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羽生結弦が3月11日の「プロ」アイスショーで魅せた「強い美しさ」の理由
 
《部分抜粋》
 

星空から得てきた希望

 

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ショーはタイトルナンバーで幕を開けた。「notte stellata」は平昌五輪のエキシビヨンでも披露した思い入れの強い演目だ。「星空から得てきた希望とともに今まで滑ってきたんだ、みたいなことを感じながら滑らせていただいていた」。しなやかで美しい、心と力が存分に込もったスケート。このショーで起こる全てのことを、目に焼きつけなければならないと思わせるスタートだった。

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突然「床」が現れた

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羽生さんは、アイスショーを競技会と変わらぬ本気度で闘う。全身全霊を捧げる。内村さんの言葉が、そんな羽生さんの姿をありのまま表していた。初日の共演後、羽生さんの魅力について問われると「常に全力なところです」と即答した。「本当に羽生くんのこだわりの色がすごく出ているショーになっていると思います。試合前の羽生くんのあの集中している感じを生で見られた。全力なんだな。試合じゃなくても、あの感じを出せるっていうのは」。
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「氷」に手をついていた理由

 

公演2日目を迎えた3月11日。開演前の午後2時46分の黙とうを前に、羽生さんはリンク中央に向かった。大切なエッジケースを胸にあて、目線を上に向けた。時間にして7分。思いを巡らせ、目を潤ませた。左手で涙をぬぐい、1分間の黙とうをささげた。終えると膝をつき、氷を触った。2時間にわたるアイスショーの公演中も、何度も氷に手をやった。天を見た。涙を浮かべた。

 

最後のあいさつでマイクを握った。「希望をたくさん届けたつもりですけど、祈りもたくさん届けたつもりですけど、その後にちょっとだけここで、なぜここの氷にたくさん手をついていたか、そして手をついて上に気持ちを上げていたか、少しだけ宮城県民として説明させてください」と切り出した。

「ここは、宮城県民、そして仙台市民、すべての人々にとって、本当に特別な場所です」。震える声で言った。「ここは、遺体安置所だったんです」。氷を張り、自分が滑ることへの葛藤もあったと明かした。鎮魂、祈り、希望。すべての感情を込めて舞った。「少しでも平和で、優しさにあふれた日々が、訪れるように。この3月11日の『notte stellata』という星たちは、いつも皆さんの平和と、優しさと、幸せを、願っています」。優しく語りかけた。
 

千秋楽最後の「ビッグサプライズ」

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「昨日はあんなに苦しくて、悲しくて、つらくて。1日たってみると、悲しさも越えて、やっぱり前に進んでいかなきゃなっていう気持ちと、また皆さんとともに、なんか、僕が暗い気持ちになっていたら今日はダメだなって思って。頑張って、はっちゃけてっていうか、希望になろうと思って頑張っていました」
 
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