PITTI SNAP ドレス編
バイイングを初めて30年以上経ちますが、出張の画像は人任せにせず自分でずっと撮り続けて来ました。
スナップが流行り始めてからは、スナップはプレスのスタッフが撮っていましたが、最近はプレススタッフの同行もないので、前回からは私が自らスナップを撮るようになりました。
空いている短い時間に撮影しているので、それほど多くの画像はありませんが、今回は先月のPITTI UOMOで撮ってきた画像の中からドレススタイルに絞ってお見せします。
白いジャケットにネイビーパンツの二人。
左の人を正面から撮った画像もあります。
ジャケットがシングルピークドラペルという以外は、ベーシックなアイテムとシンプルな色づかいのコーディネートです。
シャツの開け方、日焼けのし過ぎ、ミラーのサングラスでイタリアン血中度が高く見えますが、シンプルで綺麗なジャケットコーディネートなので個人的には好感度が高いです。
ホワイトのジャケットはブースでもよく見られ、来場者の着用も多かったですね。
夏の定番でもある、ホワイト×ネイビーの色合わせが久しぶりに戻って来ている印象です。
この方、翌日のコーディネートはこんな感じでした。
ダブルのブレザーにブルーのシャツ、オフホワイトのパンツという、オーソドックスなコーディネート。
意外とこういうベーシックなアイテムをさらっと着ている人が少ないのが実情。
普通に着ればいいのに、頑張って盛ってしまい、残念なコーディネートになっている人が意外と多いです。
ホワイトのリネンのスーツに色落ちしたデニムのウェスタンシャツ。
こういうシンプルなコーディネートの人はたくさんいるのですが、スナップに撮られるタイプではないんです・・・
首元にネッカチーフを巻いたり、ニットを肩掛けでもしたら撮られるかもしれません(苦笑)。
でも、そんなことをする必要はないですね。
このコーディネートは充分この人のキャラクターに合っていると思います。
ホワイトのジャケットやスーツにデニムやシャンブレーのシャツを合わせる場合は、シャツが色落ちして淡くなっているモノを合わせるのがポイントです。
ホワイトジャケットを使ったモノトーンコーディネート。
ジャケット以外は全てブラックという、PITTIの会場ではあまり見かけないコーディネート。
この場合、ジャケットが白黒のチェックというのはよく見かけます。
でも、どこかで見たことがあると思ったら・・・
既に小林がやっていました(笑)。
こうやって見ると、ホワイトジャケットは色々な着方があります。
自分も来年の春夏は一着手に入れたいと思います。
ホワイトだけでなく、生成りのリネンのスーツもよく見かけます。
ピンクのシャツにブルーのニットタイというコーディネートはいいですが、靴がいまひとつ・・・
このタイプのスリッポン、最近すごく流行っているんです。
PITTIのシューズブランドのブースでも必ずと言っていいほど展開されていました。
イタリアだけでなくパリでも結構売られていたので、人気のほどがうかがえます。
あるブランドの人気のモデルが、他のブランドにも広がったようです。
ジャケットやカジュアルに合わせるのはいいと思いますが、生地がコットンやリネンのスーツであってもタイドアップしたスタイルにはミスマッチだと思います。
ニットやポロやリネンシャツと合わせるノータイのドレスダウンのコーディネートであれば、この靴を合わせてもいいと思います。
このスーツ、よく見ると襟にタブが付いていて、ポケットにはインバーテッドプリーツが入り、袖はターンナップになっています。
ハンティングジャケットをモチーフにしたようなリネンスーツですが、実は90年代にBEAMSでもこんなジャケットが流行ったことがありました。
スナップには殆ど出て来ない正統派なジャケットコーディネート。
クラシックなネイビージャケットにストライプタイを合わせたトラディショナルなスタイル。
日本のビジネスシーンでも使えるコーディネートです。
90年代後半から2000年代前半頃のイタリアンクラシック全盛の頃は、PITTIの会場でもこんな正統派コーディネートの人たちがたくさんいましたが(むしろこっちが主流でした。)、今は少数派になってしまいました。
しかし、PITTIの会場の中で見かけないだけで、ミラノのような都会では普通にこのような人たちを見かけるので、あくまでもPITTIに来るような業界人でこういうコーディネートをする人が少なくなっただけと言うだけの話です。
