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花井 『あず、ごめんな』



あず 『え・・・・?』


花井 『いろいろ傷付けたよな』


あず 『・・・・そんなことないよ』


強がってみせるけど、きっと一沙には見破られてるんだと思う。


花井 『自分でも、まだどうしたらいいのかわかっていないんだ』


あず 『・・・・・・』


花井 『キャリアも大事だし、お前も大事だし。どっちかを取れと言われても、選べない』


あず 『・・・・うん』


花井 『煮え切らないのは俺の力不足だ。すまない。でもお前のことはこの先も大切にしていきたい。本当の気持ちだ』


あず 『一沙・・・・』


花井 『あずをいろんな意味で喜ばせたいっていつも思う。笑顔を見ていたいとも思う。ただ、将来のことは何も見通しがつかない。つけたくても、今の俺にはつけられない』


あず 『・・・・・・』


花井 『これからもっともっと刑事として頑張ってキャリアを積んでいったら、何かわかるときがくるのかもしれないとも思う。その時まであずには待っていてほしいし、側にいてほしいと思う。これは完全に俺のワガママだな』


あず 『私、側に・・・・いるよ』


花井 『ありがとう。俺は口約束は好きじゃない、でも、今はあずと同じ方向を向いて生きていたい。いつかはそれが重なる時がくるかもしれないから』


あず 『そうだね。今は遠い将来を見るより、目の前のことをしっかりやるべきなのかもしれない』


一沙の気持ちがわかって、胸のうちがすっきりした。

でも本当はちょっぴり不安で、寂しくて。

眼下に広がる明かりがときおりぼやけてしまう。

私はそのたびに、きゅっと唇を噛み締めるしかなかった。


花井 『あず』


一沙は後ろからやさしく抱きしめると、髪にチュッとキスをした。


花井 『やっぱりこの髪型、かわいいよ』


あず 『ありがとう』


花井 『これからもいろんなあずを見てみたい。俺がまだ知らないこと、いっぱいあるんだろうな』


一沙がぎゅっと抱きしめるから、思わず目を閉じてしまいたくなく。


(この幸せがずっとずっと続いたらいいのにな)


そのために私にできること。

それは・・・・今をしっかり生きること。

そんな毎日を積み重ねていれば、いつか一沙と不安なくいられる日が来るかもしれない。

将来のことなんかわからない。

でも、私が築いていかないと何も変わらない。


(こうなったら・・・・)


私は一沙を振り向いた。


花井 『ん?』


私は小さく首を横に振ると、そのまま一沙にキスをした。


花井 『あず・・・・?ど、どうした?』


(私、頑張るしかないよね)


私は一沙に答える代わりに、そう自分に誓った。