Berryz Quest 第六話 ──その15── | Berryz LogBook

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Berryz工房を中心とした、ハロプロについてのブログです。
彼女たちを登場人物にした、小説も書いてます。

しばらく進むと森を抜けた。


広がる畑を縫うように道が伸び

民家や納屋が点在していた。
深夜にも関わらず灯の燈る窓もある。

「どうする?」

チナミが訊いた。

腕を組んで考え込むミヤビに
「引き返したほうがよくない?」と続ける。

ここから先は道も入り組んでおり
ふたりだけで探索するのは無理がある。


それに、この辺りで魔物が現れたという話はなく
とりあえずマイが襲われる心配はない。

「そうだね、戻ろっか」

今度は手分けして、じっくり森の中も探りながら
進むことを決め、ふたりは踵を返した。

「こんなとこでなにやってんの?」

声が聞こえ振り返る。

立っていたのはリサコだった。

「リサコこそ、なにやってんの!?」

尋ねたいのはこちらの方だと、ふたりして駆け寄る。

「えっ、差し入れだよ」

リサコは笑みを浮かべ、包みを掲げた。


今夜はハンターが三人とも出払ってるため
マーサの部屋に泊めてもらうことにしたらしい。

疲れているであろうふたりのため
マーサが夜食を作ってくれたのだという。

「じゃあ、なんでこんなとこに居んの?」

チナミが問う。リサコはムッとした表情を作った。

「だから言ってるでしょ、差し入れ届けにきたの!」
「だって、方向全然違うよ?」
「それは…」

どうやら道に迷ってしまったようだ。


だが、今はそんなことに

ツッコミを入れている場合ではない。

「調度よかった。リサコ、キャプテン呼んできて!」

ミヤビが声をあげた。


理由を尋ねるリサコに、小さな子供が迷子になり
ゴブリンに襲われるかもしれないのだと告げる。

「わかった!」

それは大変だと顔を歪め、踵を返し駆け出す。
が、リサコはすぐに足を止め振り返った。

「キャプテン、今日居ないよ!」

サキは農園を監視してるため、今夜は不在だ。


「じゃあ、モモ!」

チナミが叫ぶ。


「あばば」しながら走り出そうとしたリサコだったが
「…は、いいや!」とチナミが続けるので、再び振り向いた。

「マーサ! マーサ呼んで来て、早く!」

急かすようにチナミが人差し指を振り向ける。


リサコは唇を噛みしめ頷いた。

包みを抱えたまま駆ける。

「じゃあね、ウチ先に戻ってるから

 チィはマァ来んの待ってて」


「あっ、ミヤ!」

呼び止めるチナミを振り切り、ミヤビは森に入っていった。

ひとり残されたチナミだったが

ただぼんやり待っているわけにもいかない。


とにかく自分にできることを、と思い

近くの庭先や畑、納屋の中などを探った。

豚小屋の窓から光の玉を差し込み、照らしていると遠くから
「ありがと」と声が聞こえた。


「リサコは危ないから家に戻って」と声の主が続ける。

マーサだ。チナミは慌てて駆け戻った。

「チィ~! どこぉ!!」
「ここ、ここ!」

自分の名を叫ぶ声に応えながら

森の入り口にたどり着く。


そこにはマーサだけでなく、なんとモモコの姿もあった。




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