ボルテージさんの恋愛ゲーム【特別捜査★密着24時】
愛する桐沢しゃんの完全レポです。
ネタばれありです!
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昨晩、自宅が何者かによって荒らされた。
身体の震えが止まらない私に気付いて、
桐沢さんは、自分の部屋に連れてきてくれた。
夜。迫ってくる恐怖にうなされ、寝付けなかった私の手を、
桐沢さんがそっと繋いでくれて・・・・。
あず 『よく寝れた・・・・』
桐沢さんの手の温もりに安心感を覚えて、
いつの間にか深い眠りについていた。
(上司のベッドを占領して熟睡だなんて、我ながら驚き・・・・・)
リビングへ行くと、桐沢さんは新聞を広げてコーヒーを飲んでいた。
あず 『・・・・お、おはようございます』
桐沢 『おはよう。よく寝れたか?』
あず 『はい。ありがとうございました』
桐沢 『ん。顔色もいいな』
にこっと微笑むと、またすぐに新聞に目を戻す桐沢さん。
桐沢さんも私も、まだパジャマ姿。
部屋には、朝の光がまぶしく降り注いでいる。
コーヒーのいい香り。
カサッと、桐沢さんが新聞をめくる音が聞こえた。
(なんか・・・・・新婚夫婦みたい・・・・・)
桐沢 『櫻井?』
心なしか桐沢さんの声も甘く聞こえる。
あず 『はい?』
少しだけ大人っぽく答えてみる。
桐沢さんが新聞から目を上げ、私の瞳を見つめる。
ふっと目が優しくなる。
(え・・・・・?)
ドキンと胸が鳴った。
桐沢 『お前・・・・・・・妖怪アンテナ、立ってるぞ』
あず 『!!??』
バッと頭を押さえる。
(ね、寝癖ついてたっ!?)
桐沢 『ははは。豪快だな』
あず 『・・・・・洗面所、お借りします』
(寝癖を突っ込まれるなんて・・・・・)
甘い妄想は一挙に吹っ飛んだ。
(っていうか、なに考えてんのよ、私は・・・・・)
桐沢 『どうぞ、どうぞ』
クスクス笑いながら、桐沢さんはまたコーヒーを口に運んだ。
おかしな妄想は一切排除して、頭を仕事モードへと切り替える。
入手した情報によると、取引は正午。
天王寺 『っつーか、なんでこんな真昼間から・・・』
花井 『俺たちの警戒が一番解ける時間帯だって、分かってるんだろう』
京橋 『それだけ大きな取引ってことでしょうね』
八千草 『わくわくしますねー』
浅野 『・・・・不謹慎』
八千草 『すいません・・・・』
桐沢さんを中心に全員が集まって、摘発の最終打ち合わせが始まった。
現場の見取り図を見ながら、想定される敵の人数と動きを確認。
それぞれの持ち場が決定された。
すべてを確認して、来るべき時に備えなくちゃいけない。
桐沢 『よし、気合入れて行くぞ!』
一同 『はい!』
私たちは、気持ちを引き締めて、一斉に立ち上がった。
あず 『ふう・・・・・・・』
思わずため息をついてしまう。
摘発は、一人の怪我人を出しただけで、思っていたよりあっさり終わった
・・・・・ような気がする。
正直言って、摘発の瞬間はあまり覚えていない。
とにかく無我夢中だった。
踏み込んだ瞬間、一瞬の静寂の後、怒号と破壊音に満たされた室内。
暴れる密売人を取り押さえ、逃げようとする買い手を追いかけて・・・・・。
とにかく足手まといにならないように必死だった。
八千草 『あずちゃん、お疲れ!』
瑛希くんが、運行する最後の逮捕者を連れてきた。
現場のゴタゴタも何とか収束。
これから警視庁に帰って夜通し取り調べをすることになる。
あず 『お疲れさま!』
天王寺 『まじ疲れたわー』
天王寺さんもやってきた。
天王寺 『帰ったら取り調べか。腕が鳴るわ』
密売人 『・・・・・・・・・・・・・』
密売人は、天王寺さんの不適な笑みを見て、青くなった。
どこにでもいるような茶髪の若者で・・・・・・
(んっ?どこかで見覚えが・・・・・)
あず 『あ、あなた・・・・・!この間、あの住宅街で堺警視監にメモを渡してた人だね』
密売人 『・・・・やっぱり、アイツが裏切ったか』
あず 『え?』
密売人 『情報の出所は堺だろ。・・・・・そんなことだろうと思った』
天王寺 『アホか。お前らの考えることなんてお見通しやっちゅーねん』
八千草 『警視庁の情報網なめてもらっちゃ困りますよ』
あず 『そう。今回の摘発に、堺警視監は関係ありません』
密売人 『フン。しらばくれたって、もう遅い』
天王寺 『あ?』
密売人 『とっくに手は打ってある』
(・・・もう遅い・・?手は打ってある・・・?・・・・・・・・・・・・・・・・まさか!)
