パンツの股上
スリムなノープリーツのパンツからプリーツ入りのパンツに流れが移行している事は、これまで度々ご紹介してきましたが、パンツにプリーツが入ることによって股上の深さにも徐々に変化が見られるようになってきました。
プリーツ入りのパンツが出始めた一昨年あたりは、まだまだ股上の浅いプリーツパンツが多く見られましたが、今シーズンはプリーツパンツが定着したこともあり、PITTIの会場でも股上が深いプリーツパンツを穿く人が徐々に見られるようになってきました。
我々がPITTI の会場で独自に撮ってきた画像がありますのでご覧ください。
ご覧のように、スーツに関しては既にワンプリーツを飛び越して、2プリーツのパンツが主流になり、股上も深めになっているのがわかります。
ジャケットスタイルに合わせるパンツも股上が深くなっています。
ジャケットに合わせるパンツも2プリーツが増えているのはスーツと同じ傾向ですが、パンツ単品に関しては、インプリーツのパンツが増えているのも見逃せない傾向です。
そして、股上もご覧のように深めになっているのがわかります。
因みに、私が昨年の秋冬に購入したGTAの2プリーツも股上は深め。
購入した当初は股上が結構深いなという印象でしたが、今では全く違和感はありません。
逆に股上が浅いパンツを穿くと落ち着かないので、慣れと言うのは不思議なものです。
股上が徐々に深くなっている傾向を一過性のものだと思う方も多いと思いますが、ノープリーツが流行る以前、プリーツ入りのパンツが主流だった頃は股上の深いパンツが主流でした。
股上の深いプリーツパンツ → 股上の深いノープリーツ → 股上の浅いノープリーツ → 股上の浅いスーパースリムのノープリーツ → 股上の浅いプリーツパンツ → 股上の深いプリーツパンツ。
この15年くらいのパンツのディティールとシルエットの変化を見ても、流れは一巡して戻って来ているのは明確です。
この流れを見ても、プリーツパンツが戻ってくる過程で徐々に股上が深くなっていくのは自然な流れで、それが一過性のトレンドではない事はお分かり頂けると思います。
BEAMS Fのオリジナルスーツは、2000年代前半までは、2インプリーツで股上が深いパンツが付いていました。
その当時のブラックスーツを葬祭用にずっと着ていたのですが、さすがに古臭く感じて一昨年股上の少し浅いワンプリーツのパンツで新調しました。
しかし、今また15年前のブラックスーツが新鮮に感じて、それを直して再度着ることにしました。
パンツは深い2インプリーツで股上は深めでまさに今の気分。
裾幅は少し広いので細く修正。
上着は襟幅が広くウエストも今のモノと比べると多少ゆるいですが、それも今の気分なので修正はしません。
着丈は長いので1.5cmほど短くしました。
着丈が短めというのは変わらないのですか? と良く聞かれますが、これに関しては80年代のサルトリアの話からしなければならず、かなり深く長い話になるので、また別の機会に書きたいと思います。
ということで、プリーツパンツが主流になりつつある今、パンツの股上も徐々に深くなってきているのは確実な流れです。
特にスーツの組下やウールのドレス系パンツは、今後その傾向が顕著になりそうな感じです。
イタリア人も ”ピアノピアノ”(徐々に)という言葉をよく使いますが、急激な変化よりも徐々に変化していく方が我々のようなスタイルの服には合っていると思います。
そして、プリーツパンツがあっという間に広まったように、ファッショニスタ西口が穿いているようなハイウエストのパンツが近い将来主流になるかどうか。
今後の流れをしっかり見ながら、皆さんにまたご報告したいと思います。
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