ディスプレイ指導 | ELEMENTS OF STYLE

ディスプレイ指導

 
2021秋冬のバイイングもひと段落し、デスクワークの時間も少し増えたので、1週間くらい前から最近チェックできていなかった店舗のディスプレイを集中的にチェックしていました。
 
気になるところはコメントを入れてアドバイスしますが、私が先にコメントを入れると他のスタッフが評価やコメントを入れにくくなるので、皆の評価が出そろったあたりでコメントを入れるようにしています。
 
なんとなく空気読んでいます(笑)。
 
今回は私がコメントしたディスプレイの中からいくつかピックアップして、コメントした内容を更に細かく解説してみました。
 
皆さんのコーディネートの参考にもなればと思います。
 
 
 
 
ライダースジャケットにミリタリーパンツを合わせたコーディネート
 
 
ライダースジャケットにミリタリーパンツはある意味今風のコーディネートです。
 
インナーにトラッドっぽいケーブルのニットを合わせ、足元はイタリアっぽいスリッポン。
 
ハードなライダースジャケット、トラッドなケーブルニット、ラギッドなミリタリーパンツ、イタリアっぽいスリッポンと、ミックススタイルにしてもテイストを盛り込み過ぎてちぐはぐな印象です。
 
色合わせも黒×オレンジ×オリーブと少しくどい感じがします。
 
アドバイス後のコーディネートがこちらです。
 
 
インナーを白×黒のボーダーに替えてシンプルなコーディネートになりました。
 
ボーダーのTシャツとミリタリーパンツは相性がいいので、そこにラーダースを羽織るくらいのミックステイストの方がお客様に伝わりやすいのではないかと思います。
 
なんでもかんでもミックスするのではなく、コーディネートするアイテムのテイストを理解したうえでミックスすることが大事です。

 
 
 
 
ブレザーにミリタリーパンツのコーディネート
 
 
ブレザーにミリタリーパンツを合わせるコーディネートは80年代のフレンチアイビーの頃からBEAMSの定番コーディネートです。
 
上半身がかなりリアルなアメトラ的なテイストのコーディネートなので、ミックススタイルとしてちょっと無理がある感じがします。
 
マドラスチェックのシャツに黄色いニットタイは良い合わせだと思いますが、それにミリタリーパンツはさすがにちょっとやり過ぎです。
 
この上半身に対しては普通にベージュのチノパンか同じ見え方が良いのであればオリーブグリーンのチノパンを合わて、普通にアメトラ風にコーディネートした方がいいです。
 
アドバイス後のコーディネートはこのようになりました。
 
 
引き算をして良くなりました。
 
それでもまだマドラスチェックのトラッドな感じが堅く見えるので、胸元のボタンをひとつ外してちょっとラテン風に振った方がミリタリーパンツとのマッチングが良くなると思います。
 
コーディネートはこなしが大事です。
 
靴は白のダンスシューズですが、個人的にはローファーの方がいいかなと思います。
 
そのあたりは世代の違いもあるので許容範囲です。

 
 
 
 
ベージュのコットンスーツにバブアーを合わせたコーディネート
 
 
オレンジのニットポロを合わせたリゾートっぽいコーディネートにラギッドなバブアーはミスマッチです。
 
同じコットンスーツでも色がブラウンやオリーブでポロがネイビーや黒ならまだ合うと思います。
 
最近バブアーが万能アウターのように捉えられがちですが、春夏のコーディネートに取り入れる時は注意が必要です。
 
特にリゾートっぽい雰囲気やコロニアルな雰囲気のコーディネートには合わないので注意が必要です。
 
 
 
 
 
春らしい淡いベージュのジャケットコーディネート
 
 
 
淡いトーンのベージュのジャケットにミディアムブラウンのパンツを合わせたのはセオリーどおりですが、シャツが濃い色のシャンブレーなのでチェックのネクタイを合わせるとくどい感じに見えます。
 
この場合シャンブレーを合わせるのであれば、色落ちして色が薄くなったシャンブレーのほうがいいです。
 
ナチュラルなカラーのジャケットに濃い色のシャツに派手なチェックのネクタイはちょっと古臭い感じにも見えます。
 
アドバイス後のコーディネートです。
 
 
色落ちした薄い色のシャンブレーはお店にはないので引き算でホワイトにして正解だと思います。
 
ワイドスプレッドだと堅く見えるのでタブカラーにしたのも正解。
 
シャンブレーのシャツは万能と思われがちですが、濃いインディゴと淡いジャケットを合わせる時は注意が必要です。
 
なので、私は色落ちした薄いものと濃いものを使い分けています。

 
 
 
 
 ベージュのヘリンボーンのコットンスーツのコーディネート
 
 
 
コーディネート自体はとてもいいですが靴が惜しかったです。
 
ダブルブレストにクレリックのシャツ、プリントタイとかなりクラシックなコーディネートに対して靴がライニングなしのエプロンフロントはスポーティー過ぎてミスマッチです。
 
