長い回廊を歩くと装飾がある扉にたどり着いた。クニがおもいっきり扉を蹴る。が、開かないどころかブーツの底が剥がれた。クニがブーツを履き替えているとナオキソマが扉を蹴破った。
「ここまで冒険者が来たのは久しぶりだな」水夫が着るような薄手の革鎧に身を包んだ前髪の長い金色の瞳の悪魔がクニとナオキソマを見据えている。両翼にはレッサーデーモンが2体いる。
「敵対するつもりはない。俺を、俺を魔王様の手で殺してくれ!」ナオキソマが金色の瞳の悪魔に言った。悪魔の長い前髪の下からチラリと金色の瞳が輝く。
「ほほお、面白い。そうまでして力を求めるなら与えてやろう」金色の瞳の悪魔が魔法の矢の呪文を唱えた。5本の矢に貫かれ、ナオキソマの足元に血の池ができる。負傷に慣れていない魔法使いのナオキソマは苦痛から膝をついた。さらに5本の矢が放たれ、ナオキソマは息絶えた。
「黒き秩序の使徒よ、この男に仕え、白い秩序を赤き血で染め、民を黒き秩序の元に導け」ナオキソマが死んでいる間に魔王が言った。どことなくこの魔王、見覚えがある。
「ははっ、仰せのとおりに」クニは魔王に忠誠を誓った。
その間にナオキソマは地獄の炎で焼かれていた。魔界での3年間。ナオキソマの人間としての部分は記憶だけを残して焼きつくされた。焼け焦げたナオキソマの身体が赤い血の池に投げ込まれる。血が肌から染みこむと傷が消えていき、魔性に心身が馴染んでいく。血の池から立ち上がると、ナオキソマはグレーターデーモンになっていた。
地上のナオキソマの姿も変わっていく。魔法の矢が全て抜け落ち、血が傷口から全て溢れ出る。そして、その肉体がグレーターデーモンの姿に代わり、金色の瞳が見開かれた。
「復讐のための力を得た。クニ、我とともにフロンタを地獄に変えようではないか」ナオキソマはそう言うと人間の姿に変身した。(つづく)