって、毒も害もない。あれが大盗賊だ。放っておけ。近頃は盗賊の質が落ちたな。」

 

 

第9位

第7シリーズ 5話「礼金二百両」

与力の小林が叔父から相談をうけ、平蔵が秘密裏に乗り出す。小林の叔父の奉公している2000石横田家では、誘拐された幼少の若君と家宝と、引き換えに千両の身代金を要求されて困っていた。それを平蔵が、内部犯の仕業と見抜き、穏便に解決した。

横田大学から、謝礼に200両を差し出され、小林与力が躊躇していると、平蔵「遠慮なく頂戴いたす。」平蔵は小林に「これで当分盗人たちを捕まえる費えにはこと欠かぬ、だがこんなことを敢えてするお頭をどう思う? このことは誰にも言うな!」金に窮する長谷川家がテーマだ。

確かに平蔵には、情報収集のために金が必要だっただろう。だがTVでは、協力者に毎回5両ぐらいずつばら撒くのはやりすぎな気もする。今でいうと、20-30万円。

 

 

第8位

第7シリーズ 8話「泣き味噌屋」

平田満演じる、勘定係•川村弥助のお話。臆病で、これでは皆さんの役に立てないと、いつも零している。そんな平凡な男だ。ところが、妻が強姦され殺されてしまう。怒りのやり場に悩み、死に場所を求め、平蔵に仇討ちを願い出る。

とても川村に叶う相手ではない。周りの者は、助太刀を願い出るが、平蔵は川村に一騎討ちさせる。川村を妻の元に送ってやりたかった。

ところが、川村は妻の仇の剣の達人を、見事仕留める。一同唖然。

平蔵「川村の死にたい一心に、相手は戸惑ったのだ。」

その後の川村の変身ぶりにも注目。

 

 

第7位

第4シリーズ 13話「老盗の夢」

知る人ぞ知る大盗賊、蓑火の喜之助。貧しい者からは取らない、人は殺さない、女は犯さない、の3箇条を守ってきて、最後の「おつとめ」(盗み)を計画する。ところが、段取りが終わった時点で、裏切られてしまう。邪魔な者は殺し、いい女は犯す野蛮なやつらに。

喜之助は、痛手を負いながら、裏切り者3人と差し違え、壮絶な最後を遂げる。丹波哲郎の迫真の演技だ。

 

 

第6位

第6シリーズ 16話 「五月闇」

平蔵の有能な密偵の一人、伊三次(演:三浦浩一)の最期。密偵たちは、かつては盗賊の仲間だったわけで、かつての仲間を密告するのは複雑な感情が絡む。犬だなんて知れたら殺されてしまう。かつての恨みも買う。

伊三次も、かつての盗人仲間の女房を寝取って駆け落ちし、結局殺してしまった。浮気したからだ。伊三次は、その盗人仲間に殺される。「あいつをダメにしたのは俺なんだ。殺されるのは定め」

闇をさまよって、あの世に旅立つ。

密偵たちの哀れ。三浦さんの渾身の演技。

 

第5位

第4シリーズ 14話「ふたりの五郎蔵」

平蔵の息子の辰蔵(演:長尾豪二郎)は、悪友とつるんで岡場所に通い、剣の修行に身が入らなかったが、ある頃から熱心に道場に通い、剣の腕も上がってきた。

この話では、火付盗賊改めの役人達と悪人退治をする。その後で、

辰蔵「各々方、ご苦労様でした。なにはともあれ、中に入って冷たいものを一杯やりましょう」

平蔵「流石俺の子よ。と喜んでいいのか、悲しむぶべきか、どちらであろうの?」

 

第4位

第1シリーズ 19話「むかしの男」

平蔵の妻、久栄(演: 多岐川裕美)には、結婚前に男に弄ばれた辛い過去があった。その男、近藤唯四郎。平蔵が地方にでている時に、久栄は、牢に囚われた、ある男を解放するように、近藤とのスキャンダルをネタに脅迫される。

進退谷まった久栄は、同心たちの協力で、近藤達悪人を捕まえることができた。だが、秘密がいつ露見するのではと、気が気じゃない。

平蔵が帰ってきて、囚われた近藤のところに行くと、久栄は後を追い聞き耳を立てる。

近藤「きさまは知るまいが、お前の女房を初めて女にしたのは、俺だ。」

平蔵「それがどうした、百も承知だ。承知の上、久栄を娶ったんだよ。久栄は俺の女房になって生まれ変わったんだよ。考えてみると、とうの昔から久栄に惚れていたんだなぁ。久栄を本当の女にしたのはこの俺だ。」

