フレンチなアイテム ”UPLAのバッグ”
不定期ですが、80年代や90年代にフランスで流行っていたアイテムを紹介するシリーズ ”フレンチなアイテム”
一回目のラバーライズドコート、2回目のフィッシュマウスのジャケットに続き、今回は ”UPLA(ウプラ)のバッグ”を紹介します。
ウプラのバッグは、モード写真家と建築家のザッカリアッセン兄弟が「大きなブティックでは手に入らないものを世界中から集める」というコンセプトでブティックをパリに1975年にオープンしました。
アメリカから輸入したジーンズが若者に飛ぶように売れたことに気を良くした兄弟は、キャンバス地のカラフルなパンツを手掛け、それに合わせたカラフルなバッグとしてUPLA(ウプラ)が誕生しました。
パリ郊外のソローニュ地方で使っていたハンティングバッグや、バカンスのウェッソン島で愛用していたフィッシングバッグ。それらをモチーフに機能的で快適なバッグ本来の姿を追及しました。
というのがUPLAのプロフィールです。
1975年創業なので、自分がウプラのバッグを知った80年代中頃は、まだ創業10年の比較的新しいブランドだったということになります。
1988年にパリのレアールにあった本店の写真があるのでお見せします。
ご覧のように、ブランドのアイコンでもあったハンティングバッグやフィッシングバッグを中心に、英国やアメリカにブランドにはないパリらしい綺麗なカラーバリエーションがあったのがウプラの特徴でした。
セレクトショップからスタートしたこともあり、画像の中にも見られますがオイルドコート(おそらくバブアー)やウールのオーバーコートも見られます。
ELLEやCOSMOPOLITANといった有力なファッション誌の広告のコピーがたくさん並べられているのを見ても、当時勢いがあったことがうかがえます。
これは私が1989年パリのOLD ENGLANDの前で撮った写真です。
二人ともウプラのバッグです。
当時は裕福な家のリセ(女子高生)達にもウプラのバッグはとても人気がありました。
正面の入り口の外でスタッフと待ち合わせしていたら、ウプラのバッグを持ったリセ達を見つけ思わずシャッターを切りました。
やっていることは30年以上前から変わりません。
まさに ”継続は力なり” ですね。
1982年のOLIVEでもBEAMSで扱っていたウプラのバッグが紹介されています。
自分が入社する前なので先輩に聞いたところ、最初は仕入れルートがなくパリの本店で買ったものを店で売っていたそうです。
当時はまだまだインポートのルートが確立されていなかったので、BEAMSも海外のショップで購入したものを販売することもありました。
自分が入社したころもそのような商品は ”持ち帰り” と言われ、数量が少なく他店では手に入らない限定品なので、顧客様やスタッフに大人気ですぐに完売していました。
80年代は英国のBRADYやJOHN CHAPMAN、米国のGURKAなどのフィッシングバッグやハンティングバッグ、ショルダーバッグが人気でした。
BEAMS Fでも定番で、自分がバイイングを始めたころも何かしらのブランドで必ず展開していました。
しかし英国や米国ブランドはベージュやカーキやネイビーなどの定番カラーしかなく、カラーバリエーションが豊富なウプラに惹かれたのは自然な流れだったのかもしれません。
そして、80年代はパリというキーワードも魅力だったのは言うまでもありません。
自分はショルダーバッグが苦手で、小学生の時以来ショルダーバッグは持ちませんが、先輩でウェルドレッサーのKさんは今でもウプラのフランス製のハンティングバッグを使っています。
数年前にイタリアの地方都市でばったり会った時もウプラのショルダーバッグを持っていました。
というか、絶対に持っているだろうなと思うのと同時に、絶対ねらって使うだろうなと・・・
あまり突っ込むと怒られるので、このあたりでやめておきます(笑)。
80年代勢いがあったウプラですが、その後オーナーが変わり、現在は当時のウプラとはテイストが変わってしまいましたが、いまも80年代や90年代のフランス製ものが中古であれば古着屋やネットで買うことができます。
さすがに程度が良いものは少ないですが、ご興味があればじっくりと探してみてください。
自分の世代はフランスのフィッシングバッグやハンティングバッグと言えばウプラですが、いまや当時のウプラを知る人もかなり少なくなったので、これから先はライセンスブランドのイメージになっていくのかなと思います。
昨今はファッション業界を中心にフレンチと言うキーワードがやたらと出てきますが、意外と抜け落ちているモノやコトが多いのと同時に、そんなものあまりなかったけどな・・・というのも結構あるんです・・・
あまり昔話をすると説教じみてしまうので、求められるところだけで話そうかなと思います(笑)。
もちろん、このブログの読者の方にはしっかりとお伝えしていきます。
イタリア、英国、米国、フランスと、自分の経験を通した色々な情報をお伝えしていくことが自分の役割だと思っています。
気分やノリで語られても皆さん困りますよね・・・