ヨーロッパ出張レポート
先週金曜日にヨーロッパ出張から帰国しました。
今回の出張はフィレンツェ→ミラノ→ロンドンの3都市をバイイングとリサーチで回りました。
今回はPITTI UOMO、ミラノのショールームとリサーチ、ロンドンのリサーチ、PITTIのスナップも含めて、2025春夏の大枠の流れをご報告します。
かなり画像が多いですが、じっくりとご覧いただければと思います。
まずは、一番わかりやすい色の傾向から。
”ホワイトから生成のナチュラルトーン”
昨シーズンから続く流れですが、サプライヤーの提案も着用者も相変わらず多く、来春夏もこのナチュラルなトーンの傾向は確実に続くと思われます。
”ホワイト~生成りから続くベージュ、ライトブラン”
ちょっとピンボケですが、こんなグラデーションのコーディネートもいいですね。
同じベージュ系でも、このような少し黄色味がかったベージュも多いです。
クリーミーなベージュと言うキーワードがよく聞かれたので、ベージュの中のバリエーションとして提案されている印象です。
”グリーンの打ち出しがかなり多く見られました”
明るいグリーンもありますが、画像のようなペールトーンや少しスモーキーなトーンの落ち着いたグリーンが多く、流れはこちらのトーンになっている印象です。
”ブルーはサックスブルーが多く見られました”
グレーがかったような少しトーンを抑えたサックスブルーが多く見られました。
ブルーはここ数シーズンロイヤルブルーやコバルトブルー系のトーンが主流でしたが、来春夏はサックスブルーに移行しそうな印象です。
”ピンクも発色を抑えたスモーキーなトーンが増えています”
色モノは発色の良いトーンもありますが、ペールトーンやスモーキーな発色を抑えた色が増えそうです。
理由は、最も強い傾向であるホワイトや生成りとの相性にあると思います。
発色の良いカラーを合わせるとメリハリがつきすぎるので、なじみやすいペールトーンやスモーキーなトーンが増えているのだと思います。
”ほとんどのニットブランドが展開していると言っても過言ではないオープンニット”
昨年から少し見られるようになってきた、オープンニットやメッシュニットと言われる”穴あき風?ニット” がかなり増えています。
ニットの明らかな流れであることは間違いありません。
肌が見えることを気にする日本人にとっては、オープンになっているスペースが小さいものを選ぶことがポイントとなりそうです。
BEAMSでも、今シーズンベストやポロで展開しましたが、とても人気がありました。
”既にジャケットに代わるアウターとして一般的になったカバーオールタイプやダブルポケットのシャツジャケットは、薄く軽い素材を使ったものが増えています”
テーラードジャケットを含めて、羽織りモノは ”LIGHTNESS” というキーワードをとにかくよく耳にしました。
このタイプのジャケットもシャツ生地を使ったりリネンの素材を使ったりして、より軽いものが増えています。
”テーラードはとにかくダブルブレストが多く見られました”
ここ数シーズン秋冬も含め、サプライヤーのダブルブレストの打ち出しと着用者の多さは、日本のマーケットとの違いを感じさせます。
日本ではブレザーは大人気ですが、それ以外はなかなか広がらないという印象です。
個人的には柄モノのダブルブレストが好きなので、過去に何度もバイイングをしてチャレンジしてきましたが、なかなか結果が出せずに最近は諦めていましたが、来春夏は久しぶりにチャレンジしてみようかと勝手に思っています。
部下たちに迷惑かけない程度に・・・(苦笑)
”少しウェスタンの流れが来ているかなと・・・”
1月のPITTI UOMOでもコスプレ系のウェスタンルックのインフルエンサーが増えたと感じましたが、デザイナーズのコレクションでもウェスタンの流れが見られることもあり、ウェスタンシャツの打ち出しが少し増えていました。
ウェスタンの流れが来ていると言っても、シャツやベルトで取り入れるくらいであって、さすがにハットやブーツの流れがあるわけではありません。
自分の経験上ウエスタンの流れは数年に一度訪れます。
特にイタリアは ”マカロニウェスタン” と言われるイタリア製西部劇が60年代から70年代に大ブームだったので、私より上の世代から脈々と続くウェスタン好きの系譜があるように感じます。
そう言えば、昨年お亡くなりになった信濃屋の白井さんもウェスタン好きでした。
”ホワイトソールのスリッポンがとにかく多く見られました”
もともとイタリアのシューズブランドが得意としていたものですが、近年LOROPIANAのスリッポンが大人気のこともあり、シューズブランドだけでなく、トータルブランドでも広く展開されています。
ちなみに、この画像はロンドンのGEORGE CLEVERLEYのディスプレイ。
今や英国を代表するビスポークシューメーカーでも、このようなスリッポンを展開しています。
他の英国の靴ブランドも軒並みこのタイプのスリッポンやスニーカーを展開しているのを見ても、好きか嫌いかは別として、英国も世代が変わりクラシックの考え方も変わってきていることを感じます。
”ホワイトソールほどではないですが、デッキシューズも多く見られました”
自分はデッキシューズが大好きなので、この流れはいいですね。
先日夏用に6足目のSEBAGOを買いました。
今やKITONでもデッキシューズを展開する時代です。
”本格的なドレスシューズブランドも軽いアンラインドのモデルの展開が増えています”
これも賛否両論あると思いますが、欧米では確実にこういうタイプを望む消費者が増えているのは間違いないようです。
グッドイヤーでアンラインドのものもあれば、マッケーのものもあります。
自分はクロケットのフレックスソールのコードバンのアンラインドローファーを購入したので、今年の夏はそれを履きます。
”今シーズンBEAMSでも大人気だったストライプ柄の流れが継続しています”
ストライプは、昨年に続きサプライヤーの提案も着用者もとても多かったです。
今シーズンとは明らかに違う新たな色柄のストライプもあり、さらにバリエーションが増えている印象です。
”メタルボタン使いのジャケットやコートが再び増えている印象”
数年前にBEAMSでもメタルボタンのアイテムがとても多い時期がありましたが、再びメタルボタンづかいのアイテムが増えている印象を受けました。
ジャケット中心ですが、テーラードだけでなくニットジャケットやジャージジャケットのメタルボタンづかいも見られます。
個人的には、ニットジャケットやジャージジャケットのようなカジュアルなジャケットのメタルボタンづかいがいいと思っています。
これ以外にも色々な傾向がありますが、現時点ではこのあたりが大枠の流れになるのではと思っています。
今回も12日間の出張で画像を650枚程度撮ってきました。
我ながら毎回よく撮るなと思います。
これから日本の展示会が始まるので、最終的には700枚を超えると思います。
これが2025春夏のディレクションのひとつの参考になるのと、中村ノートのスタートになるので、記録はしっかり残しておかなければなりません。
7月に入るとセールが始まりますが、来年のために今年押さえておくべきアイテムの参考にもなればと思っています。
そして、ファッション業界の方で会社にレポートを提出しなければならない方々の参考にもなればとも思っています。
ただし、上司がこのブログを見ているとカンニングがバレますので、あくまでも参考程度に・・・(笑)。
各ブランドの情報は、現地で行ったインスタライブのアーカイブを自分のアカウント(@beams-nakamura)に残してありますので、そちらを是非ご視聴いただければと思います。
PITTIやミラノに行っても何もなかったというバイヤーもいますが、自分はそんなことはないと思っています。
確かに目新しいブランドや劇的な変化はないですが、小さな変化は必ずあります。
それを見逃さないことが大事。
行き続けなければわからないことをじっくりと丁寧に。
それを大切にしていかなければならないと常に思っています。