国内組のベストメンバー・・・で? | フーリガン通信

国内組のベストメンバー・・・で?

1月13日、指宿合宿と2月2日のベネズエラ戦の代表メンバーが発表された。


海外組の招集をしなかった今回、岡田監督は以下のメンバーが現在の「国内組ベストメンバー」と明言した。ほかにもレンヌ⇒川崎の移籍で帰国した稲本も追加することを示唆していたので“国内組”としてメンバーに加えた。


GK

楢崎正剛(名古屋)、川島永嗣(川崎)、西川周作(広島)
DF

中澤佑二(横浜FM)、田中マルクス闘莉王(名古屋)、駒野友一(磐田)、岩政大樹(鹿島)、今野泰幸(FC東京)、徳永悠平(FC東京)、長友佑都(FC東京)、内田篤人(鹿島)、村松大輔(湘南)
MF

小笠原満男(鹿島)、遠藤保仁(G大阪)、中村憲剛(川崎)、石川直宏(FC東京)、阿部勇樹(浦和)、大久保嘉人(神戸)、金崎夢生(名古屋)、香川真司(C大阪)、稲本潤一(川崎)
FW

玉田圭司(名古屋)、佐藤寿人(広島)、平山相太(FC東京)、岡崎慎司(清水)、興梠慎三(鹿島)


メンバーの色分けには意味がある。以下説明しよう。


【黒:常連招集組】

いつも呼ばれる面々であり、特に彼らへのコメントはない。

むしろ、これまでに呼ばれていたのに今回漏れた国内組の方が気になる。

都築、橋本、前田、矢野、田中達、巻・・・これに海外組が加わり更に外される選手が出るという現実がある中、彼らが最終メンバーに残る可能性はないと言える。

特に、ここまでほぼ毎回呼ばれていた橋本やJリーグで外人助っ人達を抑えて得点王となった前田の心境を思うと・・・仕方がない。これまでのチャンスにインパクトを残せなかったのも彼ら自身である。


【ケガ復帰組】

スピードスター石川はケガがなければ代表の大事な“カード”。スピード、突破力、ミドルの決定力は、先発では衝撃を与え、交代でもゲームを変えるアクセントになる。予想以上に早い復帰はありがたい。しかし、無理をさせてケガをさせては意味がない。今回は試運転で様子を見るという程度の招集でもあろう。

もう1人の香川は将来の日本のMFを背負う逸材。岡田監督の中では“イエメン世代”の上に置いているはずで期待も大きいだろう。しかし、オールマイティで能力が高い分、突出した個性が目立たず、ほぼ構想が固まった岡田の中盤での位置は微妙。ケガの影響もあるとは思うが、早くから岡田監督に呼ばれていたのに、代表ではそこからの更なる飛躍を見せていないのが気になる。


【イエメン生き残り組】

金崎と平山の招集は先の通信で予言したとおり。まずは1次試験合格ということであろう。

金崎は技術がありながら動きがダイナミックで、スケールの大きさは個人的にその将来を大いに期待しているので大歓迎。私は彼の“大化け”を密かに期待している。

平山はイエメン戦でも交代で入っていることから、先発で使うより前線で高さが必要になったとき、即ちどうしても1点が欲しいときのパワープレー要員として残したのだろう。終盤に闘莉王や中澤を前線に放り込むしか手がなかったことを考えると、建設的な案ではある。後は口だけでなく、その根性の甘さを直して欲しい。

いずれにしてもこの2人の招集で私の秘技“速報観戦”もあながち馬鹿にできないことが証明されて嬉しい。(詳しくはこちら⇒イエメン戦 “速報観戦”の楽しみ方 )

GK西川はケガ、DF村松はインフルエンザで、イエメンで共にゲームに出ていない。西川は第3GK候補としての招集でしかなく、村松もイエメンで見ていないから「もうちょっと見てみたい」と岡田監督は会見で語っていた。呼ばれた方の立場を考えればもう少し言い方というものがあるのだが・・・それがまさに本音なのであろう。

そんな理由で呼ぶくらいなら、むしろイエメン戦で活躍した乾を呼んで欲しかった。しかし、岡田監督の「コンセプト」では、前述の石川の方が使い勝手が良いということ。サブの石川のサブという位置付けは変わらない。


【新規招集組】

今回の代表の目玉はもちろん小笠原。昨年のJリーグMVPや、鹿島オリベイラの後押し発言もあり、いつの間にか待望論が巷に溢れていたため、各メディアでも話題独占となった。そんな皆様にはっきり言おう、

 「何をそんなに騒いでいるのだ」

小笠原について質問が集中するから、岡田監督も配慮して言葉を選んでいるが、「最後に呼ぼうと思った」ということは「最後のピース」ということではない。“コンセプト”を重視し、その熟成にこだわり続けてきた岡田監督である。その長い過程で呼ばなかったということは、チームのベースとなるような重要な選手ではないということに他ならない。

「彼の力は十分把握している」、「呼ぶタイミングを計算していた」といいながら、一方で「ボランチよりも、海外組を除くと意外と層が薄い攻撃的MFとして期待している」といい、そのタイミングとやらも「今回は人数を多く呼べる最後のチャンス」だからと、正直な岡田監督はどうしてもその本音を隠せない。言い換えれば「中村、本田、長谷部が呼べないから呼んだ」だけであり、「人数を多く呼べないときには招集しない選手」ということである。

「その存在感、実績からして、呼んで外して、呼んで外してということができる選手ではない」から、「この1試合(ベネズエラ戦)だけじゃなく東アジア選手権も含めてテスト的な意味合いもある」・・・そう、過去の実績に敬意を表して「一次試験免除」で最後に呼んだが、東アジア選手権までのテスト期間に明らかにチームのレベルを上げる活躍を見せなければ、海外組を呼ぶ時には外れる運命にある。

どうですか?違いますか、岡田さん?


鹿島での小笠原の活躍は大いに評価に値するが、それはそれとして、そもそもこの期に及んで小笠原待望論が起こること自体が日本の危機であろう。「W杯ベスト4」を目指すために、チームを1段も2段もステップアップさせなければならないこの大事な時期に、イタリア・セリエAで何も成し遂げずに帰ってきた選手に望みを託す・・・どんなステップアップが期待できるのだろう。


岡田ジャパンに対するイライラは十分に理解できるが、もっと冷静に考えるべきである。


そして今回小笠原を攻撃的MFで使うにあたり、中村憲、遠藤を始めとする他の常連国内組MF陣は、その岡田監督のメッセージを肝に銘じなければならない・・・


「お前らしっかりしろよ!」 ・・・ そういうことである。


魂のフーリガン