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犯人逮捕から数日後。
私たち2課のメンバーは勲章授与式に出席した。
爆破事件及び暴行事件の犯人逮捕で、花井さんが勲章をもらえることになったのだ。
花井さんが壇上に上がった。
花井 『特命2課の花井です。僭越ながら、ご挨拶させて戴きます。今回の一連の事件は私の身の回りの人間が被害者となった辛い事件でした』
八千草 『親友2人、恩師、弟さん、そしてあずちゃん・・・・』
私の隣に座っている瑛希くんがつぶやいた。
花井 『なかなか手がかりが見つからずイラつく私を2課全員、特にコンビを組んでる櫻井が支えてくれたおかげで、事件が解決しました』
(私・・・・?)
花井さんは壇上から私の方をチラッと見た。
花井 『この場を借りてお礼を言わせてください。みんな、そして櫻井、ありがとう』
花井さんが深々と頭を下げた。
花井 『これからもこのメンバーで、一件でも多くの事件を解決していきたいと思います』
拍手の中、花井さんは堂々と微笑む。
その姿は勇ましくて、かっこよくて・・・・。
まっすぐ見ていると照れてしまいそうで、私はうつむいた。
花井 『そしてもうひと言・・・・、櫻井』
(え・・・・?)
顔を上げると、花井さんがまっすぐ私を見つめ、咳払いをした。
(な、なに?)
花井 『櫻井、これからも俺の一番の相棒でいてほしい』
あず 『え、は、はい・・・・』
小声で答え、何のことか良くわからないままうなずく。
花井 『仕事でもプライベートでも』
あず 『え?』
2課のみんなをはじめ、式の出席者が驚いた顔で私を振り返る。
天王寺 『どういうことや、プライベートでもって』
京橋 『花井さん、気でも狂ったんでしょうか。こんな場で告白だなんて・・・・』
八千草 『あずちゃんと一沙さんって、そういうことだったの?』
桐沢 『お前らいつの間に?』
あず 『え、あ、あの、その、それは・・・・、は、花井さん!?』
瑛希くんがひゅうっと冷やかすように口笛を吹いた。
花井さんは壇上から下り、私を見つめたままこちらに歩いてきた。
アナウンス 『花井くん、式の途中です。戻りなさい!』
アナウンスが響き会場がざわめく。
式の関係者たちが花井さんを止めにかかろうとした。
でも、それ察した2課のメンバーが席を立ち、関係者たちを押さえにかかる。
あず 『ちょっと、みんなまで!?』
花井 『櫻井、これからもずっと俺の側にいろ』
あず 『は、花井さん!?』
花井 『付き合ってくれるな?』
あず 『え・・・・』
花井 『今さらダメとは言わせない』
あず 『そ、そんな・・・・』
天王寺 『櫻井!ぐずぐずするな、急げ!』
あず 『ええっ?』
京橋 『花井さんと早く逃げてください!」』
八千草 『ここは僕たちに任せて!』
浅野 『行きなよ、ほら』
桐沢 『櫻井、行け。命令だ』
あず 『は、はい』
私が椅子から立ち上がると、花井さんが私の手をすっと取った。
花井 『俺について来い』
呆然としている私の手をぐいっと引っ張り、走り出した。
天王寺 『今日は戻ってこなくてええからなー!』
京橋 『お幸せに!』
背中から聞こえる声に、私と花井さんは顔を見合わせてふいっと笑い合い、式場を後にした。
息を切らせてようやく警視庁の外へ出た。
花井 『このまま消えよう』
私が頷くと、花井さんはタクシーに手を挙げた。
もう片方の手はずっと私の手を握り締めたまま・・・・。
花井さんが連れてきてくれたのは、六本木ヒルズの展望台"東京シティビュー"だった。
(わぁ、きれい)
夜空に赤く輝きそびえる東京タワー。
宝石のようにまばゆくきらめく高層ビル群。
眼下に広がる無数の光が、私に言葉を失わせる。
花井 『壮観だな』
あず 『本当に・・・・・』
花井さんを見上げる私に、花井さんは愛しいものを見つめるように目を細めた。
花井 『櫻井』
あず 『はい』
花井 『さっきは驚かせて悪かったな』
あず 『・・・・はい、あ、いえ・・・・』
花井 『でもあれが俺の本当の気持ちだ』
あず 『花井さん・・・・』
花井 『お前が犯人に連れ去られて、生きた心地がしなかった』
あず 『・・・・・』
花井 『相棒を失ったというより、大事な人を失った気持ちだった』
あず 『・・・・・』
花井 『なにがあっても絶対にお前を失いたくない。お前を守りたいと思った』
あず 『花井さん・・・・』
花井 『だからお前を探し出したとき、全身の力が抜けるようだった』
あず 『助けてくださってありがとうございました』
花井 『無事でいてくれてよかった。心からそう思う』
花井さんのやさしい目の奥に、ふっと吸い込まれそうになる。
花井さんは一度夜景に視線を投げた後、私のほうに体を向けた。
花井 『櫻井』
あず 『はい』
花井 『改めて言う。お前のことが好きだ』
あず 『花井さん・・・・』
花井 『これからも側でお前を守り続けたい』
あず 『・・・・・』
(そんなこと言われたら、言葉にならないよ)
花井 『俺に守らせてくれ』
(花井さんでなきゃ、だめだよ・・・・)
花井 『いいな?』
私は花井さんの目をまっすぐに見つめて、小さくうなずいた。
ふわっと微笑む花井さんの顔がゆっくり近付いてくる。
私は花井さんを見つめていた。
身動きすることなく、抵抗することなく、ただじっと。
花井さんの唇がそっと私の唇に重なった。
唇に触れるか触れないかの、軽くてやさしいキス。
いたわるように、そっと。
私は思わず力が抜けて、ゆっくり目を閉じた。
花井 『あず』
(え・・・・今、呼び捨てにされた)
あず 『・・・・・は、はい』
花井 『二人でいるときくらい、敬語は止めろ。俺のことも名前で呼べ』
あず 『え・・・・・』
(名前で・・・・?恥ずかしい)
花井 『いいな?』
あず 『あ・・・・うん』
花井 『あず、愛してる』
あず 『・・・・私も。か、かず・・・・さ』
(ドキドキしてきた・・・・)
花井 『照れるな、なんか・・・・』
唇がふっと離れると、一沙がはにかんでいた。
(かわいい)
思わずにやけると、一沙がわざと睨んできた。
一沙の手が私の髪に伸びて、そっと撫でたり、すいたりを繰り返す。
花井 『二課のメンバーにも改めて報告しないとな』
あず 『大丈夫かな、同じ職場なのに・・・・』
花井 『構わないさ。誰がなんと言おうと、俺はあずを離さない』
あず 『本当に?』
花井 『当たり前のこと聞くな。ばーか』
あず 『ば、ばか・・・・?』
一沙は顔をしかめる私を見てぷっと笑うと、私を支えるように腰に手を置いた。
一沙の顔がゆっくり近づいて、また唇が重なる。
甘く、やさしく、ときに情熱的に、お互いを求め合う。
(ずっと一沙といたい。ずっとこうしていたい。片時も離れていたくない。一沙のことが好き・・・・)
東京の摩天楼に抱かれながら、私たちはいつまでもキスをした。