んで、さっそく、続きなんだけど、この『スキヤキ・ジャンゴ』は、『マカロニ・ウエスタン』へのオマージュ作品なんです!
(マカロニ・ウエスタンの代表作『荒野の用心棒』)
マカロニ・ウエスタンっていうのは、1960年代にイタリアで作られた西部劇のことで、とても暴力的なシーンが多く、西部劇のイメージを変えたジャンルのこと
海外では『スパゲッティ・ウエスタン』って呼ばれてるらしいんだけど、有名映画評論家の故・淀川長治さんが『スパゲッティでは細くて弱そう。マカロニが良いんじゃん!』って言ったから、日本ではマカロニ・ウエスタンって呼ばれるようになったみたいよ!
淀川さん『マカロニなんですねぇ。さよなら、さよなら!』
(知らない人もいるかもしれないけど、淀川さんはTVの『日曜洋画劇場』という番組で最後に必ず『さよなら、さよなら!』と言うのがお決まりだったんです!)
マカロニ・ウエスタンがなんで作られたかというと、当時のイタリア映画は不況で、お金がなかったんです!
だから、低予算で斬新なものを作らなければならなかった
んで、ハリウッドでまだ大物ではない若手の俳優を使ったりして西部劇を作っていたんです!
そのマカロニ・ウエスタンに出演した若手俳優の中には、その後有名になった俳優がたくさんいて、1番有名なのがクリント・イーストウッドです!
『ワシじゃあ~!』
そんなんで、一つのジャンルとして確立したマカロニ・ウエスタンなんだけど、その残虐なシーンがある映画を愛したのがクエンティン・タランティーノなんですね!
ビデオショップの店員をしていたという、映画大好きの、映画マニアのタランティーノの作品は、とてもB級で、とても残虐なシーンが多いんだけど、それはマカロニ・ウエスタンの影響が強いというのは明らかです!
その彼が初めて撮った西部劇の映画『ジャンゴ 繋がれざる者』はとっても面白いので、ぜひ、見て頂きたい!
TSUTAYAが独占してレンタルしているみたいです!
(『ジャンゴ 繋がれざる者』は3月24日にレビュー済みです!そちらもぜひ見てください!)
んで、スキヤキの方のジャンゴなんだけど、この作品は『2つの勢力が争う町に1人の男がやって来て、ドンチャン騒ぎを始める』という、『用心棒』パターンの物語です!
(『用心棒』は、世界のクロサワこと黒澤明監督の世界中の人に影響を与えた名作です!もちろん、タランティーノもその1人!)
その物語を、日本の名役者たちが全編英語のセリフで演じるというアイデアが売りなんです!
売りなんだが、ハッキリ言って、英語にする必要は全く無い!
だって、英語、全然しゃべれてないんだもん!
(僕は英語わかんないけど、たぶん、そうだと思う!)
ぎこちないんだよね、セリフが!
全編英語にしたというチャレンジ精神は良いけど、別に普通に日本語で良かったと思います!
このミスはとても大きいです!
(主役の伊藤英明さん)
んで、続けて、この映画1番のミスは主役の伊藤英明さんです!
もう一回言うけど、この作品には演技力が確かな、本当にスゴい役者が勢ぞろいしています!
その中での伊藤英明さんは、あまりにもオーラが無く、あまりにも演技がヘタです!
(伊藤英明ファンの人、怒らないでください!)
佐藤浩市さんはもちろんだけど、その敵対する役の伊勢谷友介さんもかなりの存在感があり、その間にはさまれる役の伊藤英明さんは存在感が無く、完全に消えていました!
伊藤英明さんと言えば、今とっても人気の俳優さんだけど、正直、人気だけの、役者としての能力はとても低いと思います
それが、これだけの数の、本物の役者たちに囲まれてしまうと、やはり、その能力が出てしまうんだと思います!
伊藤さん、カッコイイんだけどね!
とは言っても、このスキヤキ・ジャンゴは、ストーリーは悪くはないし、ちょっとした笑いもあるし、役者たちが素晴らしい演技をするし(伊藤英明さん以外)、アクションはカッコイイし、衣装もステキなんです!
んだけども、ぎこちない英語のセリフと、主役の存在感の無さ、ストーリーの詰めの甘さがこの作品を『とてもオシイ作品』にしてしまった
アイデアをたくさん使いすぎて、軸がしっかりとした作品を作れてないんです!
普通に日本語で作って、普通に良い主役を使って、もうちょっとストーリーを詰めていれば、なかなかの傑作になったと思う
そんな、とってもオシイ作品なのです!
あっ、そうそう、忘れてたけど、主題歌は演歌の大御所・北島三郎さんが歌っている『ジャンゴ~さすらい』っていう曲です!
演歌界のドンであるサブちゃんを使ってくるという、まさかのアイデアは素晴らしいよね!
こういう面白いアイデアをたくさん使っている作品なんだけど、アイデアをたくさん使いすぎて、メチャクチャになっている点がこの映画のダメなところだね!
まさにスキヤキのようにグチャグチャになってるんです!
もっと普通に時代劇風に作れば良かったのに!
残念!
このスキヤキジャンゴの監督は三池崇史さんという人で、ヤクザ映画とか、『クローズシリーズ』とかのバイオレンスな映画を作っている人ですが、『ゼブラーマン』というコメディっぽい作品も作っています!
そんなバイオレンスであり、笑いも分かる人物である三池さんは、同じような人物であるタランティーノ監督と息があったのかもしれません!
どうやって出会ったのかは分かりませんがね!
三池さんは海外の一部から注目されているらしいですよ!
そんなわけで、スキヤキ・ジャンゴでした!
イタリアがマカロニなら、日本はスキヤキだ!ってカンジで作られた西部劇ですが、日本文化の美しさが表現され、名優が名演技を見せ、そこそこ楽しる作品です!
僕が『オシイなぁ』と思った作品で、そのオシイっぷりをぜひご覧ください!
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!
さらば~!
おしまい!
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