その顔がほしい(挨拶)

どんなに手を伸ばしても、決して手が届かないもの
どんなに欲しくても、手に入れることができないもの


でも、もし…手が届いてしまったら?


マンガ紹介 第9回

「累-かさね-」

累(1) (イブニングKC)/講談社

¥600
Amazon.co.jp
10月23日発売(札幌だと25日ぐらいかな?)


今一番注目している作品です。
コミックス第1巻が今月発売になります。コミックス発売を待ってから紹介しようと思っていましたが、公開された表紙絵を見て我慢できませんでした。

今年の春にイブニングで連載開始されましたが、いきなり一挙2話掲載の力のいれぶり。
ですが、読むと納得の魅力を持った作品です。


ヒロインの「淵 累(ふち かさね)」は絶世の美人女優「淵 透世(ふち すけよ)」の一人娘。
…しかし累は女優である母とは似ても似つかぬ口裂け女のような容姿であった。
父は生まれた累を見て早々に姿を消したが、母・透世だけは累を溺愛していた。

透世は累の幼少時に亡くなってしまったが、その時に一本の口紅を累に託していた。

小学生になった累はその容姿ゆえにイジメを受け、クラスメイトの「イチカ(累とは違って綺麗な子)」らによって学芸会の主役・シンデレラに祭り上げられてしまう。
累はイチカの思惑に気付きながらもシンデレラ役を引き受けて一人練習を重ねた。

学芸会当日、プレッシャーに耐えかねて母からもらった口紅を塗って劇に臨む累。
女優であった母の血か、累は観客やクラスメイトを黙らせるような演技を見せる。

だが累を祭り上げたイチカは当然面白くない。
無理やり累を劇から下げて、自分がシンデレラをやると累を脅迫する。

あきらめと屈辱とイチカの顔への羨望の中、母の言葉が累を動かす。

言葉に従って累がイチカの口をその唇でふさいだとき、

累とイチカの顔が入れ替わっていた-





累は口紅の魔力によって、他人と顔を入れ替わることができるようになった。
だが欲しくて欲しくてたまらないものを手に入れれるようになって、浮き彫りなったのはやはり自分の醜い容姿と卑屈な心。

傑出した演技力を持ちながらも、決して自分の力(顔)だけではどうにもならないことも累はよくわかっていて鬱屈とした不満を募らせるばかり。

演技で賞賛を受けるのは自分が満たされる瞬間。
でもそれは自分に向けての賞賛ではないことはわかっている。そしてまた卑屈になる。


…育ちゆえに基本めんどくさい性格の娘さんです。
でもなんでしょうね、それがひどく魅力的に見えてしまいます。

あと容姿と性格のせいなのか喪服と墓が異常に似合うw



圧倒的な勢いと魅力をもった作品です。

発売されたらぜひ手にとって見てください。