思わず、感涙に咽ぶ久栄。感動ものだ。

 

第3位

第4シリーズ 16話「麻布一本松」

木村忠吾(演:尾美としのり)のコメディー。笑わせるのは何話かあるが、これが一番。

忠吾は女に目がない。今日も麻布の茶店で、お弓(演:水島かおり)に誘われた。

もちろん、裏がある。お弓が心を寄せる市口又十郎(演:村田雄浩)が、忠吾に足蹴にされたので、復讐するつもりだった。市口も剣はたつが不覚をとった。お弓と市口の煮え切らない会話も面白い。

真相を知らない忠吾は、逢引の日を楽しみにしているが、見回り中に凶悪犯に足を切られ、安静を言い渡される。

怪我を押して出かけるときかない忠吾を宥め、平蔵が出向く。真相を知る。

本当に面白い。お弓、市口、平蔵、忠吾のコントである。

 

第2位

第3シリーズ 19話「密偵たちの宴」

全話を通じて視聴率No.1を獲得した。

平蔵の密偵連合が、金の亡者から、大金を盗む。そして、返す。元は、盗人だけに、盗人精神に支配されることもある。完璧なおつとめをしてみたい衝動に駆られて見事成功した。

長谷川様も気がつくまい、と皆んなで祝杯を挙げ盛り上がっているところに、平蔵登場。

平蔵「お揃いじゃねえか。俺も祝わせてもらおうかな。数々の盗人と渡り合ってきたが、今度のやつほど腕がいいのは見たことがねぇ。どんな奴らか、一度でいいから面を見てみたいもんだな。」

帰り側に、「おい、五郎蔵、奪った鍵は今夜のうちに戻しておけよ。」

一同、鳩が豆鉄砲を食ったようにポカン

平蔵は全てお見通しだった。

それからは、やけ酒に。外から笑顔で見上げる平蔵。

 

 

第1位

第2シリーズ #2スペシャル「雲竜剣」

剣の道に関する話は面白い。

堀本伯道は、医者で、貧しい民衆を助けるため、各地に報謝宿を作り、困った人々には、ただで泊めてあげ、病に苦しむ者はただで診療してあげた。それに必要な資金捻出のため、金持ちから奪った。若い頃、雲竜剣という特殊な剣の型を編み出し、平蔵と因縁がある。

あれから30年経った今、また火盗改めの関係者が雲竜剣の犠牲になり、平蔵も襲われる。

伯道に反発した息子、虎太郎の凶行であった。

虎太郎もまた、雲竜剣を伯道から伝授されていた。伯道は、息子を自分の手で成敗しに向かう。

伯道を演じた、露口茂が、とても良い。

気品、礼節、穏やかな話し振りの中に強い意志を感じる。平蔵ですらたじろぐ気。

THE FINL 「雲竜剣」では、堀本伯道を田中泯、虎太郎を尾上菊之助が演じた。こちらも見応えがあった。

 

TVシリーズは、一貫して主要なところは、配役が変わらなかった。27年間の俳優さんの変化を見ていることになる。また、出演者に中村姓がやたら多い

 

長谷川平蔵: 中村吉右衛門

妻 久栄: 多岐川裕美

 

●密偵

彼らが番組を支えたと言っても良いと思う。配役もピッタリだったので、変えなかったのだろう。

 

五鉄主人 三次郎:藤巻潤

相模の彦十:江戸家猫八

大滝の五郎蔵:綿引勝彦

小房の粂八:蟹江敬三

伊三次:三浦浩一 6シリーズで死ぬが、9シリーズで復活。

おまさ:梶芽衣子

 

●火盗改めの役人

平蔵の懐刀の佐嶋忠介は高橋悦史が演じていたが、シリーズ途中で、亡くなってしまった。役にマッチしていただけに惜しい。

次に位置する、酒井祐介役は、篠田三郎、柴俊夫、勝野洋と変わった。

途中から登場の村松忠之進(演:沼田爆)も、料理にうるさい頑固じじい風で、楽しませてくれる。私は好きだ。

木村忠吾(演:尾美としのり)は、お笑い担当で、欠かせない存在だ。

 

ゲストも多数出演した。中でも印象的だったのは、三國蓮太郎。スペシャル一寸の虫、で船影の忠兵衛を演じた。クライマックスは最後にお白洲で平蔵と対する場面。数分にも満たないのに、物凄い存在感だった。

 

(続く)