クラシコ ニッポン | ELEMENTS OF STYLE

クラシコ ニッポン

 

2002年の春に発行されたMEN'S CLUB別冊のDORSO

 

 

今から20年前の2000年代前半頃はイタリアンクラシックの大ブームで、とにかくメンズドレスが注目された時代でした。

 

そんな2000年代前半にメンズクラブの別冊として創刊されたドルソは、自ら日本唯一のスーツスタイルマガジンと謳っていただけあって、内容は毎号ドレスクロージングの濃いコンテンツが満載の内容でした。

 

今回はこの号の誌面を少しだけ紹介します。

 

 

 

 

 

ナポリスーツの特集は LONDON HOUSE や ISAIA のファクトリー取材。

 

 

 

マリアーノ ルビナッチもジャンルカ イザイアも若いですね。

 

この頃のイザイアはまだナポリのクラシックなテイストでしたが、今はちょっとアメリカっぽくなってしまったなと言うのが個人的な印象・・・

 

ルビナッチは息子のルカ ルビナッチがファッショ二スタとして有名ですが、自分は父親のマリアーノのエレガントな着こなしが今でも好きです。





別のページではブリオーニの服作りが紹介されています。

 

 

KITON、ATTOLINI、BRIONIが当時からイタリアのプレタポルテの最高峰と言われていましたが、度々イタリアのサルトリアや有名ブランドの深掘り取材のような特集が組まれていました。

 

当時ブリオーニと言えばクラシコイタリア協会の会長も務めたウンベルト アンジェロ―二が有名でしたが、そのアンジェロ―二はその後CARUSOのオーナーになって、現在は彼の息子のマルコ アンジェロ―二がカルーゾのCEOになっているのも時代の流れを感じます。

 

 

 

 

 

当時はイタリアのクラシックが全盛でしたが、ドルソはイタリアだけでなく英国の特集もしっかり組まれていたのが他誌との違いでした。

 

 

 

 

サヴィルロウの特集は今見ても面白い濃い内容の特集です。

 

 

 

 

 

スーツの特集ページは75着のスーツが紹介されています。

 

 

 

 

 

 

イタリアだけでなく、アメリカ、イギリス、フランス、日本のブランドのスーツが紹介されています。

 

五か国のブランドのスーツを探して、全てコーディネートを組んでボディーに着せて撮影するのはかなり大変だったと思います。

 

スタイリストさんの苦労がうかがえます。

 

コーディネートも奇をてらわず基本がしっかりしているので安心感があります。

 

 

 

 

 

日本の職人にフィーチャーした特集もありました。

 

マリオペコラの佐藤さん。

 

 

私も雑誌の対談で何度かご一緒させていただきました。

 

今ではイタリア帰りの日本人テーラーは何人もいらっしゃいますが、この当時は佐藤さんだけでした。

 

イタリアでサルトリアの技術を学び日本に持ち帰った先駆者でもあります。



 

 

 

靴のページでは今や靴好きの人なら誰でも知っているお二人も紹介されています。

 

 

イル ミーチョの深谷さん と スピーゴラの鈴木さん

 

この時はまだ新鋭の靴職人として紹介されていますが、お二方とも今や靴好きの方なら誰もが知っている存在です。

 

 

 

 

 

 

ドルソが注目して度々特集を組んでいたのが日本のスーツファクトリー。

 

 

クラシコ ニッポン最強列伝という特集で当時の日本の優良ファクトリーが紹介されています。

 

 

 

 

リングヂャケット、天神山、創作屋服飾研究所など、当時すでにイタリアのファクトリーに匹敵する技術を持っていたファクトリーがかなり詳しく紹介されています。

 

天神山は東和プラム、創作屋服飾研究所はブティック創と名前は変わりましたが、今も当時以上の高いクオリティーのスーツを生産しています。

 

メーカー機能(自社ブランド)を持つリングヂャケットの知名度が当時から高く、一般的にはリングヂャケットが群を抜いて有名でしたが、それに肩を並べる優良ファクトリーとしてこの2社は業界的には当時から有名な存在でした。

 

実は今でもBEAMS Fのオリジナルスーツをこの2社で生産しています。

 

