18年ほど前、
僕は札幌に出てきたばかり、
知り合いも少なかった。
寂しさを紛らわすため、
毎日、ある喫茶店に通いつめた。
裏参道の外れ、清三郎の店。
知らない土地に出てきて、右も左もわからない僕に、
マスターは優しく、根気強く接してくれた。
ある日その店で、30代後半と思われるおじさんが、
「ビールでも飲め」と奢ってくれた。
僕はそのおじさんに、
社会に出ての不安、好きな女の子のこと、
将来について、いろいろ話した。
おじさんはニコニコしながら聞いてくれた。
・・・
それから数々の季節を、自分なりに走り抜け、
友達も増えて、清三郎の店からは、足が遠のいた。
・・・
先日、久しぶりに裏参道へ行く機会があった。
清三郎の店、まだ、ある。
カウンターには若者が座っていた。
僕は彼と一緒に飲んでみたくなった。
「ビールでも飲め」
若者は、彼女のこと、仕事のこと、将来のこと、
いろいろ話してくれた。
僕もビールを飲んで、少し酔いが回ってきたようだ。
意識の中で、過去と現在が曖昧になる。
19歳のあの時、ここでビールを奢ってくれたのは・・・
・・・・・・
18年後の僕だったのかもしれない。
☆清三郎の店は、実際にあった店ですが、
現在は閉店しております。☆
原案をくれた、親友の元ハダカ男に special thanks
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