パッと、天王寺さんと瑛希くんと顔を見合わせる。
あず 『桐沢さん!』
桐沢 『どうした?』
あず 『堺警視監が組織に狙われてます』
桐沢 『・・・・・・密告者だと思われたか』
あず 『はい。逮捕した密売人が、「すでに手は打ってある」と・・・・・・急がないと危険です』
桐沢さんは素早く携帯電話を耳に当てた。
桐沢 『特命二課の桐沢だ。堺警視監を頼む。・・・帰った?わかった。ありがとう』
通話を終えたと思ったら、すぐさまどこかにかけ始めた。
あず 『桐沢さん、堺警視監はもう帰られたんですか?』
桐沢 『ああ。小口取引の摘発はとっくに終わって、事後処理を下の者に任せて帰ったらしい』
あず 『・・・・・そうですか』
だとすれば、堺警視監は今ひとり。隙だらけということになる。
桐沢 『天王寺、八千草!お前たちはそいつから詳細を聞き出してくれ』
天・八 『はいっ!』
話しながらも、ケータイでどこかへ電話し続けている。
桐沢 『・・・・・くそ。留守電か』
(きっと、堺警視監の自宅に向かう・・・・・・・・)
確信は持てないけど、桐沢さんならそうする気がする。
どうしよう・・・・・。
(覆面パトカーを手配しとこう・・・・)
新たに車を手配して戻ると、桐沢さんは厳しい顔で電話を睨んでいた。
あず 『桐沢さん・・・・・?』
桐沢 『ああ、櫻井。覆面1台手配してくれ』
あず 『もうしました』
桐沢 『お!そうか。気が利くな』
あず 『いえ・・・・それより、どうなってますか?』
桐沢 『堺警視監に繋がらないんだ。家は留守電だし、携帯は電源切ってあるか、届かないのか・・・どっちにしろいい兆候じゃないな』
あず 『まさか、もう・・・・・』
桐沢 『いや、まだ分からない。帰宅途中かもしれないしな。とりあえず、家に向かおう』
あず 『はい』
私たちは急遽、堺警視監の自宅に向かった。
堺警視監の家は、案の定、誰もいなかった。
庭に回り込んでも、防犯灯が点くだけで、人の気配はどこにもない。
あず 『帰宅途中、どこかに立ち寄ってるとか』
桐沢 『・・・・だと、いいけどな』
門の前で、こちらを伺っている中年女性が目に入った。
桐沢 『あの女性、なにか知ってそうだな』
あず 『そうですね。声、かけてきます・・・・』
あず 『すいません!』
女性は、警察であることを明かすと、ほっとした表情を見せた。
桐沢 『どうかされましたか?』
中年女性 『ついさっき、ここの家の堺さんが、柄の悪い男達と一緒に車に乗るのが見えたのよ』
あず 『え?』
中年女性 『2.3言交わして、乗り込んだけど・・・・・一瞬だけ、銃みたいなものを突きつけられてるように見えて・・・』
桐沢 『・・・・間違いないですか?』
中年女性 『それが・・・あんまり自信ないんだよ。銃みたいなヤツは車が通り過ぎるほんの一瞬に見ただけだから・・・・断言できないし、通報していいもんかどうか悩んでたら、あんた達が来たんだよ』
桐沢 『そうですか・・・・車はどっちに向かいましたか?』
中年女性 『あっちだよ。あの角を左に曲がってった。聞き間違えじゃなきゃ、大井埠頭とか大井競馬場とか言ってた気がする。あとは、廃墟かどうとか、倉庫がどうとか』
桐沢 『大井・・・・・倉庫・・・・・』
あず 『どんな車でした?』
中年女性 『黒塗りの・・・・よく知らないけど、なんだか高そうなセダンだったねぇ』
戸惑いつつも、女性は懸命に思い出しながら話してくれた。
桐沢 『人は、何人くらいいました?』
中年女性 『男が3人か4人くらい・・・・だったか・・・・』
桐沢 『そうですか・・・・お名前とご住所を教えていただいても差し支えありませんか?』
中年女性 『ああ、いいよ』
女性は快く応じてくれた。
中年女性 『堺さん、なんか危ない目に合ってるのかい?』
桐沢 『それは、まだなんとも・・・・・』
中年女性 『お願いだから助けてやってちょうだい。うちの人が単身赴任の時、堺さんにはずいぶん助けてもらったんだよ』
あず 『え・・・・・』
中年女性 『力仕事頼まれてくれたり、物騒だから・・・・・って防犯ライト設置してくれたり・・・・なのにお礼も受け取ってくれないんだよ』
女性は、車が去ったという方を見てから、私たちに深々と頭を下げた。
中年女性 『ね。だからってわけじゃないけど・・・・・助けてやってほしいんだよ。よろしくお願いします。この通り』
あず 『・・・はい』