映画(邦244)D坂の殺人事件 2015年作品/ 明智小五郎の登場 | ビート・マンのブログ

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江戸川乱歩

大人向けの作品です(二十面相は出ません)
 
原作:江戸川乱歩
監督:窪田将治
主演:祥子(花崎悦子)
出演:河合龍之介郷田三郎
   :草野康太(明智小五郎)
   :木下ほうか(花崎:古本屋主人)
原作とは異なる犯人。ストーリーは映画用です
 
本作「D坂の殺人事件」は江戸川乱歩が明智小五郎を初めて登場させた作品である。D坂とは団子坂(東京都文京区)。子供向け小説(少年探偵団)はこの原作の11年後に発表される。映画作品としては「屋根裏の散歩者(2016年)」に続く内容になっており、郷田三郎がキーマンとなっている(本作の犯人ではない)。
 
物語は古本屋の女将・花崎悦子が蕎麦屋の店主と不倫している事実から始まる。それを目撃した郷田三郎が一目で花崎悦子に惚れてしまい、彼の性癖である「屋根裏散歩」で自慰行為を行う。
 
しかし次の日に蕎麦屋店主の死体が川岸で発見される。警察は自殺で終わらせようとしたが、浪越警部の知人・明智小五郎は独自に調査を開始する。
 
惚れた女性の不倫相手が死亡したことで、郷田三郎は花崎悦子に接近し思いを告げる。初めは拒否していた花崎悦子だが、郷田三郎の思いを突然受け入れた。彼女には「マゾ」の一面があり、蕎麦屋の店主との間にSM行為の秘密が存在し、それを郷田に見られていた。
 
郷田の性癖は「覗き」。自分が住むアパートの屋根裏を徘徊し、覗き見ることに喜び、女性の部屋を覗いては自慰行為を繰り返していた。
 
ある日、花崎悦子は郷田のアパートに突然現れ関係を深める。なぜ彼女はその行動に出たのか。実は彼女の旦那が仕向けており、彼も異常な性癖を持っていた。花崎夫婦と郷田三郎の歪んだ関係が進む間に、明智小五郎は妻・明智文代に聞き込みや尾行をさせていた。
 
浪越警部も明智小五郎の依頼で花崎夫婦の関係を調べると、二人は義親子の関係であることが判明する。義理とは言え親子なのに男女の関係を持ち、更に他の男性との性交を覗いて自慰行為をする。異常な花崎の性癖が全て明らかになった時、花崎悦子は義父を絞殺する。
 
その絞殺の際、蕎麦屋の店主を殺害したのが悦子であり、義父はその現場を覗いていたことが明らかなる(死体を処分したのは義父)。既に精神的苦痛の限界まで来ていた悦子は、義父との性交中に彼の快楽を頂点に達するため首を絞めたのである(悦子が義父に奴隷の如く扱れたのか?明確にはなっていないが実母の死が原因と明智は推測)。
 
この事件に巻き込まれた郷田三郎。実は悦子に父を殺してと頼まれたが実行できなかった。その後悔が次作「屋根裏の散歩者」につながる。
 
極端に強い性癖を持つ男性達に苦悩した悦子。文章にすると「独りよがりの快楽主義者」が一人の女性をどん底まで落とした結果となるが、実は調教された悦子自身も快楽を味わっていた。大人向けの難しい微妙な映画ですので、興味を持った大人だけ鑑賞しては如何でしょうか。
 
映画 D坂の殺人事件 2015年公開(お薦め度★★☆☆☆