中村希明 著、『怪談の科学ーーー幽霊はなぜ現れる』を読みました。
講談社のブルーバックスです。












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今日の本のお供はユニコーンのマスコットです。
ダイソーさんで買いました。

たてがみがレインボーでとても可愛いのです。







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『「幽霊なんて、いるわけがない」という人も、頭のすみではやはり何か引っかかるものを持っているはず。
一方、「幽霊はいる」と信じている人も、この科学時代に、ときには確信のゆらぐこともあるでしょう。
幽霊は「いる」派も「いない」派も、ここでちょっと中村さんの話に耳を傾けて下さい。
この本には中村さんが長年かけて収集した怪談の事例がいっぱい入っています。
そしてその話の奥の方から、不思議で怪奇な人間の「心」が見えてきます。
そうです、幽霊は出るのです……。』
(カバー袖より)







医師の書いた本です。
Wikipedia(中村希明)によるとアルコール依存症治療専門医らしいので、精神科の先生なんでしょうかね。

もうお亡くなりになってる方みたいです。

一般向けの心理学系の本を何冊か出した方で、本書もそのうちの一冊です。



私はこの本、表紙に惹かれて買いました。

大好きな水木しげるの絵!

お化け大好き!

可愛いー♡

まさかのブルーバックスで水木しげるに出会っちゃったら、そりゃ気になって読んでみたくなっちゃいます。


ちなみに、表紙だけでなくて中身の装丁も可愛いのですよ。




ページの下の方に百鬼夜行が描かれています。

このお化け達、ページを捲るごとに徐々に前方に進んでいきます。

パラパラ漫画になってます。

可愛い♡


ブルーバックスでこんなに装丁が凝ってるの、珍しいですよねー。






ところで、本書の内容なんですが。

タイトルから想像できる通り、怪談話を精神医学や心理学あるいは脳科学、神経科学から起こりうる現象として解説している本です。


感覚遮断(変わり映えのしない状況が続いて刺激が極端に少なくなるような状況、例えば高速道路のドライブなど、が続くこと)や極限状況(飢えや極端な寒さ暑さなど)、入眠時の微睡みや薬物や極度の緊張状態において、人は簡単に幻覚を見るし、それは別に不思議なことでも何でもないのだということが書かれています。

たいていの怪談話は人間の普通の生理現象としての幻覚によるものとして説明することが可能で、そういう意味で幽霊に出会うことも不思議なことではなくただの生理現象なんだということができるのだと。




まあでも、だからといって「なーんだ、霊現象はただの幻覚なのか、怖くないやー」とは全然思えませんね。

むしろ逆に、霊感が全くない(と思ってる)私にだって、霊がただの幻覚なら見えちゃう可能性が大いにありうることになっちゃうわけで…幻覚と現実の区別なんてなかなかつくものじゃない以上、逆にめっちゃ怖いんですけど!




この手の怪談を心理学から解説するお話ってよく聞きますが。

そういうものの中で本書の良いところは、頭から心霊現象を否定したりしていないところです。

あくまで怪談話は医学的心理学的に「解説できるものである」ということだけを書いてあります。


真っ向からお化けを否定して「お化けは全て幻覚に違いない、存在しなーい!なぜなら人間の生理現象として説明できるからだ」みたいなヒステリックな態度ではなくて、「お化けの中には人間の生理現象として説明できるものもある。(説明できるってだけで、本当のところはわからない)」的なスタンスなのです。

こちらの方が、怪談を全て否定してしまうよりもよほど理性的で科学的な態度だと思います。



それから、本書で扱われる怪談話はいわゆる実話怪談的な現代のお話ばかりではなくて、文学作品も多数扱われます。

シェイクスピアやゲーテ、鶴屋南北、小泉八雲の作品などを病跡学あるいは精神分析批評的に分析しています。

私は野暮な性格をしておりまして、名作の病跡学的な分析が大好きなので、本書のそういうところ、とても興味深く読むことができました。





怪談話を真面目に学問する本として読んでも面白いですけど。

読書好きな方には、ちょっと毛色の変わった文学批評として読むととても面白い本だと思います。






この本の著者、他にも数冊ブルーバックスで本を出していまして。

依存症系の本がとても面白そうなので、機会があれば読んでみたいと思います。

















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