都筑卓司(つづき・たくじ)著、『四次元の世界ーーー超空間から相対性理論へ』を読みました。
講談社のブルーバックスです。
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今日の本のお供はドラえもんです。
漫画初登場時の姿のドラえもんのぬいぐるみです。
やっぱ四次元と言われてまず思い浮かぶのは、四次元ポケット!
この本にはドラちゃんがぴったりでしょう。
表紙絵のマグリットの絵の不思議さも、ドラえもんの世界なら22世紀の科学技術で当たり前にあり得そうですね。
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『卵を割らずに黄身がとり出せますか?
《四次元の世界》ではそれが可能だというのです。
《まぼろしの次元》を求めてリーマン幾何学から物理学へ……
《実在する四次元》はアインシュタインによってみつけ出されました
《真実とはかくも奇妙なものか》などと言わないでください
《超多時間理論》や《重力波》も四次元の産物です
《スッキリした説明》だれにもわかるていねいな解説は本書の特色の一つです』
(カバー袖より)
本書は、数学的幾何的な四次元の説明から始めて、物理的な四次元へと導いてくれる、とても面白い本です。
この本に関して、何よりも先に言いたいことがあります。
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すっっっごい!面白いです!
いやもう本当に、とても面白い本です。
将来、私のベビーちゃんに読ませてあげたい本ランキングでは確実にトップ争いをするだろう一冊です。
まずは目次を見てみてください↓
『Ⅰ 次元とはなにか
●われわれは影を見ている
●卵を割らずに黄身をだす
●まぼろしの次元
Ⅱ 四次元空間の性質
●四次元空間の切り口
●四次元球が行く
●かけない図をかく
Ⅲ 曲がった空間
●朝顔のツルは何次元か
●馬のくらの幾何学
●第5公準の謎
Ⅳ ハップニング
●本当に知りたいこと
●幾何学と物理学のちがい
●時間はなぜ一次元か
Ⅴ 光とは何か
●見えるからこそ信ずる
●時間にも厚みがあること
●絶対論者のあがき
Ⅵ 実在する四次元
●ついに四次元をみつけた
●ライト・コーン
●超多時間理論
Ⅶ 非ユークリッド空間
●時計のパラドックス
●ベルグソンらの反論
●検出された重力波?』
宇宙やこの世界の成り立ちに興味を持ち、数学や物理に一度は燃えたことのある人なら、目次を見ただけで内容がピンとくるはずです。
ユークリッド幾何学によって、われわれが知覚できる一、二、三次元の世界を延長して四次元空間の性質を探り、四次元の定義を示して(←ネタバレすると、ここは伏線)
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ユークリッド幾何学の平行線公準(直線外の1点を通りこの直線に交わらない直線はただ1つある)が成り立たない、リーマンやロバチェフスキーの非ユークリッド幾何学によって、曲がった空間について考え。
↓
(ここまでで数学的な四次元の説明をしっかり終わらせます)
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数学と自然科学の関係について説明して。
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時間と光について考察し、ここで光速度は一定であることと、そこから時間の空間に対する優位の否定を導き出して。
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この世界に実際に存在する四次元について解説し(←ここで伏線回収)
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慣性系における四次元の世界の解説(←特殊相対性理論)
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慣性系と加速系の違いを説明し、空間の歪みの存在を説明する(←一般相対性理論)
こんな流れです。
これらの説明をほとんど数式を使用せずにこなしています。
(ローレンツ収縮とかローレンツ変換の説明の辺りだけ、ほんの少し数式が出てきますけど)
本書では、この世には四次元の世界が実在するのかということを探っていくのですが…ネタバレしちゃうと、実は四次元はこの世界に存在しています。
それは、縦横高さの三次元空間に4つ目の次元として時間を導入したものです。
つまり四次元ってのは、結局、私達の暮らすこの世界自体のことなのです。
それだけ聞くと、「なーんだ、そんなの当たり前じゃん」とか「そんなのズルくない?」なんて思っちゃいそうですが。
ちゃんと本書の前半部分で数学的な次元の定義を説明してくれているので、納得できます。
さらにこの世の四次元の性質についての説明(←要は相対論の説明)を読めば、時間や空間はカッチリと決まりきった確かなものではなく結構柔軟に伸び縮みするのだっていう、我々の常識的にはなかなか受け入れ難い真実も、割と難なく飲み込めます。
章立てで、どんどん四次元の世界に迫っていくのが、とても面白いです。
物理の本を読んでいるのですが、まるでアドベンチャーとかミステリとか読んでるみたいな、そんなワクワク感が味わえます。
しかも、このお話はフィクションではなくて真実だっていうのが、また!
こんなにワクワク興奮するのに、それがまさに私の生きているこの世界のお話で、ファンタジー世界のお話ではないなんて!
最後まで読むと、マジで感動しますよ。
この世界はなんて面白いんだ!素晴らしいんだ!なーんて。
本当に良い本です。
この本は、もしも多感な高校生の頃に読んだりしたら、その後の人生が変わっちゃう人もいるかもしれませんよ。
先程も書きましたけど、いつかこの本が読めるような歳になったら私のベビーちゃんにも絶対読ませたいです。
小難しい相対論のことをこんなに面白く解説してくれる本は、他にはなかなか無いんじゃないでしょうか。
好奇心が煽られて、どんどん先を読みたくなっちゃいます。
物理とか数学とか、時間とか空間とか、宇宙とか次元とか多面体とか、非ユークリッド幾何学とか、そういう言葉を聞いてなんかワクワクしてしまう人には、とてもオススメの本ですよ。
それから、稲垣足穂なんかが好きな人にも、数学アレルギーが無い人であればオススメです。
足穂の宇宙観を構成しているものを、本書からはたくさん拾い出せると思います。
あと、ちょっと似たようなジャンルの本で『フラットランド』って言う次元についてよくわかる面白い本がありますが、フラットランドなんかが好きな人にもオススメです。
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では、いつものごとくまとまりのないこの読書感想文を〆るために、一枚ダリの絵の画像を置いて終わりにします。
本の表紙がマグリットだったので、ちょうどいいかな、と。
サルバドール・ダリの『超立方体的人体』です。
キリストが磔にされている十字架がここでは超立方体(四次元空間における立方体)の展開図になってます。
本書では四次元の世界は時空間のことでしたけど。
この絵の超立方体は空間的な四次元の超立体です。
空間的な四次元ってどんな感じなんでしょうねー。
三次元生物の私達には絶対に知覚できない世界…想像力を刺激されますね。
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過去記事もよろしくお願いしまーす。
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