1982年のMEN‘S CLUB
GWも終わりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私はGWと言っても、どこに行けるというわけではないので、毎日何かしら仕事をしているという感じでした。
在宅ワークになってから、80年代くらいからの流れを洋書や日本の雑誌、当時のカタログやスクラップを整理しながら再検証しています。
昨今は様々なスタイルやアイテムがリバイバルしているので、当時を振り返るのも自分にとってはとても有意義なことです。
今回は自分が持っているMEN'S CLUBのバックナンバーで一番古い1982年の7月号のなかから、当時のトラッドスタイルについて少し触れてみたいと思います。
この号の特集は ”TRADITIONAL FOREVER” ということで、当時のトラッドスタイルについてフィーチャーしています。
当時のメンズクラブと言えばこれですね。
”街のアイビーリーガース”
通称 ”街アイ”
今や雑誌もSNSもスナップが当たり前の時代ですが、当時全国の都市を回って毎月スナップを紹介するこのページは、他の雑誌にはないメンズクラブの名物企画でした。
この号は鹿児島編。
ポロシャツの上にボタンダウンを着るのは、80年頃にメンズクラブで紹介されたプレッピーの着こなしです。
昨今プレッピーがリバイバルしていますが、さすがにBDとポロシャツをレイヤードする人は見ないですね。
ポロシャツの襟を立ててレイヤードするのが、メンズクラブで紹介されたプレッピー的な着こなしでした。
マドラスチェックのジャケットも当時夏のマストアイテムでした。
白のボタンダウンに無地のニットタイもアイビーのセオリーどおりのコーディネートです。
実は今シーズン、自分もマドラスチェックのジャケットが着たい気分です。
生地を探してオーダーで作ろうかと思っていましたが、このコロナ騒ぎで今シーズンは難しそうです・・・
マドラスチェックのシャツにショーツというのも当時のスタイルです。
80年代なので、ショーツもプリーツ入りで丈も短めです。
女性が穿いているマドラスチェックのパンツはメンズでも当時は定番でした。
アイビーファミリー ポートレートのページではブレザーのコーディネート。
右端の胸ポケットのエンブレムが懐かしいですね。
うちの若いスタッフが、「子供の頃、父親のブレザーにワッペンみたいのが付いていた」と言っていましたが、それがエンブレムです(笑)。
パンツはブラックウオッチ。
この当時もタータンチェックのパンツは定番でした。
右から2番目はラウンドカラーのクレリック。
左端は当時ニューポートブレザーと呼ばれた、ウェストシェイプの無い4ボタンのダブルブレストにボタンダウンとレジメンたるタイ。
パンツの裾幅が広いですが、これは70年代にフレアーやバギーが流行ったことで、クラシックも少し影響を受けてパンツが太くなった流れが80年代に入っても続いていたのだと思われます。
シルエットやディティールの違いはあれど、今の雰囲気と流れに通じるものがあります。
夏のベーシックアイテム図鑑のページでは、イラストで当時の夏のベーシックアイテムを紹介しています。
イラストというのが、いま見るととても新鮮です。
ここでも4ボタンのニューポートブレザー。
自分がBEAMS入社後に初めて買ったBEAMS Fのダブルのブレザーも4ボタンのダブルでした。
シアサッカーのジャケット、サスペンダー、レギュラーからにカラーピン、バルカラーコート、タッセルスリッポン。
ここ数年BEAMSが展開しているものが多いですね。
これを見ても昨今の流れは、この当時のリバイバルと言うのがわかると思います。
カラーコーディネーションがサマーカジュアルのポイントと書いてありますが、当時はカラフルな色が夏の定番でした。
イエローやピンクやオレンジ、レッド、グリーンなど、当時はカラーバリエーションがとにかく多かった時代でした。
ここでも今の人気アイテムのチルデンニットが載っていますね。
右下にPAISLEY PANTSがでていますが、60年代のアイビーブームの頃もペイズリーやバティックプリントのシャツやパンツが流行っていたというのを70年代のメンズクラブで見た覚えがあります。
これをアップデートさせて、ドローコードのパンツで展開したいなと思っています。
