月でまとめてアップするには感想が多すぎる本が何冊かあったので、小出しにします。
婚活から話が展開しますが、背景にあるもっと大きな課題(社会問題?)が取り上げられています。例えば、登場人物が主人公の真美について言った言葉をいくつか挙げると、
・依存(毒親)
親が悪く言われるケースが多いですが、この作品は少し違う見方もしています。例えば、
「親に子離れさせないのは、子が望んでいるせいもある。母は子を思い通りにしたいけど、子だって母の言う通りにしていたい。共依存っていうと大袈裟だけど、それに近い。」
・経験(学習)
同世代の人とずれている(要領を得ていない)ことを皮肉って箱入りと言った上で、ダメ出しをしています。
「悪意とかそういうのは、人に教えられるものじゃない。巻き込まれて悟るものがある。教えてもらえなかったって思うこと自体がナンセンス。」
・自己愛
「自分の意思や希望はないのに、好みやプライドとーーーーー小さな世界の自己愛がある。」
「自己評価は低いくせに、自己愛が半端ない。」
ひどい言われようですが、傍から見て真美はおとなしくて従順ないい子だと思います。程度の差はありますが、こういう女の子は普通にたくさんいます。真美のことを小バカにするキラキラ女子風の人たちだって、中身は親がかりで50歩100歩なんじゃないかと思います。
真美を擁護していると思われるかもしれませんが、そういうわけではありません。擁護するにはちょっとひどすぎますから。ただ、大人(や周囲の人)って勝手なんですよね。その時々で自分の都合のいいことを要求してくる。振り回されるんですよね。作品の中にも似たような話がありましたが、男女交際はダメ!と言っておきながら、いつのころからか彼氏の1人もいないと嘆くとか(笑)。自分の身の回りで起きていることの変化を理解しながらついていける人はいいですが、成長がのんびりしているタイプだと処理オーバーになってしてしまう。
男女交際の話ではありませんが、私も親に対して「この間と言っていることちゃうやん!」、「言うことがコロコロ変わる!」と思ったことが何度もありました。本当に腹が立ちます。多くの場合はこういう悶々としたことを繰り返しもめるうちにお互いに学習する(いい距離感、認めあう)のでしょうが、このスパイラルから抜けられないでいると真美のようになってしまうのかもしれません。
小説は後半に急展開があってハッピーエンドです。人間、そんな急には変われませんから、ここからだと思います。頑張れ!と思いました。