ディスプレイ指導 2 | ELEMENTS OF STYLE

ディスプレイ指導 2

 

前回に続きショップディスプレイについてです。

 

今回は私がグッドコメントを入れたディスプレイについてコーディネートのポイントも含めてご紹介したいと思います。

 

 

 

 

ベージュとブラウンの同系色でまとめたコーディネート。

 

 

 



トーン オン トーンのコーディネートは濃淡を上手く表現できないと野暮ったくなります。

濃いパンツ、明るいベージュのジャケット、中間のオーソドックスなベージュのコートと、色のトーンのずらし方が上手いコーディネートです。

ジャケットの柄の大きさに対して、ネクタイのストライプのピッチが広いのでVゾーンのまとまりもいいです。
 
差し色にサックスブルーが入っているネクタイをチョイスしたのも正解です。

最近のディスプレイを見ると、ベージュやブラウン系のコーディネートにはクリーム色やベージュのシャツを合わせるケースが多く見られますが、ホワイトの方がグラデーションにメリハリがつくので正解です。
 
他の店舗では見られない独自性があるのもグッドコメントを入れたポイントです。




 
グレーの無地のスーツを同系色でまとめたコーディネート。
 
image

 

 

 

シルバーベースのジャガードタイは意外と難しいという声をよく聞きます。

 
確かにホワイトシャツと合わせるとフォーマルっぽく見えるので、お客様にとってはビジネスシーンで着るにはちょっと華やかすぎると感じるのかなと思います。
 
自分の場合はファーマルっぽく着ないのであればブルーのシャツで合わせます。
 
このディスプレイはクレリックのシャツを合わせていますが、ベースのストライプの色が淡いのでVゾーンの主張が強すぎず上手くまとまっています。
 
もう少し押しが強い感じが良ければベースのブルーをもう少し濃くしてもいいですね。

イタリアっぽくも英国っぽくもなく、ブリティッシュ アメリカン風で個人的にも好きなコーディネートです。
 
 
 
 

 

ネイビースーツにジャガードのネクタイというベーシックなコーディネート。

 

 
このコーディネートにグッドコメントを入れた理由は、制約の多いビジネスマンのお客様の参考になると思ったからです。
 
会社で決められた服装規定の中では必然的にスーツやシャツの色柄は限られてしまいます。
 
一番変化をつけやすいのがネクタイの色柄ですが、ネクタイもあまり押しが強いとネクタイだけが浮いてしまいビジネスシーンでは難しくなります。
 
このコーディネートのポイントもネクタイの色柄です。
 
中程度の大きさで適度にスペースの開いた小紋柄は今シーズンのトレンドでもあり、淡いブルーにグレーをさしたようなニュアンスカラーのトーンも今シーズンらしい色づかいです。
 
ビジネスマンのお客様には、こんな ”トレンドをおさえつつも 行き過ぎず気の利いた色柄のネクタイ” をおススメしたいのでグッドコメントを入れました。
 
ちなみに、グッドコメントを入れたのは私ひとり・・・
 
洋服屋っぽい主張の強いディスプレイが多くなりがちですが、制約の多いビジネスマンの方達の参考になるようなコーディネートがもっとあった方がいいと思っています。
 


 

 

 

ブラックのバブアーのスペイを使ったブラック×ブラウンのコーディネート。

 

 

 

 
ショート丈のスペイをクラシックなジャケットやスーツに合わせるコーディネートが多いですが、個人的にはこんな感じでカジュアルに合わせた方が雰囲気がいいと思っています。
 
クリケットセーターに千鳥のパンツと言うトラッドなコーディネートですが、色がブラック×ブラウンと言うのが今の雰囲気に見えるところです。
 
ラギッドな感じになりがちなバブアーをモダンな雰囲気に見せているところがいいですね。
 
ちなみに、自分の世代はブラックにブラウンを合わせるのは洋服に無頓着な人の色合わせと言われNGでした。
 
昨今モード系やウィメンズから広まり今ではNGではなくなりましたが、違和感を感じる方は無理に合わせないほうがいいです。
 
一般的にはブラウンに対してはネイビーの方が合わせやすい色であることは間違いありません。

 
 


これも同じくブラックのスペイを使ったコーディネート。

 

 
カジュアルなジャージジャケットにドローコードのパンツという、都会的なジャケットコーディネートにラギッドなバブアーのスペイを合わせています。

本来はテイスト的にミスマッチですが、色づかいのバランスがいいので違和感がなく、むしろクラシックなスーツやジャケットと合わせるよりも気の利いたコーディネートに感じます。
 
バブアーを都会的なコーディネートに取り入れるのは難しいですが、上手く取り入れている良い一例だと思います。
 
モノトーンにサックスブルーを差し色に使っているのもポイント。
 
これも他のショップにはない独自性のあるディスプレイです。
 
靴はもう少し軽い方がいいかなと思います。
 


 

 

フライトジャケット風のレザージャケットを使ったコーディネート。

 

 
80年代のフレンチアイビーを彷彿させるコーディネートです。
 
当時であればシャツはボタンダウン、パンツは2プリーツのテーパードしたチノパン、ネッカチーフはアスコットタイやスカーフ、足元はモンクストラップという感じでした。

コーディネートしたスタッフはフレンチを意識した訳ではないとないと思うので、偶然アップデートしたフレンチスタイルになったという感じでしょうか。
 
自分にとっては懐かしさもありつつ、しっかりアップデートされたフレンチシックなコーディネートがとても良く感じます。
 
レザージャケット以外は定番的なアイテムなので、オトナのカジュアルスタイルとしておススメしたいコーディネートです。
 
 
 

 

 

デニムジャケットとハーフコートのレイヤードコーディネート。

 

 
 
 
アウターのインナーにGジャンを着るのは最近SNSでもよく見かけるコーディネート。

自分が大学生の頃に少し流行ったコーディネートなので、なんとなく懐かしさもあります。
 
このようなレイヤードスタイルはラギッドな雰囲気になりがちですが、都会的なアイテムと色づかいでラギッド感を感じさせないコーディネートになっています。
 
軽快なオフホワイトのカーコート(ハーフコート)なので、レイヤードによるやり過ぎ感がなく、ブラックデニムのGジャンにグレーのジャージパンツという都会的なコーディネートをモノトーンでまとめ、グリーンのポロを差し色に使うという、とても気の利いたコーディネートだと思います。
 
足元はホワイトのダンスシューズですが、自分ならホワイトのスニーカーを合わすと思います。
 
グリーンのポロは普通にボタンを外して着るか、クルーネックのニットに替えます。

世代が違うということもありますが、フレンチカラーのポロシャツのボタンを全て留めるのは自分が高校生の頃に流行ったので、逆にかなり古臭く見えるんです・・・(苦笑)
 
世代が違えば感じ方も違うもので、これもディスプレイでは気をつけなければならないポイントです。
 
自分と同じように感じる人はポロシャツのボタンは外して着てくださいね(笑)。
 
 
 
 
 
自分がグッドコメントを入れるのは、お客様目線に近いものがあります。
 
なので、今回ご紹介したコーディネートも行き過ぎてなくバランスが良く、ちょっと気が利いていてお客様が取り入れやすいコーディネートばかりです。
 
そして、なんとなく同じようなコーディネートが多くなる中、他の店とは違った独自性がある事も評価のポイントです。

独自性と言ってもインスタ映えを狙ったようなコーディネートもショップディスプレイとしてはNGです。
 
基本を理解したうえでハズすことが大事で、理解せずにハズれることはNGなのです。
 
ハズシとハズレは違う。

これはとても大事なことなんです。