ミヤビは受け取った剣を眺めた。
柄には簡単だが丁寧に掘り込まれた彫刻が
施されている。
柄には簡単だが丁寧に掘り込まれた彫刻が
施されている。
鞘から抜くと、初めてこの街で観た海の色の様な
鮮やかな青一色の剣身が現れた。
「綺麗…」
ミヤビの口からため息が漏れた。
横からサキが覗き込み、そうだねと呟いた。
「ほほう、たいした物だ」
声のする方に目をやると、団長が眩しそうに
目を細め剣を見つめていた。
目を細め剣を見つめていた。
各々休息を取っていた兵たちも、集まってくる。
皆、伝説の錬金術師が創った剣に、興味があるのだ。
急ごしらえだから恥ずかしいと
身体をくねらせるアイリだったが
身体をくねらせるアイリだったが
そこに集った者全員が、素晴らしいと
感嘆の声を漏らした。
感嘆の声を漏らした。
「えっ、ちょっと待って」
皆が感動する中、モモコが声をあげた。
「アイリがミヤに手渡したってことはさぁ。
モモはどうなるの?」
モモはどうなるの?」
そもそも、アイリに依頼し出来上がった剣を
モモコがサキらハンターに販売する手はずだった。
それが、モモコをすっ飛ばし
アイリから直接ミヤの手に渡ってしまった。
アイリから直接ミヤの手に渡ってしまった。
となれば、いったい、誰から代金を貰えばいいのか。
「まあ、いいじゃん。
細かいことは気にしない!」
細かいことは気にしない!」
こんな立派な剣が手に入ったんだからと言って
サキは唖然とするモモコの背中を思いっきり叩いた。
「…ちっとも細かいことじゃ、ないんだけど」
背中をさすりながら、モモコは口元を尖らせ呟いた。
恨めしげな視線をサキに送る。
サキは団長となにやら談笑していた。
声が小さいせいで、なにを話しているのかまではわからない。
が、最後にサキが笑顔で頷き
「ハイ、いつも助けてもらってます」
と応えたところだけは、はっきり聞き取れた。
モモコはサキの側に近づいた。
「ねえ」
「モモ、しつこい。お金の件はまた、今度!」
サキが顔をゆがめた。
モモコはそうじゃないと首を振った。
モモコはそうじゃないと首を振った。
「今、団長さんとなに話してたの?
確か、『助けてもらって』とか言ってたけど」
「ああ、ここに連れてきてもらえて助かったってこと」
「そうなの?」
少しニュアンスが違う気がしたが
アイリが声をあげたため、ここで話は中断した。
「ねえ、一度試してみて」
そう言って、ミヤビの持つ剣を指差した。
出来栄えを見届けないと不安なのだという。
ミヤビは頷いた。アイリに扱い方を習う。
柄に刻まれた印を押さえると、剣身が仄かに光った。
創ったばかりなので、まだ魔力が小さいが
目一杯、溜め込めば、眩いばかりの光を放つのだという。
「じゃ、空に向かって振ってみて」
アイリに言われるがまま、ミヤビは下段から力一杯
剣を振り上げた。
剣を振り上げた。
が、ブリザードが放たれることなく、剣に宿った光は
ほんの少し揺れただけで、剣身に張り付いたままだ。
「あれ?」
ミヤビは首を傾げた。
水飛沫を切るように、剣を二度三度振ってみるが
やはり光は張り付いたまま、離れようとしない。
「ちょ、ちょっと貸して」
アイリが慌てて剣を受け取る。
その表情に、焦りの色が伺える。
さぞ素晴らしいブリザードが放たれるだろうと
見守っていた兵士たちがざわめく。
「あの、ミヤ怪我してるし、そのせいじゃないの」
モモコがそう言ったが、アイリは関係ないと首を振った。
確かに、魔術師が体力を消耗すれば、魔力も小さくなる。
だが、ミヤビは水の魔力の素質があるというだけで
体力に左右されるほどの魔力は持っていない。
それに素質は命中率や技のバリエーションに関係がある。