「たまにね
一人でここに来るんだ」
『いつからこの場所
知ってたの?』
「つい最近だよ。
夏休みが明けてから」
ちょっとした好奇心で
見つけた場所。
『そうなんだ…』
僕の方は見ない。
ただ目の前に広がる景色に
視線を落とす。
ヌナを苦しめるものは何?
「ここ、座って」
『うん』
僕の声に促され
建物の壁に寄りかかって座る。
ヌナはそのまま
空を見上げた。
僕も同じように見上げてみる。
ゆっくりと動く鱗雲。
凄く綺麗なのに
こんなに胸が切ないのは
なんでだろう。
「で、何かあった?」
やっと僕の方を見た。
『うん…』
「何があったの?」
ヌナは僕に頼る事を
避けている気がする。
「僕じゃ頼りない?」
歳下だから?
信用できないから?
『ううん、違うの…』
「たまには僕にも頼ってよ。
いつも僕が
支えられてばかりだから」
『そんなこと無いよ』
ヌナは知らないかもしれないけど
僕はヌナに出逢ってから
本当に変わったんだ。
サボっていた学校に
ちゃんと来るようになったのも
クラス行事に
参加するようになったのも
全部ヌナのお陰だから
「ヌナのことも支えたいって
ずっとそう思ってるよ。
だから、僕で良かったら
話して欲しい」
僕にも頼ってよ。
甘えてよ。
そうすればこの想いも
少しは報われるのに。
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