PITTI UOMO ミラノショールーム 続報3
国内の展示会も終盤を迎えました。
イタリアは8月に入ると1ヶ月バカンスに入るので、春夏のオーダーは7月末までにオーダー入れなければなりません。
イタリア出張から戻るのが6月末なので、7月の1ヶ月間でほとんどのオーダーを済ませないといけないというのが我々の業界の通例です。
簡単に言ってしまえば ”私たちは8月休みなのでオーダーは早く入れてくださいね” とイタリア人に言われているようなもの・・・
毎年の事ですが、なんとも複雑な心境です。
ということで、今月は朝から晩まで展示会まわり日々。
例年に比べると涼しいのが救いです。
プレコレクションから始まってPITTI UOMO、ミラノのショールームまわり、国内展示会と、全てを見ていると自分が予想していたり考えていた傾向が正しかったり間違っていたりと、色々な意味で確信がつかめてくるものです。
私にとっては自分の眼で見たモノが一番重要なので、ディレクターやバイヤー達と一緒に行動し意見を聞きながら現場感覚でディレクションを行うことも重要な事だと常々考えています。
今回もPITTI UOMO ミラノショールームの続報です。
BEAMSでも展開しているERICCO FORMICOLAのPITTIのブース。
今回は綺麗な色の製品染めのシャツを打ち出していました。
他のブランドでもこのようなカラフルなシャツの提案は見られました。
全体的な傾向も色が少し戻って来ているので正しい提案ではありますが、もう少しマイルドなトーンで取り入れるのが現実的かなという印象です。
ベージュ、ブラウン、ブルー、オレンジ、イエロー、テラコッタ、グリーンと傾向の色は全部押さえているので、プレゼンテーションの意味合いも強いのではないかという印象です。
エリッコ フォルミコラはシャツのブランドという印象が強いと思いますが、ネクタイとジャケット スーツのコレクションも展開しています。
特にネクタイは、フォルミコラ本人が以前KITONでネクタイの企画や営業を担当していて、その後長くLUIGI BORELLIのネクタイをデザインしていたこともあり、ナポリらしい綺麗な色柄のコレクションを展開しています。
ディスプレイもジャケットとシャツとネクタイのコーディネートのセンスがいいです。
ナポリのブランドはコーディネートのセンスが最悪なブースも多いのが真実です。
具体的に何処とは言えませんが・・・(笑)
色々な事情があり、彼のネクタイはBEAMSでは展開していないのですが、コレクションはいいのでブースに立ち寄った時は必ずチェックしています。
しばらくPITTIに出展していなかったFRANCO BASSI も今年の1月のPITTIから復帰。
フランコバッシと言えば、ここ数シーズン ヴィンテージ調の柄を打ち出して来ましたが、基本的な方向性は変えず、2016年の秋冬の流れを汲んだ大柄の小紋やペーズリー、グレンプレイドやハウンドトゥースの柄を積極的に打ち出していました。
上の画像にあるようなイエローやボルドーのトーンが新鮮だったので、オーダーの際は再度チェックしようと思っています。
BEAMSでも長く取扱いのあるミラノのネクタイブランド PETRONIUS のPITTIのブース。
創業90年の3代続く老舗ブランドで、世界的にも評価の高いハンドメイドのネクタイブランドです。
真面目でクラシックな色柄が多い印象のペトロニウスですが、近年はトレンドを上手く表現した上品な色柄のコレクションが増え、個人的にも再注目しているネクタイブランドです。
元々クオリティーの高さは良く知られていて、あのナポリの有名なネクタイブランドにも生地を供給していることはネクタイ業界では誰もが知る事実です。
今回も洒落た色柄が多く、ブースのプレゼンテーションだけ見れば、フランコバッシよりも良かった印象です。
コレクション全体を見ていないのでまだ分かりませんが、オーダーの際は今まで以上にじっくりチェックしたいと思っています。
ネクタイ全体に言えることは、プリントやジャガードで大柄の柄が増えていますが、ストライプはヴィンテージ調の柄以外は少なくなっています。
そして、ニットタイのバリエーションが増えているのも来春夏の傾向です。
ORIAN のPITTIのブースはいつもの感じでした・・・
毎シーズン テーマを決めて打ち出しているのですが、何故か毎シーズン同じように見えるのは私だけでしょうか・・・
良くも悪しくもオリアンらしいのですが、他のブランドと比べると ”トレンドの掴み” みたいなものがいまひとつというのが正直な印象です。
トレンドのシアサッカーも展開しているのですが・・・
派手な色柄ばかりで、おまけにシルクのシアサッカーしかなく・・・
元々BEAMSはコレクション以外からピックアップした生地やモデルも多いので、オーダーに向けて仕切り直しという感じです。
個人的にも先代のガエターノ氏からの付き合いなので頑張ってほしいところです。
PITTIに不参加のMACKINTOSH はミラノのショールームでチェック。
今回はデニムのコレクションが良かったです。
ウオッシュとリジッドの2タイプ。
生地は本格的な日本製のデニムなので、重くて硬いのは好き嫌いの分かれるところですが、裏地が無い一枚仕立てのコートなので、個人的には洗濯機でガンガン洗って着たい感じです。
モデルはトレンチとバルカラーがあります。
ステッチがオレンジなのも好き嫌いがわかれるところですが、これは同色ステッチに変えられるようです。
バルカラーの着丈は長めです。
このあたりはしっかりトレンドを押さえています。
デニム調の生地は他のブランドでも多かったのですが、本格的なデニムを使っていたのはマッキントッシュだけでした。
リアルデニムは色落ちの問題もあり、敬遠するサプライヤーも多いようですが、老舗ブランドがチャレンジしていることに意義があると思います。
今シーズン同様、ナイロン素材のモデルンもありました。
モノトーンのチェックは目を引きましたが、柄がちょっと大きいかなと・・・
ということで、ナイロン系の柄物は他のブランドで良いモノがあったので、そちらでオーダーすることになりました。
別の意味で目を引いたのがこの柄。
私が高校生の頃流行っていたモノトーンのバイアス柄。
ある意味レトロな柄とも言えますが、私は当時この柄を着ていた人たちの印象が悪いので、ちょっと引きました。(笑)
70年代後半から80年代に大流行した柄なのでリバイバルとも言えますが、この柄がマッキントッシュから出るとは・・・
ウィメンズならありかなと言うのが正直なところです。
PITTI UOMOの初日の報告から始まって9回のレポートでしたが、大きな流れに関してはお伝えできたのではないかと思います。
次の秋冬から継続する傾向も多いので、今後の更新の際にもお伝えしていきたいと思っています。
来週は7月最終週。
国内の展示会もラストスパートです。
そして、29日(金)は、代官山でお会いする方もいらっしゃるかと・・・
よろしくお願いいたします。