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こんな日に限って、タクシーは捕まらない。
私はひたすら走った。
着るはずだったワンピースと、出来立てのケーキを抱えて・・・・
(天王寺さん・・・・・待っててくれるかな・・・・帰っちゃったかな・・・・怒ってるだろうな)
不安のせいなのか、走っているせいなのか・・・・
胸がぎゅうっと締め付けられるように痛んだ。
待ち合わせ場所に、天王寺さんはいなかった。
(・・・当たり前、だよね・・・・)
ため息をついてその場に座り込む。
息が切れて、喉が焼けるように熱い。
(せっかく天王寺さんが誘ってくれたのに、申し訳ないことしちゃった・・・・・)
後ろ向きなのは私のスタイルじゃないけれど。
今度ばかりは、落ち込んでしまう。
明るいジングル・ベルの旋律が、ますます自己嫌悪をあおった。
(愛想尽かされちゃったかな・・・・)
ふと、目の前が陰る。
あず 『・・・・?』
見上げると、天王寺さんが立っていた。
あず 『天王寺さん・・・・』
(待っててくれたの?)
天王寺 『・・・・あずお前、どういうつもりなん?』
あず 『ごめんなさい・・・・』
天王寺 『説明せえよ』
すごく怒ってる。
だけど・・・・待っててくれた。
あず 『・・・・ええと・・・・携帯忘れて・・・友達の家の時計が遅れてて・・・』
なんだか胸がいっぱいになってしまって、上手く言葉が継げない。
あず 『とにかく私の不注意です、ごめんなさい』
天王寺 『ただじゃ許されへん、一発殴らせろ』
天王寺さんは冷たい声で短くそう言った。
あず 『・・・・・分かりました』
女に向かって殴らせろなんて・・・・
普段の天王寺さんからは到底考えられない台詞だ。
それを、私は言わせてしまった。
あず 『ただ、後で後悔したり謝ったりしないで下さい』
天王寺 『は?』
立ち上がって、私は天王寺さんを見つめた。
あず 『私が悪いんです、だから・・・殴っても、絶対に後悔しないで下さい。天王寺さんが傷つく必要はありません』
天王寺さんはまっすぐな人だから・・・・
後から"女を殴ってしまった"と自分を責めるかもしれない。
それだけは、何が何でも止めたかった。
天王寺 『・・・・・・歯ぁくいしばれ』
あず 『はい、どうぞ』
喉を逸らして、目を閉じた。
・・・・・ヒュッ。
空気を切る音が間近で聞こえる。
風が起こって、頬にかかる髪を揺らした。
あず 『・・・・・』
(・・・・・・)
あず 『・・・・・・?』
(あれ?)
何も起こらない。
そろりと目を開けると、目の前に天王寺さんの拳があった。
天王寺 『・・・・ほんまに、お前は男らしいな、呆れてまうわ』
思いがけず優しい声。
あず 『え・・・・・?』
天王寺 『こんなんやから、みんなに女扱いされへんねん』
大きな拳から、キラキラ光る何かが零れ落ちた。
ブラリと垂れ下がったそれは・・・・・
あず 『これ・・・・ネックレス?』
クローバー型のネックレスだった。
これを開くと、ハートが4連になるデザイン。
若い女の子に人気のブランドのものだ。
天王寺 『これでも着けて、少しは女ぶり上げろ』
そう言って、天王寺さんは私の首に手を回して、ネックレスを付けてくれた。
走って火照った体に、ひんやりと心地いい。
あず 『・・・・・』
天王寺 『メリークリスマス』
あず 『・・・・・ありがとうございます・・・嬉しいです。・・・・・本当に』
天王寺 『大事にせえよ!』
照れ隠しみたいに、尊大な口調で天王寺さんは言った。
あず 『はい。家宝にします!大事に宝石箱にしまっておきます』
天王寺 『おい、しまうな。着けんかい』
あず 『アハハ、そうでした!』
天王寺 『・・・・・』
唐突に、天王寺さんは私を力いっぱい抱き締めた。
天王寺 『・・・ったく。心配させんなよ』
あず 『え・・・・・』
天王寺 『時間になっても来ぉへん、電話しても出ぇへん。なにかあったんやないかって・・・・ホンマ生きた心地せんかったわ』
