上半期が終了。
ということは、人事も変わる時期だと言うこと。
自店も例外ではない。
まずは良いニュース。
異例の途中異動をしてきた副主任がいたのだが、
この度主任に昇進した。
彼女は明るくあっけらかんとしたキャラクターを持っていて、
楽しそうに仕事する姿が人望を集めている。
会話も頭の回転がよく面白いし、
暗い雰囲気で何かを言ったりすることのない
とてもキュートな人だ。
バイトからも社員間でもお客様からも、とても慕われている。
彼から人事に関する話は一切聞いていないので本当のところは知らないが、
現在早番にいる主任も、ムードメーカーの役割を務める女性だ。
個人的意見だが、遅番でもそういった要素を1年以上前から必要としていた。
そう社員に言ったこともあった。
何故ならば、自店の遅番は自分で言うのも何だが個性派集団。
それらをくるりと纏められるのは”嫌みのない光”だと思ったからだ。
私はそのイズムを持っていないので、尚更に求めていた。
彼女が副主任だろうが主任だろうがあまり関係はないのだが、
そういった人が異動してきたことを私はチャンスだと捉えていた。
そして今回の昇進に関して、私は素直にお祝いをした。
それから、生意気ながらも一つお願いをしてみた。
「今の遅番のインカム、従業員間の関係はとても生き生きとしていると思う。
もちろん私も含め、各々が楽しく仕事をしている状態であると思っている。
ただ、今懸念されているのは、それが暴走しかねない状態であることだと思う。
間違った方向に進めば、面白おかしく馬鹿やってるだけで
仕事面での向上を妨げることにもなりかねない。
そしてその危機感を持っている人間はもちろん対処を考えているのも感じる。
ただ最善策をとれる人間が全員であるとは限らない。
私が思うに主任は、皆のその楽しんでいる雰囲気を壊すことなく
方向性を指し示すことの出来る性格を持っている。
有り余った活力を、ぶつける活路へと誘導することが出来ると思う。
何か気づいたことがあればどんどん、私を含めた皆へぶちまけて欲しい。
重荷になってしまったら申し訳ないが、
必ずやそれが良い方向へ行くと現時点で私は確信していると言っても過言ではない」
その本音をありのまま彼女へ伝えた。
彼女はこんな私の意見を真剣に受け止めてくれた上で、
「頑張ろうかなぁ、いや、頑張らない」
「あんま考えねーで思いついたことどんどんやってくよー♪」
と、彼女らしい答えを私にくれた。
そして意外なことに
「部長にも同じこと言われたんだよね」
と彼女は言った。
「今までの私で良いんだよ、でもどんどん言ってねって言われたの。
最初は断ったんだけどね、私そんな器じゃありませんって」
さすが部長だ。
私と全く同じ考えを持っていたことには少し驚いたが。
でも、だからこそ余計に私から言われたことによって、
彼女の中でも何か確信めいたものが生まれたようにも見えた。
今日、彼女はインカムでバシバシ皆にあれやこれやとぶつけている。
灰皿がたまっているやれ、お辞儀をちゃんとしようやれ。
予想通り、皆もそれを嫌味を持つことなく素直に受け入れて実行している。
学校で言えば放課後の雰囲気から、
部活の雰囲気に少しずつ変化をしている。
この流れは必ず後に結果をもたらしてくれるはずだ。
私もちゃんとついていかなくっちゃ!
皆でお店をよくしていくんだからね!絶対!
