思い出に囲まれて・・・ | 「窓辺の風景」 ・・・喜・想・哀・楽  

「窓辺の風景」 ・・・喜・想・哀・楽  

かけがえのない大切な時の流れ・・・
心の窓を開いて望む一瞬の風景を、優しい言の葉で綴ります。


「窓辺の風景」 ・・・喜・想・哀・楽  




イチゴ農家の友人から、出荷基準に満たない小ぶりのイチゴを、一箱分ももらっちゃいました 音譜

「ジャムやジュースにしたらいいよ♪」と言われたけれど、たぶんそのまま口に放り込み

あっという間になくなるでしょう(笑) 明日帰省予定の、長男家族にもちびっと取っといてやろうか?!


昨年秋の初ひ孫対面が、のんちゃん急病のために延期となってしまいましたが、今日の午後の便で

四国のひいじじばばの元へ飛び、明日の夕方から新幹線経由で福岡に戻ってきます。

友人の結婚披露宴に夫婦で出席するらしく、日曜日はもし私に仕事が入れば、新米じじいが一人で

孫のお世話をすることになっています。初めは余裕こいてたのに、最近はちょいと逃げ腰気味(笑)

はてさて、如何なる展開になりますやら~~( ´艸`)



前回の記事では、お手紙の代読に関するお話を紹介しましたが、その翌日にもまた同じような

代読のご希望があり、こちらもお好きでいらしたというトランペットの曲に合わせて、淡々と(笑)

語らせていただきました。今回は自筆のお手紙ではなく、オリジナルの会葬礼状に綴られた

ご家族・・・特に奥様の思いを伝えて欲しいとのこと。すでに、皆さんもご覧になったことがおありだと

思いますが、御通夜やご葬儀に出向かれた際に受け取られることの多い、会葬者への返礼品には

お礼状が添えてあります。各葬儀社が準備する定型文タイプに加えて、最近は故人の思い出や

ご遺族の感謝の思いを綴ったオリジナル礼状も増えてきました。

おそらく、いただかれた方たちは必ず目を通されるとは思うのですが、いちおう念のため(^^;)

私はナレーションの際などに、内容までは含みませんが、そうした思いが綴られていると言うことを

お伝えするようにしています。そうすると、ご出棺までの待ち時間などに取り出して読んでいらっしゃる

会葬者のお姿もあったりします。見積りの段階で、定型文にするかオリジナルにするかを決めて

オリジナル文の作成にあたっては、別の依頼業者が電話取材を行い、お聞きした内容を文章に組み立て

ご遺族に納得していただいた上で印刷へと進みます。

60代半ばのご主人を見送られる奥様は、出来上がった礼状をとても気に入っていただけたのでしょう。

遺族代表の謝辞は、ご長男に任せていらっしゃいましたから、ご自身の思いを含めた文章を

ぜひ皆さんにご葬儀の場で伝えたいと思われたに違いありません。担当者との打ち合わせの際に

そうしたお申し出があると聞き、直接お会いする前に礼状のコピーをいただいて、何度も読み返し

それから奥様との打ち合わせに臨みました。

亡きご主人とほぼ同い年とは思えないほどお若い印象の奥様は、「よろしくお願いします。」と

深々と頭を下げてくださり、式進行の確認事項もスムーズに進み、とても初対面とは思えないほど

笑顔も交えながら話も盛り上がるばかりでした。

「とにかく明るい人で、いつも冗談ばっかり言って家族を笑わせてくれてました。子どもたちには

 ふだんはとても優しいんですが、叱る時はものすごく怖くて、いまだに長男は父親の言うことには

 逆らえないと苦笑いすることも多かったんですよ。病気になってからは、それまでやったことの

 なかったトランペットを吹き始めたり、絵を描いたり彫り物を始めたり・・・・。部屋の中には

 主人が残したものが溢れてて、それに囲まれているとついつい辛くて、涙が出てしまうんです。」

ご遺影は、つい最近までご家族が見慣れていたはずの、とびきりの笑顔です。それも、明るい笑い声が

聞こえてきそうなくらいの・・・・。私はこのお宅に伺ったこともないですが、お部屋の壁にかけられた絵や

家具の上に並べられた木像などを勝手に想像しながら、独り言のようにつぶやきました。

「奥様、それって幸せなことじゃないですか?思い出の品に囲まれて、見たり触れたりするたびに

 ご主人が残されたいろいろな思い出の場面が蘇って、それをまたご家族と一緒に笑いながら

 お話したりできるのですから・・・。」

隣にいらした奥様が、一瞬驚いたような表情をなさり、それからゆっくり笑顔に変わっていきました。

「そう・・・・そうなんですね。そんな風に考えると、悲しいばかりじゃないかも知れませんね。

 私、主人が残したものがたくさんありすぎて、どう処分したらいいのかって考えていたけど

 そのままにしておいて、思い出しては泣いたり笑ったりしてもいいってことよね?」

大切な人が、そこにいたことの証を、早急に消してしまう必要などないのです。悲しみのコントロールには

何が正しくて何が正しくないのか、それは誰も決められない。その人自身が選択すればよいこと・・・。

れいさん  のように、沈黙を共有してあげることも、ほとばしる思いを誰かに聞いて欲しいと望む人には

ただ黙って聞いてあげることも、今回の私のように、ちょっとお節介でも違った感じ方を口にすることも

受けとめ方は、100人100様。柔軟性が、心を癒すポイントではないでしょうか・・・。


仕事を終えて遅い昼食を共にしながら、奥様と交わした会話について年配の女性スタッフと話をしていると

彼女は、昨年の秋にお母様を見送ったばかりなのですが、お母様が愛用していらした裁縫箱を見ると

つい涙が出て悲しくなるので、今はまだ押入れに直し込んでいると・・・。でもいつか、形見となってしまった

その裁縫箱を使える日がくると思うとも言いました。それぞれの状況に合ったグリーフケアがあると

あらためて感じたのでした。


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