「ありがたきお話。早速フロンタを攻め落とし、この世の地獄と変えてみせましょう」すっかり悪魔と成り下がったナオキソマが瞳を金色に光らせ、言った。
その頃、ユタカはエルフの森で迷っていた。目の前に馬にまたがったスタデッドレザーの鎧(鋲打ち鎧)に身を包んだエルフが現れた。
「人間は立入禁止か?」ユタカが言った。
「フリガンの住民なら通っても構いません。と、言うか、ユタカさんという人間のレンジャーが来たら道案内せよとモト様から直々命じられています」エルフが言った
「俺がその、ユタカだが」ユタカが名乗る。
「自分はコースケ・バデリー。駆け出しのフリガン兵です」エルフが名乗った。
「じゃあ、コースケ君とやら、ウエスト・バレーまで道案内を頼む」ユタカが言うとコースケが馬を走らせた。その後をユタカが追った。
ユタカはウエスト・バレーに着くとモトにヤッヒーからの書簡を手渡した。
「ヤッヒーと魔導に堕ちたナオキソマ。他人事なら面白い戦いになりそうだが、どうやら他人事で済む話ではなさそうだ」モトが書簡に目を通す。薄ら笑いを浮かべているものの、そのヘイゼルの瞳は笑っていない。
「他人事では済まされないというと?」ユタカが尋ねた。
「マリノス領を今、フリガンは分断している。だが、フロンタを友好国にすればフロンタ経由で分断が解消する。軍港の海兵城と商業の中心地サンボーン城を自由に行き来できるようになればフリガン攻め、ゼルビア攻めどちらかに打って出るはずだ」モトが静かな口調で言った。(つづく)