以前のブログで「娘道成寺」という作品についてご紹介させていただきました。
今日は「藤娘」という作品をプチご紹介です。

「藤娘」は非常に人気のある私にとっても一度舞台で舞ってみたい憧れの演目の一つです。
「娘道成寺」は全編約70分もかかりますが、「藤娘」は約25分です。
25分より短い演目も長い演目もたくさんありますが、一般的な長さの作品と思います。

元々は、元禄時代(1688~1704)大津の土産品の大津絵の中に混じっていた
藤の枝を担いだ美しい女が絵から抜け出して踊るという曲でした。
古くは「遊女」でそうした浮世絵も残っているようですが
現在では「藤の精の宿った美しい娘」となっています。
この「藤の精の宿った美しい娘」というところに
女性が「踊ってみたい」と思わせる魅力があるのやもしれません(笑)

舞台背景は、中央に大きな松の木。その幹にからむ舞台いっぱいの藤の花。
その豪華で綺麗な背景の前に立つ美しい娘。
藤の精が花から抜け出たつもりです。
この若くて美しい娘が男の人に恋して舞う姿を描いているのですが
一見純情そうで実は色っぽいところもまた心を惹かれる要素の一つかもしれません。

具体的には、曲の途中で「藤の根元に酒を注ぐと成長が早まる」という伝説をもとに
藤の花の精であるあどけない娘が次第に酒に酔いしれていく様(酔態)を見せる部分があり
その辺に色気を感じる方が多いのではないでしょうか。

上にご紹介しましたのは現在の「藤娘」で、調べてみると歴史の中で
色々に踊りは変化してきたようです。
その「時代」というものを感じる小さなエピソードを一つ。

「藤娘」(「娘道成寺」)にも入っていますが、踊りの演出の中に「クドキ」というものがあります。
これは自分の心を相手に訴える、舞踊の女性役の見せ場です。
相手(舞台では見えないかもしれませんがいるつもり)は男性のことが多く
一曲の中心をなしています。
一番多いのは愛情表現で、愛情の深さゆえ離れ難いという心情を描写します。
一人踊りであったとしても、相手がいるつもりで踊りかけ
例えば手を握ったり叩いたりという仕草で心情を訴えかけます。
ほとんどが女性に主導権がある動きになります。

江戸時代など昔の女性はきっと現実の世界では恋愛感情が抑圧されていたのでしょうね。
なかなか表で表現できない感情を舞台上の積極的な女性の役にシンクロさせながら
観客の女性たちは舞を楽しんでいたのではないかと思います。
これは日舞に限らず、舞台全般にいえることかもしれません。
とすれば、将来また日舞の演出などが時代背景によって変わっていくことも考えられますね。

今回、言葉での説明だけで写真を全く載せられなかったのが残念。
私にとっても憧れの演目の一つである「藤娘」。
いつか舞台上でその可愛らしくも妖艶な様を表現できたらと思います。
(厚化粧とカツラに頼って容姿をごまかしながら^^; )
そうしたら、その時には写真を載せてまたご紹介できればいいな。

そんな日を夢見ながら・・・