OLD ENGLAND 1989 秋冬
今は無きパリの名店OLD ENGLAND
我々フレンチアイビー世代にとっては、生涯忘れることのできないパリを象徴する名店であった事は間違いありません。
今日はそのスタイルブックのスタイリングをお見せしながら、当時のパリの正統派クラシックの名店がどんな感じだったのか、雰囲気だけでも感じとっていただければと思います。
表紙はオフホワイトのアランセーターにグレーフランネルのコーディネート。
ブラウンのグレンプレイドに赤と黄色のウィンドウペンの入ったスーツ。
今で言うテラコッタ色のツイードジャケット。
ネクタイとチーフはおそらくDRAKE'Sですね。
ネクタイの合わせがやはりちょっと野暮ったい・・・
ハウンドトゥースのスーツに黒のタートルのモノトーンコーディネート。
今見てもパリっぽいと思ってしまうほど、自分にとってはフレンチな雰囲気を最も感じさせるスタイリングなのです。
マルチカラーのアーガイルは、おそらく当時BEAMSでも大人気だった英国のCOGI(コーギー)
当時のOLD ENGLANDはイタリアの製品がほとんど置いていなかったと記憶していますが、このスタンドカラーのダッフルはイタリアのモノのような感じがします。
カントリーテイストのスタイリングはこんな感じで、英国のそれとは大きく違います。
でも、こういう野暮ったい感じがフレンチっぽいという側面もあるんです。
このあたりも自分がフレンチっぽいと思うスタイリング。
当時のフレンチはアスコットタイが定番でした。
左の女性のスタイリングは、今で言うレイヤードコーディネート。
インスタ映えを狙ってメンズでもやる人がいそうですね・・・(苦笑)。
今にも通じる、こんな柔らかい雰囲気のスタイリングもあります。
男性はカーディガンにタートルを合わせていますが、ニット オン ニットのレイヤードも当時パリで流行っていたコーディネートです。
OLD ENGLANDは子供服も展開していました。
タキシード風に見えるこのスタイリングは、ベストとパンツがコーデュロイなんです。
カマーバンドに見えるのも白黒の小紋柄のスカーフ。
このスタイリングを当時見たときは脱帽モノでした。
靴がブラックスエードのモンクストラップと言うのもパリっぽい雰囲気です。
メンズライクなスタイリングはこんな感じです。
自分は縄紐とトグルの付いたクラシックなダッフルコートが好きなので、綺麗な色のGLOVERALLがあれば今でも欲しいです。
イエローのコーデュロイは当時フレンチトラッドの定番でした。
ちなみに、OLD ENGLANDのパンツはBERNARD ZINSが作っていました。
チノパンは2インプリーツのBRUCE、スラックスは2インプリーツのBACが定番でした(全てOLD ENGLANDネーム)。
このスタイルブック、これより前のスタイルブックに比べると、ちょっとスタイリングの雰囲気が変わりました。
1986年にOLD ENGLANDの近くにRALPH LOUREN大きな路面店がオープンして、それ以降ちょっとラルフローレンを意識したビジュアルが増えたかなという印象です。
それまでは、クラシックの大型店はパリではOLD ENGLANDしかなかったので、ある意味独壇場だったところに強力な競合店が出来たという感じだったのではないかと思います。
我々も ”パリのラルフローレンはパリっぽくてカッコいい” なんて言ってたくらいなので(苦笑)。
ショップスタッフがフランス人と言うだけで、そんなことはなかったんですが・・・
思い込みと言うのは、しばしば間違った認識を生むものなんです・・・(苦笑)。
フレンチアイビーやフレンチトラッドと言っても当時は色々なショップがあり、それぞれテイストが違っていたので一括りにはできませんでした。
当時品揃え店で有名なところでは、MARCHEL LASSANCE、HEMISPHERES、HARRIS、ISLAND 等々。
ブランドで言えば、KENZO HOME、HERMES、ARNYS、AGNES B なども注目されていました。
その中でもOLD ENGLANDはフランスの正統派クラシックのご用達店であったことは間違いありません。
1867年に創業したOLD ENGLANDも2012年1月に閉店。
MARCHEL LASSANCE、HEMISPHERES、ARNYSも今は無き・・・
我々世代のフレンチは、もはや古き良き時代のフレンチになってしまったのかなと改めて思う今日この頃。
最近SNSで”フレンチっぽく” というワードを良く目にしますが、ちょっと違うかなと思いつつ、説教と昔話と自慢話はオヤジがしてはいけないことと、高田純次さんが言っているので、あまり触れないようにしています(笑)。
なので、自分が知る限りの情報はブログやSNSを通してお伝えしていこうと思います。
フレンチアイビー関連でちょっと面白い雑誌も手に入ったので、それもご紹介できればと思います。
お楽しみに。