長い手足、積極的な性格…私は「義体」になって良かったよ?(挨拶)

銃って見る分にはカッコイイ。実際に使って危険なのは言わずもがな。

良くも悪くも様々な場面で歴史を作ってきた道具。

引き金によって打ち出される弾丸は、単に機械的に射出されたものなのか?それとも人の意思が宿ったものなのか?


マンガ紹介 第17回

「GUNSLINGER GIRL(ガンスリンガー・ガール)」

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舞台は少し未来のイタリア。

イタリアの政府機関「公益法人 社会福祉公社」は表向きは身障者の支援団体だが、その実体は身障者に機械の身体を与え「条件付け」と呼ばれる洗脳を施し、政府の為の暗殺・対テロの汚い仕事を請け負う機関であった。

技術的な適正により機械の身体を与えられるのは12~15歳ぐらいの少女達。
彼女達は「義体(いわゆるサイボーグ)」と呼ばれ、それぞれに担当の大人達とペアで作戦を行う。いつも一緒にいることから「フラテッロ(兄妹)」とも呼ばれる。

彼らはイタリアを恐怖に陥れるテロ組織「五共和国派」と対決していく…。





好きなマンガではありますが、設定的には正直言って反吐が出ます。
年端もいかない子供を洗脳して殺し屋とする。吐き気を催す邪悪~~という奴ですよ。

ですが義体を担当する大人達もそれぞれに心の傷と事情を抱えています。

義体に死んだ妹を重ねる者、五共和国派への復讐の道具にする者、過去の贖罪の為の担当官となる者、出世の為や逆にドロップアウトし再就職した者。

義体の少女達は「条件付け」によって基本的に担当官に従順ですが、それぞれに担当官との関係や生き甲斐に悩みを抱えています。


そうした少女と大人とのやり取りが、詩的で知的な作風を生み出していると思います。


また、義体というオーバーテクノロジーがありながら、少女達が使う武器はCz75やウィンチェスターM1897、H&K VP70といった既存メーカーの型落ちした年代ものの銃器。
実際はガンアクションで映えるという理由でしょうけど、誰も彼も過去に囚われていることの暗喩でもあるでしょう。


少女と銃という一見すると萌要素なマンガですが、設定が細かく現実のイタリアの社会情勢に即した切り口の深い作品です。