松井玲奈著
『カモフラージュ』
ハードカバーを買った途端に文庫本が発刊されて「えっ?」と相変わらず間が悪い自分と向き合い、結局文庫本も買った。
SKE48に所属していたアイドル時代は正直あまり知らない。初めて見たのも、テレビ東京『マジすか学園』でのゲキカラ役だった。
笑いながら人を殴る蹴る、顔は笑っているのに目がバキバキに笑ってない、狂気的な役柄が自然に板についていた。あぁ、ナチュラルにこの人はヤバい人なんだと思わせる程の説得力があった。
今では、役者、作家、YouTuber。
いろんな顔を持っている。
本書は、短編集で共通のテーマで六作品あった。
又吉先生じゃないけれど、文学してんなぁって文学パンチにノックアウトされそうになった。
恋愛の話は、「そっすか。松井さん、お疲れっした!」って早々に解散したかった。
ただ、読めば読むほど、行間や尖った文章に色気を感じる。松井さんがこんな話を考えて書くに至った経緯を想像するだけで興奮してくる。
大の甘党の私にはスパイスが効きすぎて、口の中がヒリヒリして、鼻水や汗をべっとり垂らしながらそれでも読みたいと思える作品でした。