ノータイでポロを合わせてジャケットのボタンを外して着るような場合はこの靴でもいいと思いますが、コットンスーツのコーディネートとしてはかなりクラシックな感じなので、セミブローグやモンクストラップ、タッセルくらいの方が良いと思います。
 
コットンスーツだから靴は軽くていいというわけでなく、コーディネートによって使い分けることが大事です。

 
 
 
 
ブラウンのウールリネンのスーツコーディネート
 
 
 
ブラウンとインディゴブルーの相性が良く、ブラウンとイエローの相性も良いので成立しやすいカラーコーディネートとですが、ネクタイの色柄だけが目立ち少し野暮ったい印象に見えます。
 
リネンの入ったスポーティーなスーツにシャンブレーのタブカラーを合わせ、カジュアルなチェックのネクタイを合わせる狙いは良いと思いますが、チェックのネクタイを合わせるにしても、もう少しスーツの色に馴染む色柄のものを合わせた方が良いと思います。
 
このようなコーディネートの場合は、ネクタイだけが浮き出たように見せない抜け感を作ることが大事です。

 
 
 
 
 グレンプレイドのジャケットのタイドアップコーディネート
 
 
 
コーディネートはいいと思いますが、秋冬っぽい印象に見えるのが惜しいところだと思います。
 
シャンブレーのシャツを合わせるのはいいですが、やはり色落ちしていない濃い色のシャンブレーシャツを合わせるとジャケットとネクタイの間が濃くなり重たい印象に見えます。
 
さらに合わせたパンツも濃いベージュなので、全体で見ると春夏らしさが感じられないとアドバイスしました。
 
シャツをブルーのオックスフォードに替えて、パンツを薄いベージュにするだけで印象がかなり変わると思います。
 
特に季節感がハッキリしないサマーツイード系のジャケットをコーディネートする場合は他のアイテムのトーンの選び方が大事です。
 
 
 
 
 
グレースーツにストライプタイを合わせたコーディネート
 
image
 
 
スーツとネクタイの合わせは個人的にも好きなコーディネートです。
 
特にネクタイは自分のインスタグラムでベージュのコットンスーツと合わせていて好きなネクタイです。
 
このネクタイ、よく見ると結構目立つ特徴的な織柄が入っているので、それにストライプのクレリックは少しうるさく感じます。
 
濃い色のレジメンタルタイに白場が多いオルターネーットっぽいストライプもミスマッチな感じです。
 
クレリックを合わせるであれば無地の方がいいですね。
 
どうもBEAMSのディスプレイコーディネートは足し算が多くて引き算が少ない傾向があります。
 
 
 
 
 
淡いブルーのウィンドウペンの入ったグレンプレイドのスーツコーディネート
 
 
コーディネート自体はビジネスにも取り入れられるシンプルなコーディネートで良いと思います。
 
アドバイスしたポイントはチーフの入れ方。
 
画像のような縁に色が入っているチーフをスクエアに入れると胸ポケットとラインが平行に見えて野暮ったく見えます。
 
アドバイス後はこうなりました。
 
 
エレガントな感じとこなれ感が出てイメージが変わったと思います。
 
白に色のパイピングの入ったチーフをスクエアに入れている人を見かけますが、上の画像のようにチーフの角が見えるように入れた方がエレガントに見えます。
 
是非試してみてください。
 
 
 
 
 
ライトグレーのスーツにビンテージ調のネクタイを合わせたコーディネート
 
 
スーツとネクタイの合わせはいいと思いますが、シャツがブルーの細いストライプでVゾーンがなんとなくメリハリのないぼやけた印象に見えます。
 
ストライプのシャツを合わせるのであれば、白場がハッキリ見えるストライプの方がネクタイが引き立つというアドバイスをしました。
 
変更後のコーディネートです。
 
 
変更前と比べるとVゾーンが明るくなり、メリハリがついてネクタイの柄も引き立って見えると思います。
 
ビジネススタイルを意識して目立たないストライプを選んだとすれば、逆に発色の綺麗なブルーの無地の方が良かったと思います。
 
薄い色のスーツは合わせるアイテムのトーンを間違えるとぼやけた印象のコーディネートになるので注意が必要です。
 
 
 
 
 
 
最近は全て替えるように指示するようなディスプレイは少なくなりましたが、それでも盛り過ぎでお客様にとってわかりづらいコーディネートが多いのは課題だと思っています。
 
ここ数年様々なテイストをミックスする流れもありますが、それぞれのテイストを理解したうえでミックスしないとただ単に色々なものを合わせただけのちぐはぐなコーディネートになってしまいます。
 
基本をしっかり理解したうえでハズすようにしないとただハズれたコーディネートになってしまいます。
 
なので、グッドコメントだけでなくバッドコメントもショップスタッフに遠慮なく頂ければと思います。
 
自己満足ではなくお客様満足。
 
商品だけでなくディスプレイもそれが大事だと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ちょっと間が開いてしまいましたが、2021春夏トレンド解説動画更新しました。
 
 
Vol.4はパンツ編です。
 
是非ご覧ください。