ベーシック クロージング リーグのページでは、フレンチラコステ、ブルックスブラザースのニットポロ(ジョンスメドレー?)、コンバースのオールスター、ブレディーやウプラのフィッシングバッグなど、今も定番として展開されているものが掲載されています。
この後、フレンチアイビーの定番的なブランドとして知られるようになる、ウプラのバッグがすでに載っているのも注目です。
ちなみに、このウプラのバッグは取り扱い店舗がBEAMS原宿店になっています。
ブレディのフィッシングバッグはBShopさんで定番としてかなり展開されていますね。
当時もブレディやチャップマンのフィッシングバッグはトラッド派の人たちに人気でした。
フレンチ ラコステが¥12,800ー、40年近く前でこの値段でした・・・
自分も高くて当時はなかなか買えませんでした。
トラッド ショップ 通信のページではBEAMSも紹介されています。
1982年にすでにフレンチアイビーを打ち出していました。
ポパイのフレンチアイビー特集が1984年なので、かなり早いですね。
コーディネートがBEAMS Fのリネンジャケットにシャンブレーシャツ、ボーダーのニットタイ、パンツはリーバイスの501。
この当時すでにシャンブレーのシャツにタイドアップと言うのがBEAMSでは当たり前でした。
3年後アルバイトとしてBEAMSで働き始めますが、私も当時BIG MACのシャンブレーのワークシャツにレジメンタルタイをしていました。
大学生の頃よく通っていた渋谷のCAMPSも紹介されています。
渋谷駅から道玄坂のミウラ&サンズ行って、ビームスの渋谷店に行って、最後にキャンプスに行くのが渋谷に行った時のルーティーンでした。
写真の店長さんは元BEAMS銀座店のスタッフだった菊池さん。
キャンプスの店長時代は色々な意味で大変だったと在籍中によく聞いていました。
渋谷のファイヤー通りにあったUNION SQUARE。
BEAMSも当時ファイヤー通りに店があって、二軒隣がユニオン スクエアでした。
渋カジ世代の人は皆知っている、RED WOODの前身です。
写真の方は、原宿の古着の名店で数年前に惜しまれながら閉店したPUEBLOのオーナーの浅川さん。
自分がBEAMSでアルバイトとして働き始めたころ、同じビルにあったNAMSB(ナムスビー)のスタッフで、まだ若造だった自分に気さくに接してくれました。
浅川さんが穿いているのがグルカショーツ。
この頃はグルカパンツやショーツ、グルカサンダルが流行っていました。
紹介されているアイテムも501のホワイトとシャンブレーのシャツ、チルデンニットと、今人気のアイテムと同じですね。
TRAD 1 1/2というページでは親子のワードローブが紹介されています。
今ならOCEANS的な感じでしょうか。
ここでもやはりマドラスチェック。
今ではリネンのシャツが夏の定番ですが、この当時はとにかくマドラスチェックでした。
下の画像は、マドラスチェックのBDにケーブルのニットベストを合わせています。
下の画像は、マドラスチェックのBDにケーブルのニットベストを合わせています。
今ではほとんど見なくなりましたが、当時はこんなコーディネートもトラッドの定番でした。
高温多湿の日本では相当暑いので、我慢して着ていた感じですね(笑)。
高温多湿の日本では相当暑いので、我慢して着ていた感じですね(笑)。
自分も高校生の頃は、半袖のポロやBDの上にニットベスト着ていました。
プロフェッショナル シューズのページには永遠の定番も。
コンバースのオールスター、トップサイダーのキャンバスデッキ、ジャックパーセル。
原産国が変わったり、ちょっとしたディティールの変化はあれど、40年近く前から今まで定番であり続けるというのは、あらためてトラディショナルなものの素晴らしさを感じます。
ジャックパーセルの下に見えるポロシャツがFILAのボルグモデルというのも時代を感じさせます。
ちなみに、ボルグのシューズはディアドラとトレトンでした。
ボルグって誰?と言う方はこちらを。
このブログでも度々紹介している、アレキサンダージュリアンやサルバトーレセザラニのインタビューページもあります。
