オーダースーツ
オーダーしていたスーツがやっと上がってきました。
今回はBRILLAが今シーズンから展開している襟幅が少し広くゴージラインの傾斜がついたニューモデルがベースです。
BRILLAのスーツなので仕立てはRING JACKETです。
上衣はいつものようにチェンジポケットを付けました。
チェンジポケットは好き嫌いがわかれるところですが、私は最近70年代~80年代のアメリカン ブリティッシュや90年代のブリッティシュの雰囲気を今の軽く柔らかいテーラーリングに落とし込んだスタイルのスーツが好みなので、ここ数年はチェンジポケットのついたモデルでオーダーすることが多いです。
イタリアのテーラーリングがベースで、そこに英国やアメリカのテイストをミックスすると言うことですね。
それにしてもこのジャケット、画像でもわかりますが袖がかなり前振りで袖口も前方に巻き込むように作られています。
この部分は仕立てが良くないと粗が目立つ部分なので、この価格帯のスーツでこれだけ攻めて仕立てられるリングヂャケットの技術は世界的に見ても貴重な存在です。
パンツは2アウトプリーツのサイドアジャスター。
ここ数年スーツはベルトレスばかりオーダーしていたので、めっきりベルトをしなくなりました。
ベルトレスのパンツはエレガントでドレッシーに見えるのが良いところ。
プリーツの入ったパンツはノープリーツのパンツと比べてエレガントに見えるので、特に2プリーツのパンツにベルトをするのは個人的にしっくりこなくなっています。
サイドアジャスターのベルトレスのパンツは90年代の英国調ブームの時にBEAMS Fでかなり展開していました。
自分も当時かなり好んで穿いていたパンツなので、トレンドではなくただのリバイバルと言う意識しかありません。
それがベルトレスのパンツが苦手という人と大きく違うところですね。
因みに、このBRILLAの2プリーツは個人的にインポートブランドのパンツも含めて一番履きやすくて綺麗なシルエットの出るのでとても気に入っています。
生地は私が監修しているこのバンチから選びました。
”CANONICOの4PLYのフレスコ”
もちろん、私がセレクトした生地です。
ドライタッチで打ち込みがしっかりしたこのフレスコの生地は、私がCANONICOの中で最も好きな生地です。
フレスコは通気性が良くて皺になりにくいので、暑くて湿度が高くなるこれからの季節にはピッタリの生地です。
イタリアの生地ブランドの中で、これだけしっかり打ち込まれた英国製のようなフレスコを織るブランドはCANONICO以外ありません。
柄は大柄のグレンプレイド。
白×黒のチェックは次の秋冬のトレンドでもあるので、少し先取りと言う意味もあります。
そして、今回このモデルでオーダーした理由のひとつが、今シーズンのBRILLAの新しいモデルで採用されているこの襟型。
この2枚の画像を見て、”なるほど、そういうことか” とすぐにわかった人は、かなりイタリアのサルトリアのスーツに精通されている方。
我々の業界でもイタリアのサルトリア(ビスポーク テーラー)で仕立てたり、そういったスーツをよく知る人でなければわからない襟型だと思います。
語れば語るほど薀蓄はあるのですが、簡単に言うと ”ゴージのラインに傾斜がついて、上衿が大きくて長い襟” であること。
そして、”ゴージラインがカーブしている” のも重要なポイント。
そして、”ゴージラインがカーブしている” のも重要なポイント。
私がこれまでオーダーしたナポリのサリトリアのジャケットの襟を見ていただきたいと思います。
DALCUORE
ご覧のように、ゴージラインに傾斜がついてカーブし、上衿が長くて大きいのがわかると思います。
現在の既製服の主流になっている ”ゴージ位置が高くゴージのラインと肩のラインが並行” という襟型は、90年代後半にアットリーニが打ち出した ”ANNI 30”(アンニ トレンタ)という、30年代のナポリのサルトリアの襟型を再現したのが始まり。
その後、多くのブランドがこの襟型を模倣したことで ”ゴージ位置が高くゴージのラインと肩のラインが並行” という襟型が既製服の主流となり、20年以上その流れが続き現在に至ります。
それだけ当時アットリーニが打ち出したモデルが大きな流れを作り、ドレスクロージング業界に多大な影響をもたらしたということです。
この襟型を採用したきっかけは、BRILLAのバイヤーの高田が私がダルクオーレでオーダーしたスーツの襟型を見て、”ディレクターが着ているダルクオーレのようなゴージが傾斜した襟のモデルを作りたい” と言ったのがきっかけ。
高田わかってますね。
いまクラシックで新鮮に見える襟型はこんな感じの襟型。
新しいと言っても元々昔からある襟型なので、トレンドと言う意味ではなく原点回帰というのもポイント。
既製服がゴージが高くてゴージラインと肩線が並行な襟型が主流になっても、フィレンツェやナポリのサルトリアはずっと変わらずこのようなゴージラインが傾斜して上衿に存在感のある襟のジャケットを作り続けてきたわけですから、逆にトレンドとは無縁なクラシックな襟型と言えるでしょう。
私自身こういうサルトリア風のクラシックな襟型が今また新鮮に感じていましたが、”既製服に落とし込んでわかってもらえるのか?”という懸念もあり、自分が着るものだけにとどめておいた方が良いかなと思っていました。
なので、このタイミングで若い高田が新鮮に感じるというなら形にしようということで誕生した襟型です。
このモデル、今シーズンは3ピースだけで5パターンの展開で、次の秋冬はジャケットも展開します。
既に店舗で展開していますので、ご興味のある方は是非ご試着してみてください。
そして、もう一着はあるイタリアのブランドでオーダーしました。
生地はこれもCANONICOのフレスコのグレーのワイドストライプ。
モデルはダブルブレスト。
随分前にオーダーしましたが、まだ上がってきていません。(苦笑)
随分前にオーダーしましたが、まだ上がってきていません。(苦笑)
急がせると失敗しそうなので気長に待つとします。(笑)
今シーズンはブルー系よりグレー系が気分です。