ターム3の初日、担任のリカさん(仮名)が、今日はtaste testをするから準備をして欲しいと声をかけてきた。
いろいろな食材を、一口サイズに用意して、目隠しをした生徒に食べさせてテストするという計画だった。
この先生、生徒の反応を絶対に楽しんでいるな![]()
1週間のルーティーンに慣れるためのこの時期に、生徒が楽しんで学校生活に戻ってこれるようにするためには格好の活動である。目隠しをするのが何ともスリリングである。
ご飯を炊き、パスタを茹でてサンプルの準備をしながらこの人もニヤニヤしていたに違いない。
彼女の支持により、26人の年長クラスのために味のサンプルを用意した。ジャムやクリームチーズはパンに塗り、26個に切り分けなければ。ご飯、パスタ、ピクルスや缶詰から出したひよこ豆。そしてフランスのディジョンマスタードまであるのには少し驚いたが、すぐに微笑ましいと思った。
これが刺激的な辛さのイングリッシュマスタードだったら、多くの生徒が吐き出すに違いない。
まず2人の生徒を職員室に招いて、他の生徒には分からないように準備を手伝ってもらった。パンにジャムを塗って、1枚の食パンを4x4の16人分と、10人分の2種類の切り方を支持する。自分がテストを受けるなら、ジャムなら大きなサンプルでもいいけどマスタードは小さい方がいいなと思いながら、掛け算や足し算をして26個用意していく。
驚いたことに、1人の生徒がとてもゆっくりした動きで、包丁を押し付けて切っていた。これではランチタイムが来ても準備は終わりそうにない。リカさん(NZ人•仮名)には11時半に始めたいと頼まれている。あと1時間で26人×8種類分の味のサンプルを用意しなくてはならない。
「こうやってのこぎりのように引いて使うと切りやすいですよ。」
私はしばらく見守ってから、より速く切る方法をやってみせた。
「切り方なら知っています。」彼女はそういって、
自分のやり方で準備を続けながら、私の切り方も半分くらい取り入れていた。
8歳児だってプライドがあるのだ。
よく見ていると、片手で何とかして切ろうとしていた。これでは切れないわけだ。
問題は、包丁の使い方だけでなく、彼女がジャム付きのパンに触れないことだった。
受け持ってまだ4ヶ月なので、彼女がHSPなのかまだわからないが、こうやって押さえるとよく切れますよ、と言ってやってみせても、どうしても触りたくないようだった。
社会にはいろいろな人がいる。そしていろいろな感覚を持ったさまざまな人が、私達の社会を作っていて、学校に来ていて、一緒に学んでいる。
私は26人分の味のサンプルを用意する彼女たちを見ながら、今タームはいろいろな子供たちに調理の仕方を教えながら、その教え方を教わるのだろうと思う。
どこの学校で何を教えてもそうだが、子供たちにはいつも教えられてばかりだ。
算数と数学と国語とガーデニングとソーイング、そして英文法や英会話などを教えた経験があるが、教壇に立つようになってから一番の先生は、英語科主任でも新規採用教員の教官でもなく、私の生徒たちだった。
味覚のテストでは、2人組のうちの1人が目隠しをした人にサンプルを選んで持っていって、テストでもぐもぐと食べるのを見守っていた。目からの情報が遮断されていると、解答に迷う人が何人もいた。
目隠しをとり、用紙に答えを書き込んでから交代し、後で答え合わせをする。
3つハズレた!全部正解した!など、算数で満点を取ったときの何倍もの歓声が教室中で上がっていた。
子供たちと調理実習をしながらいろいろなことを話すが、自分とは全く違う経験をしてきた人たち、私よりもずいぶん若いのに考え方が似たような人たち、年令に関係なく同じことで笑い合える人たちとの時間がとても尊いものであると感じている。
今日作ったエジプトのスープでは、調子に乗って最後にチリを入れすぎた。幸い自分のスープだけの被害で済んだが、私が咳き込んでいると、優しい人がお水を持ってきてあげるよと言ってくださった。こういう時に我慢しないで素直に顔に出すと、子供たちはとてもおかしそうに、でも半分心配しながらゲラゲラ笑う。
今の時点では年度末までの契約期間。この短期間でありったけのスキルを使って、この愛すべき子供たちと学び合いたい。
プロに描いてもらい自分で職員室に貼ったらしい。
これを見てすごいいい学校に来たなと思った。
プライバシー保護のため、ブログでは同僚や子供たちの名前や特徴を変えて書いていくが、毎日何かと新鮮なカラフルな話題については読み手の皆さんと分かち合えると思う。
モンテッソーリで教育を受けた人の中には、日本の史上最年少のプロ棋士や、Google創始者、Facebook創始者や、多数の著名人がいるそうだ。内側から眺める機会に恵まれて、こういう学校だったらそういう人に成長しても不思議ではないと思う毎日である。
この小さな国の小さな小学校から、愛すべき小さな人たちがどのようなダイナミックな大人に成長していくのか、今から楽しみでならない。
年少クラスは教室の片隅にあるおやつコーナーで調理実習をします。始めてみて大変だったのが場所の確保。狭くて、作業台も高すぎて作業ができません。工夫して環境を整えて、なんとか初回は無事に終わりました。その模様はまた後日。
大切なのは、子供たちが安全に、また道具を使いやすい環境を整えるということと、食べ物を育てたり買ってくるところから始めるということではないかと思います。
という訳で、外のお庭には野菜、シンクの下でモヤシを育てています。早く焼きそばに入れたいです。