あず 『すみません・・・心配していただいて』
天王寺 『当たり前やろ!痴漢とか変質者とか、最近多いからな!いくらあずが男らしい言うても、それは性格上の話で、見かけはしっかり女やし』
あず 『・・・・・』
天王寺 『お前の可愛さに変態が気付いたら・・・・あー、想像しただけで腹立つな。さっき女ぶり上げろって言ったけど、アレ取り消すわ』
あず 『・・・・・・へ』
顔を上げる。
すぐ間近から見上げる天王寺さんは、いつもに増して格好よく見えた。
天王寺 『俺以外の男がお前を女扱いするなんて、我慢できん!あずは俺の前だけで女でおればいい』
あず 『・・・・・』
天王寺 『何ニヤニヤしとんねん』
あず 『いや嬉しいなと思って・・・・・私も天王寺さんさえ女扱いしてくれたら、それで充分満足だから』
天王寺 『・・・・』
あず 『・・・・・』
見つめ合って、どちらからともなく唇を合わせる。
ジングル・ベルの明るい旋律が、今度はとってもロマンチックに聞こえた。
天王寺 『っていうか』
私の出で立ちをまじまじと見ながら、天王寺さんは首を傾げた。
天王寺 『よくよく見たらお前、大荷物やな』
あず 『ああ・・・・・ケーキとワンピースです。本当は友達の家で着替えようと思ったんですけど・・・』
天王寺 『何!?ワンピース?それは・・・・惜しいな・・・ちゅうか、何呑気に友達の家に行っとんねん。決闘の時間に遅れるなんて、ホンマに武蔵みたいなヤツやな』
あず 『あの・・・ちょっとこのケーキ作りに・・・』
天王寺 『え・・・・・』
あず 『あ、でもすごい走って来たから、たぶんもうグチャグチャです。どこかで新しいの買いましょう』
天王寺 『なんでやねん。よし。すぐ俺のマンションに行くぞ』
あず 『え?』
天王寺 『俺は何が何でも今すぐお前のケーキが食いたいんや』
あず 『でもほんとグチャグチャですって!』
天王寺 『グチャグチャでも、食いたいんや。ワンピース姿も見たくてしゃーない』
手を繋いで、天王寺さんの家に向かって歩き出す。
あず 『・・・・・・』
天王寺さんの笑顔を見つめながら・・・
私は嬉しさで胸が痛むこともあるのだと知った。
あず 『決闘は・・・・いいんですか?』
天王寺 『アホか。決闘にはベッドが必要やろ』
あず 『・・・・・・あ、あれは下ネタだったんですかっ!?』
(聖なる夜なのに・・・・・・!)
天王寺 『それになあ・・・・俺は寒空の下2時間も待ってたんやぞ』
あず 『あ・・・・』
天王寺 『つまり、や。お前には俺を夜通しあっためる義務があんねん!あー寒い寒い。寒くてかなわん!』
わざとらしく自分の肩を抱く天王寺さん。
あず 『・・・・電気毛布貸してあげましょうか』
冗談で返すと、天王寺さんはジロッと私を睨んだ。
天王寺 『枕係にあるまじき発言やぞ』
あず 『そうでした』
天王寺 『あずやないとあかん。あず以外受け付けん』
あず 『・・・・ありえない』
天王寺 『はぁ?ありえないだぁ!?何がやねん!』
あず 『ありえないくらい、嬉しいんです』
笑顔を向けると、天王寺さんは突然赤くなった。
天王寺 『お、お前・・・いきなりその顔は反則やろ。こ、心の準備ができてへん・・・・・不意打ちは卑怯や!』
あず 『・・・・・・』
頬が熱くなるのを感じて、私は天王寺さんから目を逸らして前を見つめた。
あず 『・・・・天王寺さん、知ってました?決闘は武蔵が勝つんですよ』
天王寺 『知らんわ、そんなもん!』
聖なる夜。
イルミネーションに彩られた街を並んで歩く。
ジングル・ベルの音色が、私たち二人を包んでいた。
ちょっと花井王子と展開かぶってません??
冗談でも女の子に”殴らせろ”なんて言う人イヤ!!
果たし状とか、変質者がどう~とか可愛かったな~
下ネタ一言あったし(-^□^-)
でもスチル・・・これ誰??
かわいすぎて変~(´_`。)
彼の男らしさが出てないわっ!!