MEN’S EX 連載 3月号 | ELEMENTS OF STYLE

MEN’S EX 連載 3月号


MEN’S EX 3月号 が発売されました。


3月号の特集は ”春のビジネススタイル”

という事で、私の連載も今回はスーツの新しい流れについて紹介させていただきました。





”中村達也の今、買いのアイテム”




今回のテーマは、”プリーツ入りのパンツのスーツ” についてです。




暫く続いたジャケットを中心としたドレスクロージングのカジュアル化の流れも、行きつくところまで行きついたという感じもあり、ファッション業界の人たちを中心にスーツスタイルに再び注目する人たちが増えています。

その様な流れの中でスーツスタイルに関しては、クラシック回帰やエレガントな着こなしというキーワードもあり、2015年の秋冬は3ピースやダブルブレストのスーツが注目されました。

そして、その流れは今シーズンも続いており、パンツに関してもクラシックでエレガントな雰囲気に見えるプリーツパンツが再び注目されています。




今シーズンのバイイングを行った昨年6月のPITTI UOMOでも、プリーツパンツのスーツを着用した人が急増していました。

















ご覧の様に、業界の重鎮たちやスナップの常連の人たちも、プリーツの入ったパンツのスーツを着用しているのがわかります。




もともと、現在のイタリアのクラシックなスタイルが日本で知られるようになった90年代の頃は、スーツのパンツも単品パンツもプリーツ入りが一般的でした。

その後、イタリアのあるブランドが、”モッズスーツ” という細身の3ボタンにスリムなノープリーツのパンツのスーツを発表し話題になりました。

そして、そのようなシルエットを他のブランドも追随するようになり、モードなスーツはスリムなスーツという流れが定着しました。





クラシックの流れは、モード的な流れとは全く関係ないと思われている方も多いと思いますが、実はクラシック系のサプライヤー達は、モード的なトレンドを気にしながら、それを咀嚼してどのタイミングでどの程度取り入れようか模索しているというのが実状です。

少なからず、私がバイイングに関わるようになった、ここ20数年くらいは確実にそのような傾向があり、私自身もモード的なトレンドも気にしながら、次の流れを読んできました。





その後予想していたとおり、モード的なスリムスーツが数年後に徐々にクラシックなサプライヤーに影響を及ぼし、トレンドに敏感なスーツブランドが従来のクラシックなスタイルと並行して ”モーダライン” と称する、細身の3ボタンに細身のノープリーツのパンツの付いたスーツを提案するようになります。

当時、そのようなスーツは ”クラシコ モーダ” もしくは ”モーダ クラシコ” などとも言われ、クラシックの新しい潮流として広がりつつありました。




このような流れもあり、クラシックテイストの人の中でトレンドに敏感な人達は、ノープリーツのスーツを着る人が徐々に増えていくのですが、今考えるとその流れは非常に緩やかだったと思います。

その理由は、スーツのパンツはプリーツが入った方がエレガントに見えるので、ジャケットのパンツにはノープリーツを合わせても、スーツのパンツはプリーツ入りを穿くという人の方が多かった事によります。


 


その後、エレガントなスーツスタイルよりもリラックスしたジャケットスタイルに流れが変わるのと並行して、パンツ単品がノープリーツ全盛となり、モード的なのトレンドも、よりタイトにという流れが続いたことによって、スーツのパンツも細身のノープリーツというのが一般的になり、現在に至っています。

BEAMSでも2000年代初頭はパンツ単品はノープリーツでしたが、スーツはまだプリーツ入りのパンツが付いたモノが大半でした。





このように、今のノープリーツのスーツが全盛になる前は、スーツはプリーツ入りのパンツというのが、ある意味常識でした。

我々の先輩たちの中には、”エレガントなスーツにノープリーツのパンツは有り得ない” という人もいたくらいです。



そして、トレンドは廻ります。

今の流れは、ノープリーツのパンツが流行り始めたころとは逆の流れです。

スポーティーなカジュアルなスタイルからクラシックでエレガントなスタイルが注目されることによって、スーツスタイルもエレガントに見えるプリーツ入りのパンツが見直されるというのは必然的な流れだと思います。

そして、もうひとつはモード的な流れで、ここ数年はリラックスフィットという流れが出てきて、パンツに関してもゆったりしたシルエットのモノが出てきていることも、クラシックなスーツのサプライヤーに少なからず影響を与えているのではないかと思います。





プリーツ入りのスーツを選ぶポイントは、ジャケットのシルエットは今までと変わりません。

現地では2プリーツを穿いた人も多いですが、いきなりノープリーツから2プリーツに変えるのは、難易度が高いと感じる方も多いと思いますので、1プリーツのパンツが付いたスーツを選ぶと良いと思います。

シルエットは、今までのノープリーツのシルエットにプリーツを入れたようなモデルが多いと思いますので、丈の長さや裾の処理などは、今までとそれほど変わらないと思っていただいて良いと思います。




「ノープリーツのスーツは、もう古いのか?」 と思われる方も多いと思いますが、そんな事はありません。

今の流れは、ノープリーツとプリーツ入りのパンツが並行して、徐々にプリーツ入り増えて行っている状況です。

プリーツ入りからノープリーツに変わっていった過程でも、両者が並行して共存していた時期がありました。 現在も当時と同じような状況であると思います。



という事で、私は今シーズンこのスーツを購入しようと思っています。



DE PETRILLO のブルーのグレンプレイド

プレスルームのサンプルを見て、これに決めました。

もちろん、パンツはワンプリーツです。




そして、次号のテーマは、プリーツ入りの単品パンツです。


スーツの組下よりも、さらに色々なバリエーションがありますので、様々な角度からパンツのトレンドを解説したいと思います。



しかし、来月号を待たずして既にBEAMSではプリーツ入りのパンツが人気で、入荷早々完売のモデルや予約で完売というモデルも・・・

BEAMSのお客様は本当に早い。


いつも本当にありがとうございます。