古めかしい病院の診察室の一室で、星読みヒーラー yujiさんの対面 sessionを受けている(以下 Yさん)
session が終了すると、Yさんは診察室のつい立ての奥に置いてある簡易ベットに横になりクタクタになった体を休めるように眠りへ落ちていった。
私は、帰るわけでもなく、簡易ベットの傍に置かれているボロボロになりかけてる茶色いソファーの上に腰を下ろした。
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Yさんは寝汗を大量にかいては、時折 頭をかきむしるような素振りを見せて なにやら酷くうなされていた。
私はソファーから その姿を祈るようにただ見つめることしか出来ずに座っていた。
それから、だいぶ時間が経った頃、Yさんは静かに目を覚まして、脱力した体を起こしながら つい立ての端から私のことを見ると『頼まれていた石(ブレス)がもうすぐ出来上がりますけど、このまま取って行かれますか?』と聞いてきた。
『そのまま郵送でそちらに送ることもできるけど…』と続けるので、私は『いえ、このまま受け取りたいです…』と素直な気持ちを伝えた。
Yさんは『分かりました』と答えて、また診察室へと戻ってきて椅子に腰を下ろした。
私はトイレに行きたくなったので、一旦その部屋を出ることにした。
診察室の外に出ると、ガラーンとした人気のない殺風景な古い病院の長い廊下が左右に伸びていた
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その人気のない廊下の先にあるトイレめがけて歩いていると、途中、外庭へと続く開け放たれた大きな扉(通路)の前を通りがかった
歩きながら横目でチラッと覗きみると、その扉の先の外庭は、まるで別次元のように明るくて緑豊かな世界が広がっていた。
中央に大きな噴水があって、キラキラと光を反射する水が吹き出していて、その周りをはしゃぎながら子供達が走り回っている。
その周りは蝶や小鳥が舞い、暖かな日差しが差し込むまるで楽園のようだった。
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一瞬にして心が癒されるような……
そんな気分になった。
トイレで用を足して診察室に戻ると、部屋の中央に先程までは無かった大きな銅なべが火にかけられていて、Yさんは大きな木べらを持ち、大きな銅なべで具沢山のスープを煮込みながら、木べらをグルグルと回していた。
『あぁ、ちょうど良いところに来ましたね、これをどうぞ食べて行ってくださいな…』と言って、Yさんは私を呼んだ。
鍋の中を覗き込むと、カボチャや根菜、葉物野菜やロールキャベツのようなお肉など、色んな具材がゴロゴロとごった煮のように煮込まれていた。
『ほぉ、美味そうだな!』
背後から声がして振り返ると、とても体格のいい大男が立っていた。
『一杯、貰おうか』と言い、Yさんにスープをよそってもらって手近な椅子にドカッと座り食べ始める。
次に、Yさんは私に『どれをよそいますか?』と聞きながら、手際よくパパパッと野菜をよそい、そのあと手近な場所に浮いていたロールキャベツ風のお肉をすくいそうになった。
私は咄嗟に『あ、お肉はいらないです』と言って、カボチャや野菜をたっぷりとよそってもらったスープボウルを受け取った。
『なるほど、全ての素材をそのまま入れるから、外側は硬くなっても、中がホクホクと一番いい状態になるんだな、それを狙っているわけか…』と先に食べ始めた男の人が、なにやら分析しながら舌鼓を打った。
Yさんは『よく分かりましたねー、そうなんですよ、そこなんですよ!』と、なんだか嬉しそうに笑って返事をした。
他にも鍋の香りに誘われたのか、ガチャッと診察室の扉が開き 中学生くらいの子供を連れた男の人が入ってきた。
二人は真っ直ぐ鍋の前にきて、鍋の中を覗き込んだ。
そして中身を確認してから、男の人は『ここで肉を食わないなんて勿体ねぇ! 俺はその肉を沢山入れてくれ!』と言い、連れの子供も『俺も!そこと、そこのお肉も入れてください!』と言って、沢山のお肉を入れてもらったボウルを受け取り、二人共とても美味しそうに食べ始めた。
私はスープを食べきり、Yさんにお礼を言って診察室を後にした。
そして、途中で見かけた緑あふれる外庭に向かって歩き出した。
楽園にでも行くかのような、はやる気持ちを抑えて扉をくぐると、一気に視界が開けて空気が一変した。
気温も暖かくて緑豊かな自然が広がる空間には、大人も子供も沢山の人達がいて、畑を耕していたり、遊んでいたり、おもいおもいに時を過ごしながらみんな穏やかに生活をしている様子が見て取れた。
ただ不思議に思ったのは、そこに居る人達が皆んな、着物を着ていたり、布をたくさん纏っていたり、アイヌのようなを服装をしていたりすることだった。
畑を耕している男の人は江戸時代の農家さんみたいだったり、割と着物率が高く、女の人は色んな野菜や木の実が入ったカゴを持っている率が高い。
そして何より目を引いたのは、大人も子供も皆んな 頭のてっぺんから何かを生やしていた。
それは木の枝のような…ツルのような…
所々に葉をつけている…。
しかし、皆の頭から生えているソレはどれをみても茶色く枯れて萎びれていた。
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まさかな…と思って自分の頭にも手を持っていくと、なんと皆んなと同じように自分の頭にも茶枯れた葉をつけた木が生えていた。
驚きと衝撃をうけていると…
『あらこんにちは、どこから来たの?』と数人の住人達が近寄ってきて笑顔で話しかけてきた。
私は通って来た道と建物を指差し『あそこから…』と答えた。
みんなが建物の方に目をやった時、鍋を食べにきた二人組が『あぁ~美味しかったな』と言いながら満足そうに建物の中から戻ってきた。
『皆んなは ここで何をしているの?』と聞くと、野菜や草や木の実が沢山入ったカゴを少し持ち上げて『みんなが食べる食物を採ってるのよ』と女性がニコリと微笑んで答えてくれた。
すると突然、背後からまるで怒号のような轟音が響き渡り その場にいる全員の視線が建物へと注がれた。
建物の扉が黒く揺らめいて中から大きな獣が ドス…ドス…と大きな足音をたてながら現れた。
全員に緊張が走り、みな息を飲んだ。
獣の顔はヤギの骨のマスクのようで、目の窪みは黒々とした深い闇を放ち、全身を赤黒い毛が覆っている。
二足歩行で歩き、手には大鎌が握られていた
私を含めその場にいる全員が恐れから身動きが取れなくなっていると、その大鎌の獣は低くて野太い声で『ここに肉を食べたものがいるだろう… 何処にいる…』と言い、ゆっくりと私達を見回した。
誰も声を出さない張り詰めた空気の中、獣は突然狙いを定めるかのように 男性と男の子を見つけ 大鎌を振り下ろしながら飛びかかった
彼らの顔には「なぜ分かったのだろう!?」という驚きと動揺が溢れていたが、彼らの頭から生えていたツルは皆のそれとは違い、とても綺麗で水々しい緑色の葉をつけ、更には綺麗な花を咲かせていた。
しかし本人達は そのことに気づいていないようだった。
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獣は、彼等の頭から生えている美しいツルを掴み 根元から大鎌を噛ませ容赦なく刈り取った。
途端に彼らは足元から崩れ落ち、獣も消えた…。







