ボルテージさんの恋愛ゲーム【特別捜査★密着24時】

愛する桐沢しゃんの完全レポです。


ネタばれありです!





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堺警視監と桜刃組の繋がりを徹底的に調べはじめた特命二課。

行き詰まりを見せていた捜査が、あっと驚くほどの速さとタイミングで進展し始めた。
参考人の取調べをしていた天王寺さんが、部屋に駆け込んでくる。

天王寺  『男が吐きました!』

桐沢  『ほんとか!?』

京橋  『天王寺さんの勢いを前にしたら、誰も吐かざるを得ないですよ・・・・』

桐沢  『よくやったお前たち!』

あず  『で、何て言ってるんですか?』

天王寺  『桜刃組は、小口取引を摘発させる代わりに大口取引を見逃してもらってたんや』

あず  『・・・・・・そんな取引を?』

八千草  『堺警視監は摘発日時の情報をリークする見返りとして、小口取引で摘発件数を稼いでたんですね・・・・・』

京橋  『刑事部長としては、麻薬摘発件数の数が多ければ多いほど嬉しいですからね』

花井  『桜刃組が小口の取引情報を堺警視監に渡して、大口取引に捜査が向かないように誘導したとも考えられるな・・・・』

京橋  『同じ穴のムジナですね』

その時、ドアが開いて浅野さんが入って来た。
天王寺さんの前に立つと、小さく口を開く。

浅野  『170センチ前後、小太り、40代前半、左顎にホクロ・・・・・間違いない?』

天王寺  『ああ、あの堺警視監と一緒に観覧車に乗った男やな?そこにブサイクって項目も付け足しといてんか』

花井  『私怨が入ってるな。そんなに悔しかったのか、ピンクのウサ・・・・・』

天王寺  『客観的事実やアホ!』

浅野  『コレですか?』

浅野さんはヒラリと一枚の写真を天王寺さんの前にかざした。
そこには子供にせがまれて、ポーズを決めるピンクのウサギが映っていた。

天王寺  『・・・・・コイツ・・・・・!』

みるみる顔を赤くする天王寺さんを無視して
浅野さんは桐沢さんに向き直った。

浅野  『ボス、観覧車に乗った男は桜刃組のナンバー2です』

桐沢  『・・・・そうか・・・』

京橋  『こちらでも少し分かったことがあるんですが・・・・・堺警視監はその摘発件数を前面に出して、お偉方に働きかけているようです。自分を次期副総監に、と』

あず  『お偉方・・・・・?』

桐沢  『・・・・・そうか、現副総監は今年度いっぱいで定年退職だ・・・・その後釜におさまろうって魂胆だったのか』

副総監・・・・・・。
警視総監に次ぐ警視庁のナンバー2の座を、堺警視監狙っている。

あず  『・・・・まさか、そのために・・・・?』

出世のために、罪を犯してまで摘発件数を稼いだということだろうか。

桐沢  『広島での表彰やら、警視庁への栄転で、味を占めた・・・・ってわけか・・・・』

(警視監ともあろう人が、そんなくだらない理由で・・・・)

そこにいる誰もが一様に胸の悪くなるような思いを噛みしめていた。

一同  『・・・・・・』

・・・・・ともあれ、話はつながった。

桐沢  『・・・・とにかく、後は証拠と自白だ。手分けして追い込みかけるぞ』

一同  『はい!!』











翌日、私たちは全員で、これまで以上に手を尽くした。
7人全員が全力で臨んでいる。

自白はともかく、証拠のひとつくらい掴めてもいいはず。
だけど、次の日も、その次の日も、そのまた次の日も・・・・・・・
1週間経っても、証拠は何も出てこなかった。

京橋  『さすがは幹部、尻尾を掴ませませんね・・・・』

あず  『そうですね・・・・』



午後6時半。
今日もまた、何も掴めないいままになりそう。

天王寺  『ったく、無駄なところにばっかり頭使いよって、堺めっ!』

八千草  『知恵はないけど悪知恵は働くってタイプですね』

花井  『かなり厄介だな・・・・どうすりゃいいんだ・・・・』

浅野  『・・・・・・・』

浅野さんがついたため息が、やけに響いた。

桐沢  『なーに言ってんだお前ら。たかだか一週間かそこらで、頭抱えてんじゃねーぞぉ』

桐沢さんのノーテンキな声が、ため息の波紋を破る。

桐沢  『・・・・よし。今日は今すぐ全員退庁だ!』

一同  『えっ!?』

桐沢  『根詰めすぎると息切れするからな。ここらでちょっと一息つけ。お前ら、この事件入って来てからろくに休んでないだろ』

花井  『で、でも』

桐沢  『今日だけだ。明日からはいつも通り、昼も夜もなく働いてもらうぞ』

花井  『わかりました。よし、みんな帰ろう』

桐沢  『ほら、櫻井も帰れ』

あず  『・・・・・でも・・・・・』

桐沢  『でも、は禁止。どうせ1日だけだ』

天王寺  『ボスも帰るんですか?』

桐沢  『おう。もちろん俺も帰る!っつーわけだから、行くぞ。解散!!』

桐沢さんの一声で、私たちは帰路についた。
少し昼の名残の残る夕方の空をゆっくり見上げるのは、ひどく久しぶりのような気がした。

家に着くと、途端に眠気に襲われてベッドに倒れ込む。

自分が思うより疲れてたのかもしれない。


(化粧落とさなきゃ・・・・スーツも脱いでないし・・・・・)


だけど、体はベッドに縫い付けられたみたいに動かない。


(あぁ・・・・歯、磨いて・・・ない・・・)


いつの間にか、目を閉じていた。









ふと目を開けると、時計の針は午前3時を指していた。


あず  『・・・・・』


今の自分の状態を思い出す。


シャワーも浴びず着替えもせず、昏々と眠り続けていたらしい。

ブラウスはシワくちゃだ。


家に着いたのが7時半。

その途端に寝たから、たっぷり7時間半も寝てしまったことになる。


(どうりで頭がすっきりしてるわけだよね・・・・)


私は大きく伸びをして、ベッドから飛び起きた。


(わぁ、体も軽い!そうだ、お風呂に入ろう!ゆっくり半身浴をして、パックもしちゃおうっとコーヒー淹れて、ホットサンドでも作って・・・・・)


軽い足取りで私はバスルームに向かった。








時刻は朝6時。

長風呂してもゆっくり朝ごはんを食べても、時間が余ったので私は早々に登庁することにした。


あず  『すいませ~ん、特命二課です』


二課の鍵を受け取るため、守衛室の小窓を開けて、警察手帳を提示する。


守衛  『特命二課?ああ、いつもお疲れさん。今帰りかい?』


あず  『・・・・・・はい?』


(帰り・・・・・?今、朝だよね?)


守衛  『課長さんは一緒じゃないの?お宅さん女の子なのに大変だね~』


あず  『あの・・・・?私、今来たところなんですけど・・・・』


話がかみ合わない。


守衛  『は?あれ?お宅さんはいま出勤か。早いね~』

あず  『はい』


守衛  『・・・・・・・』


あず  『・・・・・・・』


守衛  『どうした?行かないのかい?』


あず  『あの・・・・課の鍵を・・・・・』


守衛  『鍵?ここにはないよ、開いてる。お宅の課長さんがまだ課にいるだろう』


あず  『・・・・・えっ!?』


(まだ、ってことは・・・・家に帰ってない・・・・ってこと!?)


あず  『・・・・分かりました。ありがとうございます』


守衛さんに頭を下げて、私は二課へと急いだ。