ENZO BONAFE
最近スーツスタイルの時に良く履いている
靴があります。
その靴は10年以上前に購入した
”ENZO BONAFE” の黒のセミブローグ。
鳩目の周りを囲むブローグと
切り返しに特徴があり、
ヒールまで伸びるブローグが
履口から1.5㎝くらい下の位置に入った
独特なディティールを持つセミブローグです。
適度なボリュームがあって
今見ても新鮮です。
購入時は当時のイタリアの
ドレスシューズの特徴でもあった
トウのコバがスクエアーなカットでしたが、
数年前に知り合いの靴職人にお願いして
角を削ってもらいました。
コバを丸くするだけでトウも丸く見えるように
なり、随分イメージが変わりました。
ウェスト部分も当初は張り出した角のある
コバでしたが、これも丸く削ってもらいました。
ウェスト部分を丸コバにすると
シェイプが強くなったように見えます。
ヒールも張り出した仕様だったので、
ギリギリまで削ってピッチドヒールにしました。
この靴の独特なデザインは
10数年前に工場見学に行った
アメリカのある靴メーカーにあった
60年代のビスポークシューズの
サンプルのデザインとディティールを
参考にしました。
そのアメリカのブランドの工場背景では
その当時もすでにこのような靴を作ることは
出来なかったので、イギリスのあるメーカーに
依頼しましたが、予想通り却下...(笑)
理由はいくつかあるのですが、
話が長くなるので、また別の機会に。
そんな経緯もあって、どうしてもこの靴を
再現したかった私は、当時取扱いが始まって
間もなかったボローニャのハンドメイドの
ファクトリーであるエンツォ ボナフェに依頼。
予想通り快く承諾いただき、
ボナフェと色々やり取りをしながら完成させた、
私にとっても思い入れのある1足です。
当時のイタリアの靴はコバのしっかり張った
シューズが多かったです。
上の画像は当時イタリアでも日本でも人気があった
SUTOR MANTELLASSIのシューズ。
ノルべジェーゼの靴もまだチラホラ
見られた時代だったので、
イタリアのドレスシューズは
まだコバの張ったシューズが多い
時代でした。
その後、イタリア製のスーツやジャケットを
着ても足元は英国のブランドという
本来のイタリア人のスタイルが
日本でもようやく認知されたこともあり、
英国靴の人気が再燃したのを契機に
ボナフェとの取り組みも英国のビスポークの
ようなスタイルの靴作りへと変わり
現在に至ります。
では、何故ボナフェだったのか、
それは、当時すでに英国や米国の
既製靴の工場では不可能だった、
型紙からパターンを作り込むことと、
日本人に合った木型を作ること、
そして、ハンドソーンウェルテッドを含む
ほとんどの工程が手作業で行われる靴が
英国や米国の靴ブランドとあまり変わらない
プライスで実現できたことが大きいです。
それは今も変わりません。
さすがに年々プライスが上がって
以前のように10万円以下とはいきませんが、
それでも英国のメーカーが9万円台の時代に
1万円から2万円足してこのクオリティーが
手に入るというのは、相当なコストパフォーマンス
だと言えるでしょう。
私もボナフェは何足も所有していますが、
最近はこの靴がお気に入りなので、
今の流れに合ったラウンドトウのラストで
今見ると少し気になる細部のディティールや
パターンを修正して復活できないかなと
思っています。
ここ数年はジャケットがドレスクロージングの
中心でしたが、徐々にスーツスタイルが
戻ってきています。
今年の秋冬に3ピースやダブルのスーツが
注目されているのもスーツスタイルが
戻ってきている理由のひとつです。
スーツに合わせる靴もイタリアではここ数年
ダブルモンクを履いた人が多かったですが、
それも徐々に変わってきています。
それに関しては、また別の機会に
書きたいと思います。
今年の秋冬はスーツを着たい気分なので、
私もドレスシューズの出番が増えそうです。
ネタはいっぱいあるので、
色々企画してみようかなと思っています。
あとは皆さんに買っていただけるかどうか…
それが一番心配です。(笑)
B.R.CHANNEL FASHON Q&A 更新しました。
今回のテーマは ”失敗しないレストランの選び方” です。
なぜかレストラン選びで大失敗したことがあまりない私。
流行りや話題のレストランにすぐに飛びつかないのも
失敗しないひとつの方法だと思います。
私の経験談も交え、レストラン選びのコツと
ドレスコードについても少し触れています。
是非ご覧ください。
B.R.CHANNEL
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