全2話です!!
いつも通り"櫻井あず"でレポしてますので
花井さんとの距離は縮まって、お互いを下の名前で呼び合うようになっていた。
しかしその矢先、OLだけを狙った連続通り魔事件が発生。
私たち2課はその捜査に追われていた。
桐沢 『やはりこの参考人がかなりクロに近い』
桐沢さんがホワイトボードに貼られた1枚の男の写真を指した。
桐沢 『しかし未だに引っ張るには証拠不十分だ。その後の訊きこみはどうだ、花井?』
花井 『被害女性たちは事件前にコンビニやスーパーなどに寄っていることが分かりました。犯人はそこで女性を物色し、後をつけて犯行に及んだ可能性が高いです』
天王寺 『なるほどな。でも犯行現場があまりに広範囲に渡ってるのはなんでやろ』
京橋 『つまり犯人の移動手段は車ですか?』
花井 『その件は櫻井・・・・』
一沙がいきなりこっちを向いた。
花井 『お前、メモしてるだろ。報告しろ』
あず 『え、あ、はい』
ぼんやりしてたわけじゃないけど、いきなり話を振られて慌ててメモ帳をめくる。
あず 『えーっと・・・・』
花井 『急げ』
あず 『は、はい』
(確かこの辺に書いたはずなんだけど・・・・)
焦れば焦るほど、自分の書いた文字すら頭に入らなくなる。
花井 『まだか』
あず 『す、すみません、今すぐに!』
八千草 『一沙さん、あずちゃんは"彼女"なんだから、優しくしてあげないと』
花井 『黙れ』
一沙は瑛希くんを一瞥した。
花井 『仕事上では一切関係ない』
天王寺 『ったく厳しいなー、一沙は』
花井 『仕事は仕事だ。私情は持ち込まず、割り切りたい』
天王寺 『それもなんだかつまらん・・・・』
花井 『天王寺は何を期待しているんだ?』
一沙が天王寺さんをジロッと睨む。
京橋 『櫻井さん、職場恋愛は大変ですね。なおさらお相手が花井さんですし』
あず 『えっ・・・・?』
京橋 『花井さんはプライベートでも厳しいのですか?』
あず 『え、そ、それは・・・・』
答えようがない。
私はプライベートでの一沙を、実はまだよく知らない。
メモをめくり続けて、ようやく書き込みを発見。
あず 『あ、ありました!』
花井 『早く読め』
あず 『えっと、犯人の移動手段は車と思われます。犯行現場はどこも駅から遠く、むしろ国道や高速の入り口付近です』
浅野 『それは逃走しやすい』
あず 『はい。車は店に止められるので、犯行後は店に戻り、逃走を図ったものと思われます』
八千草 『犯行現場が点在してたのはそのせいか・・・・』
桐沢 『よし。被害者が立ち寄ったとされる店の防犯カメラを確認し、結果次第でこの参考人を任意同行して事情聴取だ。花井、指示出ししてくれ』
花井 『はい』
桐沢 『あ、櫻井。悪いがお前は残って捜査データを調べて、まとめてくれないか』
あず 『はい、わかりました』
みんなが一沙を取り囲んで指示を受ける。
私はひとり、捜査データを調べるために2課を後にした。
(それにしても一沙、相変わらず本当に厳しい。同じ職場だし、同僚だし、当たり前かもしれないけど)
ため息をつきながら廊下を歩く。
一沙とはお互いの公休日が重ならないから、休みも合わない。
すれ違いの毎日。
告白されたあの夜以来、デートらしいデートもしていない。
(本当に付き合ってるのかな、私たち・・・・)
?? 『あず』
振り向くと、警視の野村さんだった。
あず 『お疲れさまです』
野村 『なんか元気ない背中だな、どうかした?』
あず 『いえ、別になんでもありませんよ』
野村 『それはそうと、花井とは最近どうだ?』
野村さんがニヤリと私の顔を覗き込む。
あず 『花井さん?あ、はい、お陰様でなんとか・・・・あはは』
うまくいってるのか、いってないのか、自分ですらわからない。
だから曖昧に笑うしかない。
野村 『花井は多忙だから、なかなかデートもできないだろうし寂しいだろ?』
あず 『え、あ、まあ・・・・』
"はい、寂しいです"なんて正直に言えるはずもなく、言葉を濁す。
野村 『じゃ、その分、俺とどっか行こうよ。寂しい思いはさせないよ?』
あず 『えっ・・・・か、からかわないでください!』
野村 『からかってるわけじゃないぞ、飲みにでも行こうよ』
あず 『・・・・・・』
(一沙、いいよって言うかな・・・・)
野村 『あ、花井のこと気にしてるんだな?』
あず 『・・・・・・』
野村 『あずは健気だなあ。よっぽど花井のことが好きなんだな?』
あず 『ええっ!?急に何言うんですか!』
野村 『あはは。照れてる。あずってかわいいなー。花井もお前のこういうところが好きなんだろうな』
あず 『野村さん!』
野村さんはあっけらかんと笑いながら、去って行った。
(まったく・・・・)
その背中をぼんやり見つめながら、また一沙のことを考える。
(1番一緒にいたい人といられないなんて寂しいな。でも、一沙は2課をまとめるリーダー的存在。だから誰よりも忙しい。仕事以外でももっと一緒にいたいなんて、ワガママ言っちゃいけないよね。一沙と付き合うんだったら、このくらい我慢しないと・・・・)
私は気持ちを切り替えようと深呼吸をした。
あず 『仕事仕事!仕事に集中しよう!』
私は鑑識の倉庫のドアを開けた。