プロスケーター羽生結弦が明かす「単独公演」の舞台裏…2時間で10近いプログラム、「一人で駅伝を走っている感覚」
羽生さんは「マラソン」と「駅伝」という例を出してわかりやすく説明をしてくれた。
「僕の公演は、マラソンのようにずっと一人で走っているんですけど、実際には、一つずつのプログラムが駅伝の区間のようになっているイメージです。フリーのような長いプログラムもあれば、短い時間のプログラムもあるのですが、すべての曲に、常にベストの状態でぶつかるように心掛けています」
「マラソンのように一人で全部の距離を走っているわけですが、実際にはパートごとにそれぞれを担う『羽生結弦』がいて、それぞれの『羽生結弦』が全力でひとつずつのプログラムを滑っていて、それがすべて合わさったときに一つの『単独公演』という作品になっています」
靴の紐を結ぶときも頭の中はフル回転
最たる理由が、靴紐の結び加減はパフォーマンスやケガのリスクに直結するからだ。
もちろん、誰かに委ねるわけにはいかない。自分がフィットする感覚に調整するための作業には「めちゃくちゃ握力を使うんです」と苦笑するほど、手の力を消耗する。
この間にも、頭の中はフル回転で「この身体をどうやって回復させようか」「次の演目に向けて身体の状態とテンポ感をどう変えていこうか」とめまぐるしく考えを巡らせている。
そうして創り上げてきた唯一無二の単独公演はいまなお、まだまだ限界をみない。実際、羽生さんはインタビュー時に「『プロローグ』のときは、MCが長くて、プログラムの数もいまと比べると間違いなく少ないです」と正直に話している。
単独公演を重ねる中で、凝縮度を高めていくには、それだけ負荷がかかる。その負荷に屈しないトレーニングと、想像を超える演出のために考えを巡らせ、「心・技・体」のすべてを高めていく。
こちらは、JBpress のコラム後編です。#羽生結弦 さんが単独公演を完遂するために積み重ねた努力の裏側について書かせて頂きました。 https://t.co/vmyyCQvCsx
— 田中充/M.TANAKA (@Mtanaka326) June 21, 2024
#田中充 さんは産経新聞社で2011年からフィギュアスケートを取材。現在は尚美学園大学で教鞭をとる傍ら、『羽生結弦の肖像──番記者が見た絶対王者の4000日』などを執筆されています。『Quadruple Axel』では羽生さんのインタビュー記事を担当。本講座では取材時の逸話なども含めてお話いただきます https://t.co/ydFBouJkeg pic.twitter.com/zINb5iAhfJ
— Quadruple Axel 編集部 (@AxelQuadruple) June 21, 2024
『Quadruple Axel』羽生結弦スペシャル