加藤信郎 著『ギリシア哲学史』を読みました。
発行は東京大学出版会です。
再読です。


本と一緒に写っているクマちゃんは、いつものごとく私の手作り…ではありません。
これはいただきもの。
私がぬいぐるみ好きなのを知っている、母の知人がプレゼントしてくれました。
小花柄のテディ、可愛いです。


この本を前回読んだのは、確か三ヶ月程前。
割と最近なんですけど…いやぁ、内容、覚えてないものですね。
これじゃ初読と変わらないかも。
だいたいの流れは流石に覚えてましたけど。

「せっかく読んでもこんなにポロポロ忘れていくんじゃ、あんまり読む意味がないのではなかろうか?」



はっ!いけません!
その考え方!それは悪魔のささやきです!
物事に意味を求めるのは、全てをつまらなくする呪いの言葉です。
私の悪い癖です、なんにでも意味を欲するのは。
読んでいる時楽しかったのだから、それでいいのです。
それだけでいいのです。



…と、悪魔のささやきはシカトするとして。



この本は、題名通りですね。
著者も序章にて
「本書のめざしているものは、ギリシア哲学全体の歩みに一つのまとまった眺望を与えることである。細部の詳細を尽くすことは本書の意図ではない。」
と、はっきり書いています。

ギリシアの自然学の成立から、タレスやらピタゴラスやらヘラクレイトス、パルメニデス、ソフィスト達、そしてソクラテス、プラトン、アリストテレス、ストア派エピクロス派、新プラトン主義まで。
サクサクと、有名どころの哲学者の一般的な見解が書かれています。

ただ、ソクラテス、プラトン、アリストテレスには本書のかなりのページがさかれていますし、この三人についてだけは一般的な見解を越えて著者の独自の見解もチラホラとみえます。
とはいえ、詳しく語るには少なすぎるページ数ですし、ダイジェストにするにはちょっと長いページ数で、中途半端だなぁなんて感じました。


初読時、私が本書において取り上げられている著作のうち、読んだことがあったのはプラトンの国家、饗宴、クリトン、パイドン、ソクラテスの弁明…このくらいですかね。
それも、これらを読んだのは随分前の話で、数年前から20年近くも前だったりします。
…三ヶ月前に読んだ本の内容をあんまり覚えて無いくらいですから、そんな昔に読んだ本なんてすっかり忘れていますよ。

そんな状態で読んでみた感想としては
「全体的にはギリシア哲学の流れが簡単にわかって良い本だけど、ソクラテス・プラトン・アリストテレスについては半端に詳しくてかえってわかりにくい。一回直接原典にあたってから読んだ方が面白いんじゃないかなぁ。」
でした。


てなわけで、プラトンとアリストテレスの著作を少し読んでから、今回もう一度この本の読み直しをしてみました。
プラトンは『ソクラテスの弁明』『クリトン』『パイドン』『饗宴』『パイドロス』を。
アリストテレスは『ニコマコス倫理学』を。
それぞれ初読または再読してからの読み直しです。


やはり思った通りでしたよ。
断然、直接原典邦訳にあたってからの方が面白かったです。
この本、ソクラテス・プラトン・アリストテレスに関しては哲学史の一コマというよりも、哲学の解説書(ダイジェスト版)だと思った方がいいですね。


哲学の解説書、賛否両論ありますが、私は好きです。

解説書だけを読んでその哲学者の哲学を理解しようとするのは違うかなぁとは思います。
原典と照らし合わせてみてこそ面白いのが、解説書じゃないかなぁと。
解説書を鵜呑みにするのではなく、解説書と対話するようにして読んでいくと、楽しいです。

今回のこの本も、再読時においては脳内対話を繰り広げながら読みましたよ。
「ふむふむ、やっぱりあの部分の解釈は私が考えた通りでいいのだな」
「あー、あそこは、こうやって理解するのかぁ」
「ゔー、ここの部分は、私の見解は検討外れぽいなぁ」
なんて穏便な意見から、大胆不敵にも、
「いや、ていうか、それはアンタの独断強すぎでしょ?絶対違うと思うし!」
なんていう攻撃的な意見まで出しちゃったりして。

私の見解が正しいのかどうかは疑問ですが、まぁそういうことはここでは問わないとして。
…こういう読み方自体がとってもエキサイティングでスリリングで、とにかく読書体験がとても面白くなるのです。

よって、再読するにあたって先に読んでおいたプラトンとアリストテレスの著作について書かれた部分を読むのは、本当に楽しかったです。
逆に、自分がまだ読んでいない著作について書かれた部分については、初読時と同じ感想ですね。中途半端に詳しくてかえってわかりにくい。





私は最近古代ギリシアがマイブームなので、これからもプラトン、アリストテレスは沢山読みたいと思っています。
もちろん、それ以外の哲学者も。
プロティノスとかかなり興味がありますし、ソフィストというのがどういうものなのかも、ちゃんと知りたいです。

別段、題名以外に理由はなく選んだこの本なのですが、せっかくなのでこれからギリシア哲学を読み進めていく上での拠点にしようかなと思います。
邦訳原典をいくつか読んだら、この本に戻ってきて。
またこの本からピックアップしていくつか邦訳原典を読んで…なんて風に。




では、さっそく…次はプラトンの『プロタゴラス』を積ん読してあるので、これを読もうかな?

ゔーーーん!
未読の本を手に取ると、本当にワクワクしますね。
どんなことが書かれてあるのかしら?
知的好奇心が大暴れです。


















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