中庭まで辿り着いて
ベンチまで駆け寄る。
下を向いて動かないヌナは
僕の足音にも気付かない。
…泣いてる?
「ヌナ?」
顔を上げた。
『テミン…』
掠れた声で僕の名前を呼ぶ。
何が起きたのか
現実を受け止めきれない
そんな表情をしていた。
「どうしたの?
彼氏さんと帰らないの?」
『テミン…私…』
今にも泣きそうな
震えた声を絞り出す。
今すぐにヌナを
包み込んであげたい。
でも
「ちょっとこっち来て」
ここじゃだめだ。
「こっち」
ヌナの手を引き
校舎の階段を登っていく。
『テ、テミン?
どこ行くの?』
ヌナを助けたい。
救いたい。
『ちょっと、そっちは…!』
階段に置いてある
立ち入り禁止の柵を越えて
屋上へと続く扉を開ける。
『ここの扉って…』
「うん、開くの。
鍵かかってないの」
僕の秘密の場所。
『知らなかった』
驚くヌナを
少し景色が見える位置まで
連れて行く。
夕陽に染まったグラウンド。
そよ風が僕らの髪を揺らす。
『凄い…綺麗…』
オレンジ色に染まった
ヌナの横顔は
これ以上に無いくらい
綺麗だった。
僕はまたそんなヌナに
心を奪われる。
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