正確にはハンドメイドラインをリングヂャケットさんにお願いしているので、この時紹介されている3社で今もBEAMS Fのオリジナルスーツを生産しています。

 

BEAMSのオリジナルと言うと、とかくリングヂャケット製のBRILLAが注目されがちですが、BEAMS Fも東和プラム(旧天神山)とブティック創(旧創作屋服飾研究所)という、日本屈指のファクトリーで生産されているのです。

これは意外と知られていないことなので、今度詳しくYouTubeでお話したいと思っています。

 

 

 

 

 

 

その3社以外にも技術の高いファクトリーが紹介されていました。

 

 

ファイブワン工業も以前BEAMS Fのオリジナルスーツの生産をお願いしていました。

何度か一緒にイタリアのファクトリーの視察にも行ったので、個人的には今も思い入れのあるファクトリーです。

 

事情があり今はお取引はないですが、また一緒にお仕事ができればと思っています。

 

 

 

 

 

ロンナーも90年代にオリジナルの生産をお願いしていたことがあります。

 

 

日本のファクトリーならではの繊細で丁寧な服作りは、駆け出しのバイヤーだった自分にとってとても勉強になりました。

 

 

 

 

 

茂木縫製は以前インターナショナルギャラリーのスーツやBEAMS Fのカジュアルジャケットの生産をお願いしていました。

 

 

当時はモード系からクラシックまで守備範囲の広いファクトリーでした。

 

 

 

 

 

帝共ソーイングは天神山と同じくイタリアンのサルトリアの流れを汲むファクトリーでした。

 

 

BEAMSはお取引が無かったので詳しくはわかりませんが、とてもクオリティーの高いスーツを作る優良ファクトリーだったそうです。

2013年に惜しまれつつ工場をクローズしました。

 

 

 

 

 

 

この当時はドレスクロージングが盛り上がっていたので、他誌でも日本のファクトリーにフィーチャーした特集が組まれていました。

 

その中でもドルソの特集が最も詳しく、ある意味マニアックなものでした。

 

それを担当していたのが、

 

 

遠山周平さん。

 

服飾評論家の遠山さんは、欧米の服飾だけでなく日本のファクトリーにもかなり精通された方。

 

ドレスクロージングの服飾評論家としては一般的に落合正勝さんが有名ですが、個人的には遠山周平さんの文献の方が共感するものが多いです。

 

徹底した現場主義でモノづくりの現場に近いというのが、自分の仕事のやり方と近く文献にも説得力があるのがその理由です。

 

 

 

 

 

 

最近はそのようなモノづくりにフォーカスした特集や書籍も少なくなりました。

 

SNSの発達で簡単に情報が手に入るようになった反面、表面的なことばかりが目立ち内容が薄いモノが多くなってしまったというのが正直なところ。

 

20年前のこの雑誌を見ると、明らかに労力も時間もかけて作っていたことがわかる内容の濃さは、当時小学生や中学生だった30代の人たちにも是非読んでもらいたい内容です。

 

このDORSOは数年間(3年?)しか発行されなかったので古本もかなり見つけにくくなっていますが、値段は高くないので見つかることがあれば是非購読してみてください。

 

現在も通じるクラシックの様々な基本が良くわかると思います。

 

そして、スーツを学びたい人は遠山周平さんの著書 ”背広のプライド”を是非購読してみてください。

 

さらに、私のものづくりの師の一人である柴山登光さんの著書 ”モデリストの深イイ話” もとても勉強になる本です。

 

 

 

 

今のクラシコ ニッポンの話は自分のYouTubeでやるしかないかなと思います。

 

動画でどこまで詳しくわかりやすく話せるかが鍵です。

 

難しいことを難しく話すのではなく、誰にでもわかりやすく話す。

それが私の使命だと思っています。

 



 

 

 

 

 

MR_BEAMS CHANNEL ”ELEMENTS OF STYLE” 更新しました。

 

 

今回はカジュアルアウター編です。

是非ご覧ください。

 

 

 

 

 

久しぶりにCHANNEL KOTAROに出演しました。

 

 

今回は今まで語られてきた英国靴の話とは少し違う角度からマニアックなお話をしています。

 

是非ご覧ください。