FRENCH IVYとタータンチェック
YVES SAINT LAURENT RIVE GAUCHEの1989年秋冬のカタログのスタイリング。
タータンチェックのジャケットにタータンチェックのシャツを重ね、ドットのネクタイを合わすと言う、かなりコッテリとしたコーディネート。
ちなみに、当時のパリでは綺麗な色のダッフルコートが流行っていたので、サンローランのようなブランドでもこのような綺麗な色のダッフルコートを展開していました。
今シーズンBEAMSで展開しているINVERTEREのロイヤルブルーがコレに近い色です。
このロイヤルブルーのヘリンボーンの生地を見たときに、”まるで80年代のサンローランみたいだな” とすぐに思いましたが、おそらく社内では誰も知らないので誰にも言いませんでした(笑)。
タータンチェックのジャケットにタータンチェックのシャツを合わせていますが、このタータン オン タータンの合わせ、実は自分も80年代にフレンチアイビーが流行った頃にしていました。
当時の写真がないので、いま自分が持っているアイテムでコーディネートしました。
ブラックウオッチのパンツにドレスゴードンのタブカラーシャツ、ネイビーのカーディガンを羽織り、足元はホワイトバックス。
まさに、こんな感じのコーディネートでした。
とにかく当時はタータンチェックのパンツが流行ったので、自分も柄違いで3本くらい持っていました。
最初は無地のオックスフォードBDやタブカラー、ラコステのポロシャツなどと合わせていましたが、なんとなくワンパターンで、先輩に「無地以外のシャツを合わせるとしたらなにがいいですか」と質問したところ、「タータンチェックのシャツを合わせればいいよ」というアドバイス。「タータンのパンツにタータンのシャツを合わせるのはアリですか?」と聞くと、「普通でしょ」という答え・・・
「普通じゃないよな・・・」と思いながらも、先輩のアドバイスを受け入れてコーディネートしてみると、他の先輩から「いい合わせだね」と褒められて、調子にのってよくやっていたというエピソードなんです。
当時のBEAMSを物語るエピソードですね。
このカタログは、1989年に自分が初めてパリに行った時に、YVES SAINT LAURAN RIVE GAUCHEの本店でもらったもの。
このスタイリングを見て、先輩の言っていたとおりタータンチェックとタータンチェックを合わせてもいいというのが、自分の中で確信に変わった時でした。
これは、3年前にInstagramにアップしたコーディネートですが、これも80年代のフレンチアイビーのイメージなんです。
ブラックウオッチにドレスゴードンはよく合うので、タータン オン タータンにチャレンジしてみたい方は是非試してみてください。
80年代のフレンチアイビーの事をよく質問されますが、タータンチェックはフレンチアイビーを象徴する柄のひとつである事は間違いありません。
このブログで何度も紹介している1984年のポパイのフレンチアイビー特集にも、タータンチェックのシャツやパンツが多く出てきます。
左のタータンチェックのパンツは、当時フレンチアイビーの憧れのブランドでもあったKENZOのパンツ。
このタータンチェックのパンツは、パリのビクトワール広場にあったフレンチアイビーの名店、ISLAND(イスランド)のパンツ(ビームスでもシャツやチーフを展開していました)。
この2インプリーツのパンツもKENZO。
このタータンチェックのシャツもISLAND。
ショップ紹介のページには、当時のフレンチアイビーを代表する名店HEMISPHERES(エミスフェール)のネルのタータンBDが掲載されています。
ご覧のように、タータンチェックは当時のフレンチアイビーには欠かせない柄でした。
フレンチアイビーの教祖的な存在の一人に高田賢三さんがいますが、当時の賢三さんのパーソナルなスタイルを今ネットで探してもほとんどヒットしません。
自分の記憶では80年代に日本のファッション誌で何度か紹介されているのを覚えています。
綺麗なカシミアニットにタータンチェックのパンツ、足元はホワイトバックスというコーディネートが強く印象に残っていますが、どこの雑誌だったかは覚えていません。
今ネットで検索して出てくる画像はこのような感じです。
最初のサイトのタータンチェックのシャツにベージュのチノパンの画像が1982年で、それ以外は1999年以降の画像ですが、それでもタータンチェックのパンツを穿いています。
晩年はモノトーンの服を着られることが多かったようですが、それでも赤いタータンチェックのパンツを穿いた画像もあります。
このような感じで、自分の中では80年代からずっとタータンチェックを身に着けた賢三さんは、フレンチアイビーのアイコンでもあるのです。
ちなみに、賢三さんご自身の服はシャツはロンドンのターンブル&アッサーのオーダーだったという話を何かで見ましたが、ニットもスコットランド製のカシミアのニットだったようで、パンツはベルナールザンスだったのではないかと言うのが、自分の勝手な憶測・・・(当時既にフランス製のパンツブランドはジャンブルジョワとベルナールザンスしかありませんでした)。
現在のベルナールザンスの社長のフランク ザンスさんが、若い頃パリのKENZOのショップで働いていたという話を本人から聞きましたが、KENZOさん本人が穿いていたパンツがザンスだったかどうかは聞いていません。
次回フランクさんにあった時に聞いてみますね。
今回は80年代のフレンチアイビーの定番であったタータンチェックについてのお話しでした。
YVES SAINT LAURAN RIVE GAUCHEに始まってKENZOでしめる感じになりましたが、当時はいわゆるメゾン系ブランドもトラディショナルなテイストの服を展開していたので、いわゆるフレンチアイビーと言われるものは、大きな意味ではパリを中心に流行していたトラディショナルテイストのファッションであったとも言えるのではないかと思います。
自分が初めてフレンチアイビーについてブログに書いたのは12年前の2011年。
そして、数年前からフレンチテイストが少し注目されるようになって、最近はネットで検索するとフレンチアイビーというものを結構見かけるようになりました。
コーディネートを見ると、当時を知る自分にとっては「ウーン・・・?」というのもあるのですが、そもそも今のパリにフレンチアイビーのテイストは全くないので、想像で着るしかないのも仕方のないことかなとも思います。
そもそも、今は2020年代であって、80年代のスタイルをそのまま取り入れる必要もないですしね。
ただ、当時のことは知っておいた方がいいので、自分が分かる範囲でこれからも読者の方にお知らせして行こうと思っています。
そんなことを言っているうちにフレンチではない流れが来るかも知れませんね。
そうなった時は、また皆さんにわかりやすくご説明します。
アイビー、プレッピー、ヘビーデューティー、フレンチアイビー、80年代イタリアンデザイナー、ブリティッシュ、イタリアンクラシック etc・・・
意外と守備範囲は広いです。
渋カジは世代が違うので自信がありません・・・(笑)
フレンチアイビーと言えば、80年代にベージュのM65の後にパリで大流行したカナディアンコート。
AUBERGEで別注しました。
詳しくは、デザイナーの小林さんがインスタのライブで熱く語っています。
是非ご視聴ください。
聴くカルチャーストーリー by BEAMS ARCHIVES Vol.2(続編)アップされました。
今回もここでしか聴けない色々なエピソードをお話ししています。
是非ご聴取ください。