こちらもクラシックなスーツをクラシックなコーディネートで着る正統派の二人。
無地のスーツに無地のシャツに小柄のネクタイ。
足元もしっかりクラシックなキャップトゥーを履いています。
スナップを撮られないタイプですが、こういうクラシックなスーツを普通にきちっと着こなす人は会場の中には結構います。
左の人のように主張はしないですが、エレガントに装っている人をイタリアンクラシック全盛時は ”MOLTO INGLESE”(とても英国っぽい)と言って賞賛したものでした。
MOLTO INGLESEと言う言葉自体最近聞かなくなりました。
ライトグレーのスーツにグリーンの剣先付きのニットタイというシンプルなコーディネート。
スーツはおそらくウールではなく、コットンかリネンです。
白シャツと綺麗なグリーンのタイを合わせてポケットチーフも白で、こういうスーツは盛ったコーディネートではなく、シンプルにコーディネートするのが一番。
靴が惜しいかな・・・
ドライビングシューズ風のローファーでハズしたのかなと思いますが、ちょっとミスマッチ。
普通でいいと思うのですが、ちょっとハズしたくなる人が多いんです。
かなり目にする薄いブラウンのスーツ。
リネンやコットンの素材が多いです。
Vゾーンはネイビー系のストライプか無地でシンプルにまとめるか、明るめの綺麗な色のネクタイを合わせるか二通りのコーディネートが見られます。
自分は春夏なら後者の方が好みです。
足元はブラウンスエードのスリッポンという合わせが多いですね。
さらに淡いベージュに近いトーンもよく見かけます。
生成りのスキッパーにオリーブのベルジャンシューズ。
靴のオリーブのトーンがスーツの色に馴染んでいるので嫌味がありません。
白シャツを合わせたシンプルの極みのようなコーディネートですが、よく見るとボタンダウンのボタンを外してシャツの襟を少し出して着ています。
スーツのサイジングやシルエットも良くて思わずシャッターを切りました。
こういう、シンプルで雰囲気のある着こなしの人が本当に少なくなったのが残念なところです。
ベージュのワントーンでまとめたシンプルなジャケットコーディネート。
バッグの柄、シューレースの色、ボーダーのソックスはこだわったポイントなのかなと思います。
シンプルだからこそ細部に気を配る、こういう人は意外と少なく、やり過ぎて嫌味になるパターンが多いです。
パンツのダブルの幅が3.5㎝、最近少し細目のダブルが増えてきました。
昨年のPITTIのレポートでピンクのスーツを着た人が増えているというのを見ましたが、今回もいました・・・
偶然にも二人とも似たコーディネート。
生地メーカーのコレクションをチェックすると確かにピンクのカラーがバリエーションに加わっているので、そういう意味ではトレンドとも言えるのですが、実際に着ている人は少数です。
上の画像のMさん、このスーツをナポリのサルトリアで仕立てました。
ピンクのソラーロを着こなせる日本人はなかなかいません。
70年代風のスーツ。
モード系の人や日本の業界人には多い70年代風のジャケットやスーツですが、PITTIの会場ではほとんど見かけないのが実情です。
欧米の人たちはトレンドとクラシックの境界線をきちっと認識しているので、日本人のような中途半端にトレンドを取り入れる人は殆どいません。
やるならやる、やらないならやらない、この手のテイストはそういう考え方で良いのではないかと思います。
今回はネットのスナップではあまり出てこない、クラシックなジャケットやスーツを盛らずに着る人を中心にピックアップして紹介しました。
カジュアルなコーディネートの人が多く、ジャケットやスーツはコスプレ系が圧倒的に多いので、シンプルで気の利いたコーディネートの人を限られた時間でスナップするのはなかなか大変でした。
今回改めて思ったのは、トレンドがどうあれ自分らしさを大事にして装うことが一番であるということ。
そういう意味では、PITTI UOMOの会場は無理している人が圧倒的に多く、スナップ撮られたくて盛る人が多いのは、コロナ禍後も変わらないというのが実情です。
盛らない人たちのスナップ、どこかでやってくれませんかね・・・
誰もやらなければ、自分がやるしかないかなと思います。
コスプレじゃないスナップを皆さんにお見せしたいです。