そして、人事には別れもつきもの。
約1年半にわたってお店を盛り上げていた副店長の異動が決定した。
この店に来た当時は主任だった(多分)彼は、
あっという間に副店長になっていた。
そして彼が上層部配属であった去年一年間は
一緒に異動してきた現早番の副店長と共にお店を支えていた。
一言で言えばスポーツ馬鹿、というくらい純粋でまっすぐで、
裏表が無く、馬鹿な話で笑っている印象が強い。
実際社会人サッカーをやっているそうで、
週末の方が楽しそうに見えたことも否めないほどだ(笑)
それ故責任感も強かった。
こうあるべきだ、と思ったことは簡単に曲げたりしない人だった。
とはいえ、私が何かを提案する際などは必ず真剣に聞いてくれたし、
気持ちは分かる、その部分はお前が正しい、だけどこんなこともある、
とアツく応えてくれる人だった。
というのも、「副店長はアルバイトの意見を真剣に聞くべきだ」という
彼の”こうあるべき”要素に含まれていたからと言うのもあるだろうが。
褒められないと伸びないと自分で言い切っていたが、
本当におだてればどこまででもアツくなる憎めない人だった。
しかしその真剣さ故に、現店長である彼に言えないことも多かったようで、
私はそれを愚痴めいたものも含めて、何度か耳にしたこともあった。
副店長は彼のことを本当に尊敬している。
だが、決定的な考えの違いをうまく伝えられていなかったようだ。
そして、その伝えられていない状況を彼は察していたようで、
何度か副店長に遠慮はいらんとも言ったようだが、
純粋頑固な副店長と決意を言い切る彼とでは
なかなか本音を言い合うことも難しかっただろう、と私から見ては思う。
ただお互いが譲らない部分を理解していたからこそ、
このお店は決して危ない揺らぎ方をしなかったのだとも思う。
そういう意味でとても頼りがいがあった。
話は少しそれたが。
今回の人事に関して一つだけ彼から聞いていたことは、
自店から一人異動を出さなくてはいけないと言うことだった。
それは本店の人員不足が原因。
彼は最後まで誰一人出すことが出来ないと言っていた。
全員必要なのだと。だがそうも言ってはいられないことも理解した上で。
それ以後はその話に触れていなかったが、
今回の決定は本当にやむなくだったと思う。
苦しかったろうと思う。
何よりも副店長自身がそれに驚いたのではないだろうか。
確かに去年は本店の方が業績も良いし、
自分のやりたいことがやれるので戻りたいと言っていたこともあったが、
最近ではめっきりそんなことも言わなくなって
自店の業績が上がるまでは古巣である本店には戻らないと、
何度も言っていたのを聞いていた私も少しつらかった。
大丈夫、その決意は私たちがちゃんと引き継ぎます。
簡単には、曲げさせません。頑張るよ。
そしてさらに別れ。
約4年間勤務していたアルバイトのサブリーダーが
来月をもって退社することが決定した。
彼女は一見とてもおとなしい人で、
仕事もマジメでミスもなく、その安定性に一目置かれる人だった。
そして違う、と思ったことに対しては容赦なく意見し、
その改善を求め打開していく姿が本当に頼もしかった。
また、実際話してみるととても気さくでユーモアもあり、
とてもチャーミングな人でもあった。私はそこが大好きだった。
大人しさと相反するようにすら見える仕事への熱意と、
時々顔を出す彼女のおもしろさ、
更には自店きってのテンパり男である副主任との交際、同棲もあり、
色んな側面を持ち合わせているが故に
周囲に誤解され、孤立していることも少なくなかったように思う。
そしていったん思ったことに関してはなかなか曲げないし、
自分の中で消化できないことは愛想で誤魔化すことすらしないほど
とても正直な人でもあった。
それ故気分屋の私ともしょっちゅう喧嘩や言い合いをしたし、
だけども次の日にはお互い忘れてケロッと楽しく笑いあえる、
本当に貴重な先輩だった。
違う思ったことには意見すると言ったが、
同意することに関してはとことん強いバックアップをしてくれる人だった。
だから私が何かを提案したり、相談を持ちかけたりすると、
「それいいじゃん♪」
と言いながら、ノリノリで手を取り合って仕事をしたこともあった。
そして後輩である私を容赦なく教育をしてくれた。
私が大泣きするほど叱ってくれたこともあった。
その決定は入替があった日の終礼で聞かされることになったわけだが、
その日終礼の司会をしていた私はあまりのショックに
彼女に言葉を求めることすら出来なかった。
それは今後悔していることの一つだ。
彼女はやりたいことがたくさんあると言っていた。
それは前々から何度か聞いたことがあった。
最初は皆の憶測で寿退社じゃないかという噂も立ったが、
後にそれらを実行に移すための退社であることを知って、
これはきちんと引き継ぎを受けて、彼女を気持ちよく送り出さなくては、
と言う決意にも変わった。
とはいえ次の出勤の時も私自身の整理がついておらず、
彼女とうまく会話することすらままならなかったわけだが。
以前は週5で出勤していた彼女も、今月は週2に減っている。
もう時間はあまり残されていない。
彼が、サブリーダーは本当に問題意識が高く色んなことを助けてもらった、
としみじみ話していたこともあったので、
私は彼女の問題意識、そして解決させる強い信念を
きちんとこの現場に残していきたいと思っている。
あさって彼女と出勤がかぶる。
そのときこそチャンスだ。彼女に思いの丈を話してみようと思う。
悲しいことは悲しいと悲しんでいたら本当に悲しいだけで終わってしまう。
悲しいだけでは終わらせない。
たとえいなくなってしまったとしても
そのスピリットは必ずここに。