堀越二郎 著『零戦ーーーーその誕生と栄光の記録』を読みました。角川文庫です。





お写真、本と一緒に写したのはプラバンとレジンで作ったピアスです。
零戦ピアス!
自分が作ったアクセサリーの中でも、かなりのお気に入りです。

経年劣化で、残念ながら少し曇ってきちゃってるのですが…
もう一回同じもの、作り直そうかな?






私は零戦ファンなのです。
にわかですけどね。

一昨年だっけかな?森博嗣さんのスカイクロラ・シリーズにハマってしまって、いきなり戦闘機ファンになってしまったのです。
スカイクロラの主人公、草薙水素(クサナギスイト)という女の子が戦闘機に乗って翔び闘うシーンがあまりにかっこよくって。

それ以後、ちょくちょく戦闘機ものの本を読んでいます。



今回は、零戦の設計者、堀越二郎さんの書いた零戦の本です。


零戦の設計者本人の書いた本ですからね、ちょっと興奮しますね。
うー、あのかっこいい零戦の設計者!
なんだか鼻息が荒くなってしまいますよ。


内容は、前半は零戦の開発からそれを軍部に引き渡すまでの著者の直接体験を、後半は戦争での零戦の奮闘ぶりを聞き伝えるものになっています。


前半部分の零戦の開発は、やはり面白いですね。
あまり難しい言葉は使われていないし、専門的なことは抜きに一般向けに書かれています。
それでも、当時の開発の苦労と喜びは伝わってきます。

本書に書かれていることは、氷山の一角なんでしょう。
水面下にはもっとたくさんの細々とした苦労があったはず。

それに創意工夫も、専門家でなければわからないようなことだらけのはずです。
一般向けだと、そういうことは書けないでしょうから、ちょっともったいないですね。

「技術者だったら、やはり本当のすごさを表したくなるのじゃないかなぁ?
設計図とか、計算式とか書いて説明したくならないのかしら?
でもそうすると高度に専門的になっちゃうから、一般書にはできないし。
こういう本を書くときには、ジレンマとか感じたりしないのかなぁ?
あ、でも、本なんてどーでもいいのかな。だって、現物の零戦こそがまさにそのすごさを体現しているんだもんなぁ。」
…なんてちょっと思いながら読みました。


読んでいるとね、技術者の熱意がひしひしと伝わってきます。
ああ、この人は本当に飛行機を作るのが好きなんだ楽しいんだ…って。
もっと良いものを、もっと先のものを、誰も見たことのないものを創り出したい。
追い求めずにはいられない。
何かにとりつかれた人の姿は、美しいです。


試作機の試験飛行について書かれた部分なんて、著者の感動がモロに伝わってきますよ。
鳥肌が立つほどに。

『私はその空気の振動を全身に快く感じながら、首の痛くなるのも忘れて空を仰いでいた。試作機は、やっと自由な飛行が許された若鳥のように、歓喜の声を上げながら、奔放に、大胆に飛行をくりかえした。ぴんと張りつめた翼は、空気を鋭く引き裂き、反転するたびにキラリキラリと陽光を反射した。
私は一瞬、自分がこの飛行機の設計者であることも忘れて、
「美しい!」
と、咽喉の底で叫んでいた。』
この部分、解説でも取り挙げられてましたけど。
本当にね、読んでいるこちらの脳裏にまで鮮やかにその映像が浮かびます。
そして、著者と一緒になって、『美しい!』と声無く叫ばずにはいられません。






後半の実戦での零戦の活躍についての描写では、著者の零戦への愛と矜恃を感じます。

そりゃあそうでしょう。
だって、零戦ですもの!
零戦を作ったんですもの!

航空技術の後進国だった日本が、先進国と肩を並べるどころか圧倒した零戦です。
他国の戦闘機を嘲笑うかのように蹴散らしまくった、空の王者です。
無敵のゼロ・ファイター!
クゥゥーッ、かっこいいー!!!

…そんなもん作っちゃったら、ね。
誇りに思うのは当然です。愛するのは当然です。


だからこそ、終戦に向かう過程の描写は、悲壮ですよ。
この人、悔しかったんだろうなぁと思います。
零戦なんていうね、素晴らしい戦闘機が、安易で無計画でお粗末な作戦に使われてしまったのですから。
せっかくの素晴らしい戦闘機も熟練したパイロットも、ただ死地に赴くのみです。
軍部に文句も言いたかったでしょうねぇ。
しかも、挙句の果てには神風特攻隊ですし。

第二次大戦の日本は、本当に賢くない。
知性を感じられませんね、全くもってスマートじゃない。
第一次大戦の時のインテリジェンスはどこへいっちまったんだ?





そういえば、著者は終章で、
『日本人は、とかくこのようなアイデアにとぼしく、小器用で人まねだけがうまいと言いたがる人がいるが、私はけっしてそうは思わない。』
と書いてあります。
しかも、この場所だけでなくて、本文中の他の場所でも同じようなことを言っていたはず。よっぽど腹に据えかねていたんでしょうねぇ。

零戦の設計者である著者の言葉であるだけに、説得力がありますね。
実力に裏打ちされた、この矜恃!
かっこいいなぁー!




この本、読んでよかったです。
少年の心を取り戻せます(笑)
やっぱり、零戦はかっこいい!大好き!
両手をね、水平に広げて、ブーン!なんて走り回りたくなります、大人気なくも。
なんなんでしょうね、この居ても立っても居られないような、興奮!高揚感!






そういえば、私、せっかく零戦好きなのにジブリの『風立ちぬ』観てないんですよねぇ。
『永遠の0』も、本も読んでないし、映画も観てないんです。

もったいないですよね、近いうちに観よう、読もう!
絶対に!
うむっ!

















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