育った故郷は、ミニチュアの模型みたいに小さな町だった。
とうに過疎化は進行して、家屋も取り壊され、区画整理され、見知らぬ施設や建築物、果ては道路までができ上がる。ほぼ、老人と中年が占めるこの町に、本当に必要な物なのか気になるところではある。
町は知らぬ間に、俺の知らない顔をしていた。
小学生の頃、土曜日の登校時間に学校のまえで映画のチケットを渡してくれるおじさんが不定期でいた。(今では考えられない)近所のスーパーにもチケットは置かれていた。映画のチケットは、主にアニメやゴジラ等、子供が喰い付きそうなものだった。
町のほぼ中心地にある漁業センターが会場になっていた。お菓子を駄菓子屋で買ってきて、床に敷かれた御座の上にあぐらをかいて、今か今かと始まるのを待っていた。
親が車を持っていなかったので、映画館に行くには遠すぎる俺にとってはありがたいシステムだった。
今日、散歩がてら県道を歩いていると『○○・○○中学合同チーム ○○杯優勝』と横断幕が建物の土手っ腹にかかっていた。どうやら、母校の部活の野球チームが大会で優勝したようだ。
懐かしい回想に耽りながら、冷静に考える。
自分が中学の頃は、3クラス(最後の3クラス世代)あったが、今は合同チームを組まないと試合ができないほど、生徒数が減っているのだろう。
実家の前に母校があるので、ときおり見かけることがあった。野球部の子供たちは片手で足りるほどの人数で練習に励んでいた。その中に、女の子も混じっていた。時代は変わったね。
駐輪場も昔は、停める場所を探すのに苦労するほどだったのに、今ではほとんどの駐輪場のスペースが無用の長物となり、げっそりとやつれて物寂しさが漂っていた。
話が飛んだが、なぜにそこに横断幕を掲げるの?
普通、学校に飾らないか?
町民や他の地域の人からも車越しに自慢したかったのかもしれん。