BEAMS F 40周年記念 アイテム
2018年 春夏のカタログが発行されました。
プレス内覧会でもディスプレイに使ったSTILE LATINOのストライプのブレザーや、BRILLAのホワイト×ネイビーのウインドウペン、LARDINIのストライプジャケット等など、私が気になっているアイテムもたくさん掲載されています。
今年はBEAMS Fが誕生して40周年なので、40周年について私が語っているページもあります。
40周年の足跡とこだわり、これからの展望、40周年記念アイテムに込めたメッセージが書かれています。
こちらも是非ご覧ください。
今回はカタログでも紹介されているBEAMS F 40周年記念のアイテムの中から、CROCKETT&JONESのスリッポンをご紹介します。
CROCKETT&JOHNESのAPRON FRONT(エプロン フロント)
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/shoes/21320138502/
http://www.beams.co.jp/item/beamsf/shoes/21320139502/
アンラインドで甲に飾りのないシンプルなスリッポンです。
私がこの靴を始めて見たのはBEAMSでバイトを始めた80年代中頃。
当時先輩たちが履いていた英国の伝説のブランドCROLLA(クローラ)のスリッポンでした。
当時先輩たちがデニムやテーパードしたプリーツパンツに合わせていたクローラのスリッポンは、英国のデザイナーズブランドなど全く知らなかった新人の自分にとって、とてもインパクトのある靴でした。
このブログをアップした後、昔の後輩からクローラの画像が送られてきました。
これが当時BEAMSで売られていたクローラです。
私が入社した当時BEAMSでアルバイトをしていた後輩で、今は弘前のセレクトショップCIENTOの役員の奈良さんが当時履いていたモノです。
ブログを見て画像を送ってくれました。
奈良さん、ありがとうございます。
その数年後、ロンドンにあるPOULSEN SKONE(ポールセン スコーン)のレディーメイド(既製品)の靴をBEAMSが日本で初めて展開することになり、そのサンプルの中にクローラとラストもデザインも全く同じスリッポンがあったことから、「クローラのスリッポンは実はポールセン スコーンが作っているのではないか」という憶測が社内で起こりました。
当時クローラのスリッポンはスタッフの間でとても人気があったので、BEAMSで展開するポールセン スコーンのコレクションの中に、このエプロンフロントのモデルは当然入ることになります。
因みに、クローラのスリッポンだけでなく、当時のポールセン スコーンのレディーメイドの中にはEDWARD GREENのDOVERと全く同じUチップもありました。
その後、BEAMSで初のポールセン スコーンのビスポーク オーダー会が開催されるのですが、当時来日していたJOHN CARNERA(ジョン カネーラ)とGEORGE GLASGOW(ジョージ グラスゴー)に「何故他のブランドとそっくりなモデルがポールセン スコーンのレディーメイドにあるのか」と質問したところ、「我々はビスポークの靴は自分たちで作るが、レディーメイドは他のファクトリーで作っている」という答えでした。
つまり、ビスポークシューメーカーのレディーメイドや様々なブランドのオリジナルの靴は自社工場ではなく、ノーザンプトンの量産のできるファクトリーで作られていて、ポールセンスコーンの場合はエプロンフロントはクロケット&ジョーンズ、Uチップはエドワード グリーンで作っているという事をその時始めて知ることになります。
今ではそのような英国靴の裏事情は、靴マニアでなくても洋服や靴が好きな人であれば誰でも知っているようなことですが、80年代中頃のファッション業界ではほとんど知られていませんでした。
そして、色々な意味で英国靴が日本で大ブレークするきっかけとなった本がこれです。
1989年10月に発行されたBRUTUS 英国靴特集。
POULSEN SKONE、EDWARD GREEN、FOSTER&SON、HENRY MAXELL、TRICKER'S、CHURCH'S、JOHN LOBB、WILD SMITHと、当時ロンドンで有名だったほとんどの靴ブランドやビスポーク シューメーカーが紹介されていると言う、靴好きや英国マニアの人達だけでなく、我々ファッション業界人にとってもバイブルのような本でした。
その誌面にもポールセン スコーンのエプロンフロントは紹介されていました。
そして、90年代に入り英国調のトレンドが広がると、このエプロン フロントのスリッポンがBEAMSの顧客とスタッフの間で大ブームとなりました。
当時は、今と同じくサイドアジャスターのベルトレスが流行っていた時代。
英国のファクトリーブランドやBERNARD ZINS、BEAMS Fのオリジナルでプリーツ入りのサイドアジャスターのパンツを展開していましたが、それらのパンツに、このポールセンスコーンのエプロンフロントのスリッポンを合わせるのが、当時スタッフや顧客の間で流行っていました。
このような背景もあり、BEAMS Fの40年の歴史の中でこの靴はハズせないという事になり、当時クローラやポールセンスコーンのレディーメイドを作っていたクロケット&ジョーンズに確認したところ、当時のラストとパターンが現存すると言うことで、クロケット&ジョーンズにお願いして復刻させることになりました。
因みに、このエプロンフロントを復刻させるにあたり、クロケット&ジョーンズの現社長 ジョナサン ジョーンズにこの靴にまつわるエピソードを聞いたところ、興味深い答えが返ってきたのでご紹介します。
1960年代から暫くPoulsen SkoneにこのモデルをOEM生産していましたが、元のデ
1964年のカタログにGAVIN というモデルで載っていました。
元々このデザインに使われていた革はBlack Calf、Tobacco Aniline Calf、Chocolate Suedeでした。
Crockett&Jonesのメインコレクションで展開されていたので、Poulsen Skone以外のショップやブランドでも取扱いがありました。
このモデルに使用されているLast235は1960年代に作ら
その時にヒントを得て作った木型なので少しアメリカのローファー
まだ私がCrockett&Jonesの仕事に携わる大分前の話なので、はっきりと言えることはこれだけです。
80年代のクローラや90年代にポールセン スコーンでこの靴が流行った頃は、このようなエピソードは何も知りませんでした。
それから30年近くたってこの話を聞くと、当時何気なく履いていたモデルにも60年代から続くストーリーがあったとは、英国の靴は本当に奥が深いなと改めて感じました。
60年代に誕生し、BEAMSではクローラ→ポールセン スコーン→クロケット&ジョーンズと、80年代から90年代の英国ブームを経て2018年に復活iしたこのシューズ。
単に昔のモノを復刻させただけでなく、あくまでも今の流れに合っていることが復刻に至った理由です。
3月中から末頃の入荷予定です。
ご興味のある方は是非ご試着してみてください。
アメリカの雰囲気を持つ英国靴で、今のイタリアの服にも合う。
まさに、今の流れに合う靴であることは間違いありません。