当時はニューヨークのデザイナー達が注目された時代なので、彼らやアラン フラッサー、ジェフリーバンクスの特集ページが度々組まれていました。
サルバトーレ セザラニは、高校時代の友人がニューヨークに留学中に彼のオフィスでアルバイトをしていたので、お会いしたこともないのに勝手に親近感を感じています(笑)。
アレキサンダー ジュリアンは、去年の秋ごろ息子さんと突然BEAMS Fにリサーチに来られていてびっくりしました。
私シャイなので、そういう時に声かけられないんです・・・(苦笑)
リーバイスの連載ページには、新製品としてブラックの501が紹介されています。
文中にはアメリカのファッションコンシャスな人たちの間でブラックジーンズが注目されていることと、当時501がゲイたちのユニフォームとなっていて、ブラックの501も彼らがトレンドのきっかけを作ったと書かれています。
そして、文章の最後にはブラックの501は最もハードな人たちに好まれていると書かれています。
昨今の雑誌ではなかなか見られない濃い内容・・・
当時のアメリカのファッションカルチャーを紹介するのがリーバイスの連載と言うのも興味深いです。
80年代前半頃は日本でもアルマーニ代表されるイタリアのデザイナーブランドが注目され始め、DCブランドも出てきて、さらにカジュアルもヨーロッパのモノが注目され始めた時代で、60年代のアイビーブームから続いたアメリカン トラディショナルの人気にも少し陰りが見えてきた時代でした。
なので、この80年代前半あたりまでが、自分が初めてメンズクラブを読み始めた70年代中頃のイメージを引き継いでいて、その後徐々に時代の流れで内容も少しずつ変わって行ったように感じています。
自分がメンズクラブを買い始めたのが中学一年の終わりころ、高校を卒業するまで毎月買っていたので、バックナンバーを全て持っていたのですが、大学生の頃ほとんど処分してしまい、いま持っているバックナンバーで一番古いのが、この1982年の7月号です。
1月にパリに出張に行った時、最近注目されているセレクトショップBEIGE Habilleurで70年代のメンズクラブが70ユーロ以上で売られていましたが、いまヨーロッパのバイヤー達にも当時の日本のファッション誌は貴重な資料となっているようです。
自分たちはそれが当たり前だと思っていましたが、ここまでアメリカン トラディショナルを追及していた月刊誌は、おそらく当時世界中を見てもメンズクラブしかなく、新しい世代の欧米のバイヤーやブロガー達にとっては、アメリカン トラディショナルを知るうえで貴重な資料となっているようです。
私がリアルな情報を求めて洋書を読み漁っていた20代の頃とは、逆転現象が起こっているということですね。
それは、いまやヨーロッパでも日本のセレクトを真似たショップが多くできている状況を見ても、日本人が模倣してきた欧米のファッション文化を日本人の解釈でアップデートさせてきたことによって、模倣される側になったということを感じます。
いまドレスクロージングの世界は、20年以上続いたイタリア偏重の流れから、英国やアメリカやフランスのテイストを取り入れたスタイルに変化してきています。
それは実はトレンドではなく、サプライヤーもバイヤーも含めての世代交代による自然な流れで、彼らにとってはイタリア偏重になる前の英国やアメリカやフランスのクラシックやカジュアルが、いま新鮮なのだと思います。
昨今アイビーやプレッピーがちょっとしたトレンドになっていますが、それを日本で広めてきたメンズクラブが、若い世代に言葉やイメージだけでなく、リアルなアイビーやプレッピーを伝えていくのも役割なのかなと勝手に思いながら、この1982年7月号を熟読していました。
リアルを教えつつ、それを今の時代にアップデートさせたスタイルを紹介していく・・・
こんな企画どうでしょうか。
”時代性のあるアメトラ”
今度編集長に提案してみます。
言うだけなら簡単ですから(笑)。
お知らせです。
5月11日(月) 21:00からインスタライブを行います。
メンズクラブのアカウント @mensclub.snap にゲストとして参加しますので、是非ご覧ください。
トリプルポイントキャンペーン&15%OFFキャンペーン、5月10日まで開催しています。
この機会に是非 BEAMSのオンラインショップをご利用ください。