特別捜査★密着24時
花井さんの本編レポです♪
いつも通り名前は
"櫻井 あず"で進めてまいります・・・・
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花井 『櫻井、あの廃屋工場へ行こう。そこに戻れば、何かを思い出すかもしれない』
犯人への手がかりがなかなか見つからない。
花井さんは腕組みをしながら何かを考えた後、私の方を向いた。
あず 『そうですね・・・・』
天王寺 『おい、浅野』
浅野 『え』
天王寺 『俺らはモンステ周辺を洗うぞ』
浅野 『あぁ。わかった』
京橋 『では瑛希さんと私は駅周辺で訊きこみしましょう』
八千草 『はい』
桐沢 『よし、全員頼んだぞ』
一同 『はい』
各自コンビに分かれて2課を後にした。
花井さんは運転しながら時折りきゅっと口を結んで、あくびをこらえていた。
(眠いのは私のせいだよね)
あず 『花井さん、ごめんなさい。ゆっくり眠れなかったですよね・・・・』
花井 『こんなのいつものことだ。気にするな。事件が解決したら、たっぷり寝る』
花井さんは私に気遣うように微笑んでくれた。
信号が赤になり、車が止まる。
花井 『お前はちゃんと眠れたのかよ』
花井さんは私の方を向いて、目が合う。
あず 『はい・・・・。私だけゆっくり眠っちゃってごめんなさい』
花井 『しょうがないだろ。傷は痛まないか?』
あず 『はい、大丈夫そうです』
花井 『それならよかった』
花井さんはふっと口元に笑みを浮かべ、また前を見つめる。
その横顔を見ながら、昨晩のことが頭を過ぎる。
昨晩抱きしめられたこと。
好きって言ってくれたこと。
手をずっと繋いでいてくれたこと。
(花井さんと一緒にいると心からホッとする。どんどん惹き込まれていく。どうしてなのかな。こんな気持ちになるなんて・・・・)
青信号になって車が発進した。
あず 『花井さん、弟さんの具合はいかがですか?』
花井 『あと数日で退院できるらしい』
あず 『それはよかったですね。弟さん、花井さんにどことなく似てますね』
花井 『外見はな。中身は俺よりずっとやさしいぜ?』
(確かに弟さんは大人しそうでやさしそうな人)
あず 『そうかもしれませんね』
花井 『は?今なんつった?』
あず 『弟さんのほうがやさしいそうかもって』
花井 『認めるなよ、失礼なやつだな』
わざと私のことをジロリと睨むけど、その瞳はどこかやさしかった。
あず 『あと、弟さんは素直そうですよね』
花井 『"弟さんは"って、それじゃ俺がまるで全然素直じゃないみたいじゃないか』
あず 『え、花井さん、素直なんですか?』
花井 『・・・・・・しらねーよ』
(そういうところが素直じゃないんだけどな。でも花井さんってからかうと案外おもしろい)
花井 『両親も弟も、お前のこと、よくできた人だって褒めてた。かわいいとも言ってた』
あず 『わ、ありがとうございます。うれしい!』
花井 『俺は否定しておいたけどな』
あず 『え・・・・』
花井 『なんだよ、肯定してほしかったのかよ』
あず 『・・・・ちょっとくらいは』
花井 『どこを肯定すればいいんだよ』
あず 『全部』
花井 『あほ』
花井さんは鼻で笑ってみせる。
私もなんだかおかしくなって、2人で笑い合った。
工場に到着。
私たちはあの爆破事件の現場に立った。
花井 『すべてはここから始まった』
あず 『はい』
私は犯人に捕えられた現場に立ち止まる。
花井 『俺たち2課のメンバーが持ち場に付き、お前だけがそこに立っていた』
あず 『はい』
花井 『犯人がやってきて、お前を捕えた。どんな感覚だった?』
私は目を閉じて、あの日の記憶に集中する。
あず 『・・・・腕を縛り上げられて、・・・・今考えると、ものすごく強い力じゃなかったかもしれません』
花井 『恐怖から、強く感じていたということか?』
あず 『なんとなくそんな気がします。怖くて、身動きできなかったから・・・・』
私はまたあの日に意識を集中した。
でもそれ以上は何も浮かばなかった。
あず 『・・・・ごめんなさい。思い出せません』
花井 『気にするな。小部屋に入ってみるか』
あず 『はい』
私たちは爆発でひどく荒れた小部屋に足を踏み入れた。
花井 『お前はここで犯人に両手を縛られ、動けなくされた』
あず 『はい』
花井 『その間、犯人は何も言わなかったのか?』
あず 『ひと言も・・・・』
花井 『ひと言を発さず、お前を縛り、爆破ボタンを押した・・・・』
あず 『はい』
花井 『引っかかるな。ひと言も発さないというのが。声に特徴がある証拠だ』
あず 『方言とか、声の高さとか低さとかですか?』
花井 『ああ』
私は再び目を閉じた。
五感をフルに働かせ、犯人が残した手がかりに記憶を巻き戻す。
目で見た犯人の容姿。
耳に出来なかった犯人の声。
肌で感じた犯人の腕の強さ。
味の記憶はなにもないけれど、あの鼻をくすぐるような・・・・。
あず 『甘い匂い、・・・・なんの匂いなんだろう』
花井 『懐かしい匂いと前に言ってたな』
あず 『はい。日常にありふれた匂いです。特別ではない匂いです』
私は目を閉じたまま匂いを思い出し、それを吸い込んでみる。
花井 『甘くて懐かしい、日常的な匂い・・・・。匂い・・・・俺にとってそんな匂いはなんだろう・・・・』
私たちはしばらく黙って匂いを思い出そうとした。
花井 『何かを思い出せそうな気がするんだが、うまく結びつかない。頭を整理しないと。車に戻って考え直していいか?』
あず 『そうしましょう』
私たちは車に戻るため、小部屋を後にした。
工場の外に出たところで、胸ポケットに警察手帳が入っていないことに気付いた。
あず 『花井さん、私、警察手帳を落としたかもしれません』
花井 『は?ありえない、お前。何やってるんだよ』
あず 『ちょっと工場を見てきていいですか?すぐに戻ります』
花井 『じゃ、俺は車にいるから。早く行って来い』
あず 『すみません』
工場に再び入り、手帳を探す。
(どこに落としたのかな・・・・。命と同じくらい大事な手帳なのに。ない・・・・。見当たらない・・・・。どうしよう!!)
私はダメもとでカバンを覗き込んで、息を飲んだ。
あず 『・・・・信じらんない。あった、こんなところに!』
警察手帳はカバンの底に沈んでいた。
あず 『最低。こんなときに何やってるんだろう、私』
とそのとき・・・・
私は後ろから布のようなものを鼻に当てられた。
その瞬間、視界がぼやけ、目が回り・・・・。